外国人の技能実習制度を廃止 新制度は「転職(転籍)制限」緩和

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「技能実習」と「特定技能」の在り方に関する政府の有識者会議が提言

外国人技能実習制度を廃止し、人材の「育成と確保」を目的にした新制度創設を検討している政府の有識者会議は10月18日、就労から1年を超えたら職場を変更できるなど、制限を緩和する最終報告書案を示しました。同会議は、新制度と「特定技能」との連動性を念頭に置きながら「9つの論点」を挙げて多面的角度から検討。11月をメドに最終報告書を取りまとめる方針です。政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」は、法務省の所管で昨年12月に設置されています。

同会議は、監理団体や受け入れ企業となる実習実施者、各種業界団体、当事者である技能実習生など、あらゆる関係者からのヒアリングを踏まえ、1993年にスタートした「技能実習制度」と2019年に新設された「特定技能」のあるべき姿を検討してきました。

 今春の中間報告書では、技能実習制度の廃止に伴う新制度のあり方として、(1)目的=人材育成を維持しつつ、人材確保を加える(2)職種=職種は特定技能の分野にそろえる(3)受け入れ見込み人数=関係者の意見やエビデンスを踏まえてプロセスを透明化(4)転職(転籍)=限定的に残しつつ、現行よりも緩和(5)監理団体・登録支援機関=存続した上で要件を厳格化して、監理・支援能力を向上(6)日本語能力=就労開始前の日本語能力の担保と来日後の段階的向上に向けた仕組みを整備――など実態に即した弾力的な方向性を示していました。

 中間報告を公表した後、同会議は論点を再整理。(1)新制度と特定技能の位置付けと両制度の関係性(2)人材育成機能や職種・分野のあり方(3)受け入れ見込み数の設定のあり方(4)転籍のあり方(5)監理・支援・保護のあり方(6)特定技能の適正化と方策(7)国・自治体の役割(8)送り出し機関と送り出しのあり方(9)日本語能力の向上方策――の「9つの論点」について、議論を重ねています。

 この日公表された新制度のポイントは、現場実態に即した制度の弾力化と実習生への待遇改善です。まず、現行では技能実習生が職場を変更する「転職(転籍)」を認めていませんでしたが、新制度では同じ職場で1年以上就労していてある程度、日本語が話せるなどの要件を満たせば本人の意向で転籍ができるよう緩和します。

 また、現行制度は88の職種があるものの、より熟練した技術を求める「特定技能1号」は12分野しかなく、技能実習期間が終わった後にスムーズな移行ができないという課題があったため、どの職種でも「特定技能1号」に移行できることも盛り込まれました。

 このほか、外国人が借金をして来日費用を負担している現状があることから、外国人を受け入れる企業に一定程度費用を負担させることで外国人の負担を軽減させる提言も示しました。監理団体の許可要件厳格化のひとつとして、監理団体と受け入れ企業の役職員の兼職に係る制限や外部監視の強化、受け入れ企業数に応じた職員の配置、相談対応体制の強化も加えています。政府は年明けの通常国会に関連法案の提出を目指しています。

 

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