企業の障害者法定雇用率、24年度2.5%、26年度2.7%へ

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企業などに義務づけられている障害者雇用の法定雇用率が、来年4月から引き上げられます。厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の障害者雇用分科会が、1月下旬に引き上げを了承しました。障害者の雇用数は年々増え続けているものの、就労環境が広がっているかどうかとなると、課題山積というのが実情です。

今回の法定雇用率の改定は障害者雇用促進法の見直し規定に基づくもので、企業の場合は現行の2.3%から2.7%、公的機関の場合は現行の2.6%から3.0%(教育委員会は2.5%から2.9%)にそれぞれ引き上げられます。ただ、企業負担を緩和するため、2023年度は現行通りに据え置き、来年の24年度から2.5%、26年度から2.7%に段階的に引き上げます。同様に、公的機関も24年度から2.8%、26年度から3.0%にします。2.7%は事務局の厚生労働省案では26年4月を予定していましたが、企業側の反発が強く、3カ月後ろ倒しして同年7月からにすることで了承を得ました。

法定雇用率のスケジュール

また、障害者の就労になじまない業界に設定されている除外率制度も25年度から一律10ポイント引き下げられることから、5%の非鉄金属製造や倉庫業など、10%の水運業や採石業などは除外率の適用対象からはずれます。

 

0.4%アップの根拠は?

2.7%の算出根拠は単純です。法定雇用率は障害者(身体、知的、精神)の雇用者数と失業者数を分子に、常用労働者と失業者の合計を分母に割った数字となります。障害者の雇用数が増えると半ば自然的に雇用率は上昇しますが、今回は昨年暮れの臨時国会で成立した短時間労働者(週10時間以上~20時間未満)の適用拡大で1人につき0.5人とカウントすることが24年度から始まることから、雇用率は0.4ポイント上昇します。厚労省の試算では、対象となる短時間労働者は約10万人いて、常用雇用者と失業者にこれを加えると約102万人。一方、全ての常用労働者と失業者に
短時間労働者の半分(0.5人分)を足すと約3753万人となり、雇用比率は2.71%になります。短時間労働者の拡大カウントが法定雇用率の大幅上昇につながったことになり、これが障害者雇用の一層の拡大に寄与する可能性はあります。

 

障害者雇用は11年連続の増加

障害者の雇用の足元をみると、その数は増えています。厚労省が毎年公表している22年「障害者雇用状況」によると、企業の雇用数は約61.4万人(前年比2.7%増)、実雇用率は2.25%(同0.05ポイント増)。公的機関が約7.1万人(同2.7%増)で、合わせると雇用数は68万人を超えます。とりわけ、企業の場合は11年から11年連続で雇用数、実雇用率とも上昇が続いています。


企業の雇用の内訳は身体障害者が35.8万人、知的障害者が14.6万人、精神障害者が11.0万人。身体障害者が過半数を占めますが、高齢化などで近年は伸び悩んでおり、22年には初めて減少に転じました。それに代わって、知的・精神障害者が増えており、とりわけ精神障害者が18年度から雇用率の対象に加わったため、伸びが顕著です。

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