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雇調金の特例措置を10月から縮小 出向助成は期間を拡充、厚労省
10~11月は3000円減の1万2000円
厚生労働省は8月31日、雇用調整助成金(雇調金)の特例措置を10月から縮小すると発表、省令改正作業を開始しました。
新型コロナの感染拡大で売り上げが3割以上減少した企業に対して、従業員1人あたり日額1万5000円を上限に支給してきましたが、10~11月は3000円減の1万2000円。3割減以下の企業に対して支給してきた同9000円も8355円に減額します。また、まん延防止等重点措置などでシフト労働者らを休業させた企業に対する休業支援金も、地域特例をはずします。
特例が外れることで、1万1000円から8800円に減額となります。
一方、在籍型出向で雇用維持をしている出向元と出向先に助成する産業雇用安定助成金については、支援対象期間を1年から2年に延長し、対象労働者数の上限500人の枠を撤廃します。
雇調金については助成の原資が枯渇してきているうえ、経済回復に伴い雇用情勢も好転して助成の意味が薄れてきたことから、特例の縮小に踏み切るもの。12月以降はあらためて雇用情勢などをみながら判断します。
無期転換ルール、裁量労働制を議論
労働政策審議会の第177回労働条件分科会(荒木尚志分科会長)は8月30日、無期転換ルールと労働時間制度について議論しました。無期転換ルールは2012年の改正労働契約法に盛り込まれた雇用安定策の一つで、1社に5年間勤務した有期雇用労働者に無期雇用転換権を付与するもの。今回は8年後の見直し規定に基づき、有識者会議が昨年3月から議論し、今年3月に報告書を公表。それを受けて同分科会で議論していました。
報告書は(1)根幹から見直さなければならない状況ではないが、労使双方の情報共有が必要(2)契約更新時に企業側から対象労働者に通知を義務付ける(3)転換前の雇い止めなどは判例などを参照しながら、個別紛争解決制度による助言・指導の活用が適当(4)転換後の労働条件は当初からの無期雇用労働者との均衡考慮が求められることを周知する――などが骨子となっています。
同分科会でも、労使とも基本的に報告書と同じ認識ですが、制度がまだ十分広がっていない事実を踏まえ、労使からはこの日も「周知が進んでおらず、制度活用が不十分」「更新後の処遇改善も含めて総合的に取り組む必要がある」「更新後の(期間)上限設定は制度を形骸化させる恐れがあり、設定するなら理由説明を義務化すべきだ」などの意見が相次ぎました。
労働時間制度については、裁量労働制が議論の中心に。厚労省が19年11月に実施、発表した「裁量労働制実態調査」結果を基に議論し、調査では制度下で就労している労働者の多くが「労働時間は多い半面、満足度は高い」という結果を踏まえて、使用者側委員からは「労働生産性を上げるためにも、適用業種を拡大すべきだ」との主張が相次ぎました。
しかし、同制度をめぐっては18年に厚労省調査に重大な不備が見つかり、制度を拡大しようとした法案がボツになったこともあって、労働者側委員らの不信感は根強くあります。