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国際女性デーに考えるキャリア断絶を防ぐ「攻めの組織づくり」。カゴメとランスタッドの事例に学ぶ、ライフイベントを組織アップデートの好機に変える方法
2026年春は「女性活躍の春」に。この機に企業が取り組むべきは?
毎年3月8日は「IWD(国際女性デー)」。例年、各地で集会や企業のキャンペーン、イベントなどが開催され、日本でも広まりつつあります。また今年の春は、2025年に公布された女性活躍推進法の改正により、これまで「従業員数301人以上」の企業に義務付けられていた「男女間賃金差異」の情報公表義務が「従業員数101人以上」の企業にまで拡大すると共に、新たに「女性管理職比率」の公表も義務づけられました。
ジャーナリストの白河桃子氏が提唱する「女性活躍の3フェーズ」に倣えば、多くの日本企業は男女雇用機会均等法をはじめとした男女が平等に活躍する「フェーズ1」を過ぎ、時短勤務や育休などの制度を整える「フェーズ2」で足踏みしています。しかし、今求められているのは、長時間労働からの脱却や働き方の柔軟化など、女性だけでなく誰もが持続的に活躍する組織へとイノベーションする「フェーズ3」への転換なのです。
参照:東京都『東京女性リーダーズ応援ネットワーク』コラム「働き方と女性活躍」
つまり今、企業には一時的な「配慮」ではなく、継続的な「活躍」を支える仕組みが求められていると言えます。ここでは女性活躍推進のためのヒントを得てもらうべく、カゴメ株式会社とランスタッドの取り組みをご紹介します。
カゴメ株式会社・ランスタッドの事例に学ぶ「ライフイベントによるキャリア断絶を防ぎ、成長できる組織」の作り方
ランスタッドの事例:「ワークライフバランスへの配慮」から「長期的キャリアの維持」へ
ランスタッドではかつて、育休明けの社員に対し「仕事と家事・育児の両立しやすさ」を優先した「比較的業務負担が軽い部署への異動」を推奨していました。負担を軽くすることを目的においた異動ですから、それまでのキャリアを活かせるとは限りませんでした。
この慣習に対し、ランスタッドCHROのヨス・シュットから「育児と育休前の部署での仕事を両立できないというのなら、仕事のあり方に問題があるし、変えるべきだ」という投げかけがありました。これを機に現在は男女問わず「育休前のポジションに戻れるようにする」体制を採るようになり、社員はキャリアの断絶を恐れることなく、安心して育休を取得できるようになっています。
両立しやすさ優先の部署異動は、短期的には働きやすくなるかもしれませんが、長い目で見ると女性スタッフの望む働き方を阻む「マミートラック」を引き起こし、キャリアを断絶させてしまいかねません。キャリアアップが叶わないことには、男女の賃金差も解消へ向かいません。育休明けで働くことが「当たり前」になった今、企業は、仕事と育児と両立できさえすればよい「守りの支援」から「キャリアを止めない支援」へとアップデートするべきではないでしょうか。
女性の活躍を推進することには会社の成長も伴います。日本企業にも、女性を意思決定層へ引き上げ、組織にイノベーションを起こす「フェーズ3」へと進む時がきているのです。
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カゴメ株式会社の事例:キャリアを守りながら現場を回す「アクティング担当マネージャー」
「10年ほど前から女性比率の目標値を掲げていますが、それは単に『活躍する女性を増やす』ことだけを目的としてはいません。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進をきっかけに心理的安全性を高め、さらに先の、女性に限らない『多様な人材の活用によるイノベーション』を目標に掲げています。実際に社員からも、心理的安全性が高い会社として捉えられるようになったと感じていますね。産休・育休、介護など、どんな事情でも安心して休職でき、また復帰後もキャリアを継続できる、男女ともに働きやすい職場を目指しています」
今回の取材でお話を伺った
カゴメ株式会社 東京本社営業本部営業推進部 部長 寺本隆博様
野菜飲料やトマト調味料を製造販売するカゴメ株式会社では、ある支店から「社員の産休・育休などが増えている」という報告を受け、「欠員により業務負荷が発生する」という課題を解決するべく新ポジション「アクティング担当マネージャー」を創設しました。目指したのは、安心して休職ができる職場風土の醸成と、周囲への業務負荷の低減でした。
アクティング担当マネージャーは、管理職を経験したベテランの社員が、長期休暇で人手が減る組織にスポット的に着任するというもの。豊富な業務経験と判断力を活かし、いわゆる欠員補充以上のバリューをもって業務を回すところが特徴です。
最初のアクティング担当マネージャーは、5つの支店勤務を経験したベテランの社員。赴任先の大阪支店では、「チームの精神的支柱でもあったスタッフ」が育休に入ることとなり、制度利用を希望したそうです。
アクティング担当マネージャーの経験に裏打ちされた安定感のある仕事ぶりやフランクな人柄に、チームメンバーは「上下関係なくしっかり意見しあえる」、「学ぶことが多い」と喜び、取引先からも「いろいろなご経験があるため、判断や依頼への対応が早い」と大変評判だといいます。
もう1人のアクティング担当マネージャーは名古屋支店で育休中の営業パーソンの得意先を引き継いで活動中です。この仕事については「前任の業務品質を落とさないことを最優先に、取引先との関係を維持することも重視しました。若手に対して何らかの刺激や学びが与えられたらというだけでなく、私も自分自身のアップデートができていなかったところを更新できたと思います」と語ります。業務水準が高く、なおかつこの仕事を自分自身へのよい刺激と捉えている様子に、赴任先での活躍ぶりが窺えます。

このように、取引先との関係性を維持でき、業務のレベルも落とさずに取り組めていることから、アクティング担当マネージャーは現場からも温かく迎え入れられているといいます。
また「ベテランの強みを活かした活躍の場を作る」という発想が功を奏し、管理職のサポートや後進育成などにも効果を発揮。社員の産休・育休に対する心理的安全性も高まり「会社の成長」と、休職から復帰後の「キャリア維持」を両立させています。
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プロフェッショナル派遣の活用で「仕組み」ごとアップデート
「アクティング担当マネージャー」を社外に求めるという選択肢
カゴメ株式会社の「アクティング担当マネージャー」は、社内のリソースを有効活用した非常に先進的なモデルです。一方で、リソースの限られた組織において、同様の「仕組み」をゼロから構築するのは容易ではありません。そこで、この「欠員を機にプロの知見を入れ、組織をアップデートする」という考え方を、外部リソースによって実現するのが、ランスタッドの「プロフェッショナル派遣」です。
このチャンスに「マイナスをプラスに転じる」人員補充を
これまで産休・育休による人手不足での派遣スタッフ活用は、定型業務を任せることで他の社員のリソースを確保するといった、いわば「マイナスをゼロに近づける施策」が一般的でした。一方、プロフェッショナル派遣では、プロが不在期間を預かることで、属人化していた業務を整理し、デジタル化や仕組み化を一気に進めることにあります。これにより、産休・育休明けには元のポストが仕組みごと改善されているので、復職者は以前より効率的に、かつ高いパフォーマンスでキャリアを再開できるのです。
ライフイベントを理由にキャリアを諦めない社会を目指す
女性をはじめ、それぞれに多様な事情を抱える人材がキャリアを諦めずに済むような社会を目指すことは、もはや企業にとって当たり前とも言えるものです。「人がいない」、「予算がない」とうなだれるのではなく、カゴメ株式会社やランスタッドの施策のように多様な考え方や柔軟な発想を持ち工夫を凝らすことで、生産性の向上や業務のアップデートにつながる可能性は大いにあります。
まずは国際女性デーや女性活躍推進法の改正などをきっかけに、プラスに変わる一歩を踏み出してみませんか。
