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会計・財務/インダストリアル・エンジニア「マーケット&サラリーレポート」データと専門家の知見で採用戦略をアップデート【2025年版】
少子高齢化や急速な技術進化――激しい変化を乗り越える鍵は「人材戦略」にあり
少子高齢化による人口構造の変化と、AIなどの急速なテクノロジーの導入という二重の課題により、日本のビジネスと雇用のあり方は大きく変化しつつあります。
ランスタッドは、日本全国から得られたデータをもとに市場分析を独自で行い、「IT&テクノロジー」「インダストリアル・エンジニア」「会計・財務」の3分野における「マーケット&サラリーレポート」を公開。他の業界についても順次公開予定です。
各分野の市場分析に加え、業界動向や経済・地域的要因が与える影響を考察しています。
今回はその中から、「会計・財務」「インダストリアル・エンジニア」の2つのレポートに焦点を当て、弊社の専門コンサルタントの考察も交えながら、特徴的なデータや分析を紹介します。
会計・財務:職種・ポジションによる動向の違いは要注目
「マーケット&サラリーレポート 日本の会計・財務」の分析によると、監査、税務、財務の3分野の求人は、いずれも2023年後半から大幅に増加し、2024年半ばに減少するなど同様の需要動向を示しました。しかし、その後の動向はそれぞれ異なるものに。特に激しかった税務部門の動向や、求人数以外での3分野に共通する傾向などを見てみましょう。
企業の採用戦略の焦点が移行
財務部門、監査職の需要が安定している一方で、税務部門の需要変動は非常に激しいものになっています。これは、「2025年の崖」への対応 や「深刻な人口動態の危機」 により、AIや自動化を含むDX導入が加速、定型的な業務がAIやSaaSソリューションによって自動化されたことで、企業が求める人材もシフトしたことが背景にあると見られます。つまり、従来のジェネラリストを求める一般的な採用から、リスク管理とデジタルファイナンスの専門スキルを持った人材を求める採用へ、採用戦略の焦点が移行していると考えられるのです。
リモートワークへの取り組みにはばらつきが
IT業界の日本の採用市場では、ほぼ全ての働き手が完全リモートワークを求めており、企業側もこの変化への対応を迫られています。その一方で、会計・財務分野では働き手の「完全リモート」の需要は落ち着き、むしろ「ハイブリッドワーク」を望む声が主流です。ところが、企業のハイブリッドワーク導入率は依然として低いままになっており、各々の利用状況を見ても、リモートワークに代えてハイブリッドワークでの働き方が普及しているとは言い難い状況にあります。
東京の給与水準はあらゆる職種で著しく高い
東京では、あらゆる職務において日本の他の都市と比較しても高い給与水準となっています。東京では中間レベルにあたる給与ですら、国内の他の大都市圏・同職種の給与の最高額を上回ることもあり、東京で激しい人材獲得競争が繰り広げられていることがわかります。また、リモートワークへの取り組みにばらつきがあることも踏まえると、この格差は「生活費の高い東京に住むこと」を前提とした給与体系が未だ主流であることも反映しているとも言えます。
この現状を踏まえると、人材不足解決の糸口は、複眼的な戦略にありそうです。一つは、職務にかかわらずリモートワークへの取り組みを進め、地方在住の優秀な人材を確保するアプローチ。そしてもう一つが、リーダー層は東京で獲得しつつ、コスト効率よくチームを拡大するために、大阪や神奈川 といった「スキルの高いミドルクラスの人材を見つけるうえで費用対効果が高い」 地域に拠点を設け現地採用を進める、といった「二重の戦略」です。こうした異なるアプローチを組み合わせることが、今後の人材戦略の鍵となるでしょう。
こうしたデータ上の動向や戦略は、現場のコンサルタントの肌感覚とも一致しています。
ランスタッドの会計・財務の専門コンサルタントは「日本の金融系人材市場は、企業の期待の変化と候補者の優先順位の変化によって、大きな変革期を迎えている」と言います。例えば、従来の職種の定義が書き換えられ、報酬体系が給与だけではなく働き方や文化など、企業全体の魅力が問われるようになり、優秀な人材獲得競争は新たな次元に突入しているといったものです。
レポート本編では、大阪や神奈川なども含めた職務別給与水準の比較や、より詳細な金融業界の動向、各地域の人材プールなどの情報が、コンサルタントの視点による分析とともに盛り込まれています。ぜひ、貴社の人材戦略にご活用ください。
インダストリアル・エンジニア:注目分野を軸とした展開が始まりつつある
「マーケット&サラリーレポート 日本のインダストリアル・エンジニア」によると、製造業の投資動向から、エンジニアリングは近い将来、グリーン(環境分野)のテクノロジーを軸に展開していくことがわかります。これは市場の著しい成長と、技術者に求められるスキルがその分野に合わせて根本的に変化することを示唆しています。
設備投資か、研究開発(R&D)への投資か
多くの企業が、設備投資と研究開発(R&D)の両方の支出を増やそうと計画していますが、どちらがより優先されるのかは分野によって違いが表れています。設備投資を行えばその新設備に携わるエンジニアが求められます。研究開発への投資でも当然、イノベーションを技術面で支えるエンジニアが求められます。こういった投資動向を知ることは、エンジニアの採用市場を予測するうえで重要な手がかりとなるのです。
設計・開発/経営/セールスでも求人動向に差が
インダストリアル・エンジニア分野の設計・開発、経営幹部・役員職の求人は、2024年中の全般的な件数の減少を経て、2025年には大幅な増加を見せています。設計・開発分野の動向は特に劇的とも言えるものです。一方、セールスエンジニアの求人は、2023年8月~10月の短期的な急変動を経て、2024年以降は安定しています。
近隣地域でも差が出る職務別年収ベンチマーク
インダストリアル・エンジニア分野でも東京は非常に高い給与水準となっており、競争の激しい東京の市場で優秀な人材を獲得するためには相当な給与プレミアムが必要であることがわかります。大阪・愛知といった西日本の主要都市は、全国的には競争力があるものの、東京と比べると大幅に低い水準となっています。雇用主にとって、西日本での事業展開は戦略的なメリットがあると言っていいでしょう。
この「東京の突出した給与水準」 は、ランスタッドの専門コンサルタントが語る、「専門性の高いスキルへの需要増」でも説明できます。インダストリアル・エンジニアの専門コンサルタントによると、「現在、需要が高い分野には、特に画像認識、行動判定ソフトウェア、テストなどの分野におけるAIを専門とするエンジニアが含まれる」と述べています。また営業や顧客対応の要素を含むエンジニア職も非常に人気があると言います。
レポート本編の地理的分析でも、こうした専門性と高いスキルを求められる職種が東京に集中している ことが示されており、これが給与水準を押し上げている要因の一つと読み取れます。
こうした専門スキルへの需要や業界の最新トレンドが、東京や西日本だけでなく、神奈川や埼玉といった他の地域の給与水準にどう具体的に反映されているのか。レポート本編では、神奈川と埼玉の給与水準や、より詳細な業界トレンドを紹介しています。地方都市の状況も踏まえ、自社にマッチした戦略を立てるのにぜひご活用ください。
「マーケット&サラリーレポート」で「業界の流れ」も踏まえた人材戦略を
各分野のコンサルタントの考察からも垣間見えるように、求人市況には業界全体の動向も大きく関わります。
会計・財務分野における「リモートワークの需要ギャップ」や「地域特性を活かした二重の採用戦略」 、インダストリアル・エンジニア分野での「グリーン分野への投資集中」 や「AIなど特定スキルの需要増」 など、人材獲得のヒントはデータの中に隠されています。
求人に関する詳細なデータを押さえつつ、業界の動向も概観できる「マーケット&サラリーレポート」をヒントに、大局観のある人材戦略を打ち立てていきませんか。
