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IT・テクノロジー業界の人材不足解消のために…日本企業の「構造的な課題」とは
自社は「未来に対応できる組織」になっていますか?
グローバル規模で年間4.4兆ドルの生産性の可能性を秘めた生成AI(GAI)の台頭など、IT・テクノロジー業界は今、大きな転換期を迎えています。そして企業にも、この流れに取り残されることのない「未来に対応できる組織の構築」が求められています。
多くのテクノロジー企業が気づいていない「構造的な課題」とは?
ランスタッドは、世界の経営幹部および人事部門のリーダー1,060名を対象としたグローバル調査「2025年 タレントトレンドレポート IT・テクノロジー業界版」を公開しました。
同調査によると、先ほどの「未来に対応できる組織の構築」は、テクノロジー企業のリーダーの大多数、93%が最優先事項であるとしています。その一方で、半数を超える60%が「人事の戦略的関与が遅すぎる」とも感じており、ジレンマを抱える様子がうかがえます。
実は、この急速な変化に後れを取りがちな企業の多くが気づいていない「構造的な課題」が存在するのです。本記事では、ランスタッドの最新レポートとコンサルタントの視点から、日本のIT業界が直面している真の課題と、その解決策を探っていきます。
データが示す、IT・テクノロジー業界の「理想」と「現実」のギャップ
「2025年 タレントトレンドレポート IT・テクノロジー業界版」の調査結果によると、リーダーがジレンマを抱えている状況に反して、IT業界が先進的な取り組みを積極的に進めている様子が浮かび上がってきます。
採用活動にAIを活用
これは全体平均(36%)や他の業界の数値を大きく上回っており、多くのIT・テクノロジー企業がAIとビッグデータを活用して人材パイプラインを拡大している様子がうかがえます。
そして、人材の機敏性を高めるために「仕事のピクセル化」といったアプローチを取り入れている経営者も多く見られます。
急速に変化する業界で競争力を維持するためにも、能力を優先したチーム構築に動いている様子がうかがえます。
先進的な取り組みは進んでいるのに、なぜ人材不足が解決されない……?
AI活用や人材の機敏性、スキルベース採用といった先進的な取り組みが進む一方で、IT・テクノロジー業界では依然として41%のリーダーが「人材不足」を最大の懸念事項として挙げています。その背景には、個々の施策が先行し、組織全体の人材戦略や企業文化がビジネスの変化に追いついていないという構造的な問題が存在します。特に、スキルベースモデル導入の障壁として、「文化的な変革の必要性」「スキルの効果的な評価の難しさ」「管理職の経験や役職に基づいた採用傾向」が挙げられています。
コンサルタントが斬り込む、日本のIT・テクノロジー業界が抱える「構造的な課題」
ランスタッド デジタルタレントソリューション事業本部 プロフェッショナル事業部 アソシエイトディレクター リチャードソン・アレクサンダーのコメントからは、積極的な取り組み姿勢にもかかわらず特に日本のIT・テクノロジー業界における人材不足が懸念される、その理由を垣間見ることができます。
自社が技術業務の「負のスパイラル」に陥っていないか
アレクサンダーは日本のIT・テクノロジー業界が直面する深刻なスキル不足の根本的な原因として、「技術業務を外部委託に大きく依存してきた」点を指摘しています。確かに、日本企業のシステムインテグレーターへの依存度の高さは、レガシーシステム問題や「2025年の崖」といった日本特有の課題を見ても明らかです。
外部委託は短期的な効率化にはつながるかもしれませんが、長期的に見ると、この高い依存度の結果として「社内にスキルを持つ人材がいない・足りない」状況に陥り、本来社内で育てるべき「グローバルで通用するIT・テクノロジーのプロフェッショナル」や「需要の高いスキルを持つ人材」が育ちにくい環境を生み出しているとも考えられます。ここに「構造的な問題」があるのです。
アレクサンダーのこの指摘は、自社にも当てはまる点はないでしょうか。未来の競争力を支える「人材」という資産を、外部に依存せず育てていくためにはどうすればよいのでしょうか。
「2025年 タレントトレンドレポート IT・テクノロジー業界版」で、次の一手を見つける
AIの活用やスキルベース採用といったタレントトレンドへの対応はもちろん重要です。しかし、それと同時に人材のスキル不足の要因たる「日本企業の構造的な特性」を自覚すること、そして「自社で人材を育成する」という文化と仕組みを再構築することが、日本のIT・テクノロジー企業が根本的な人材不足から脱却するための戦略の1つになりうるのではないでしょうか。
アレクサンダーも「ランスタッドでは、奇跡的な結果を約束するデジタルソーシングツールの存在感が増す中でも人間的要素はかけがえがないと信じています」と、人材を育成する重要性についてコメントしています。
今回ご紹介したレポートには、AI活用、仕事のピクセル化、スキル・ファーストといった世界最先端のトレンドに関する詳細なデータと洞察が満載されています。アレクサンダーが指摘した課題を乗り越え、「自社で人材を育成する」文化と仕組みを再構築し、真に競争力のある組織へと変革するための具体的なヒント、例えば「AIを駆使した社員のスキル/ポテンシャルの把握」や「学習のパーソナライズ化」などのノウハウがここにあります。
未来のIT市場をリードするための具体的な戦略を描く一助として、ぜひ本レポートをご活用ください。