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給料より大切なものがある?「ワークモニター2025」で見えた日本の働き手の変化
働き手の意識が見える!ランスタッド「ワークモニター」とは?
世界の労働者の意識がわかるグローバル調査
ランスタッドでは、世界の労働者を対象とした働く意識調査「ランスタッド・ワークモニター」を四半期毎に実施しています。調査開始から22年目となった2025年は、ヨーロッパ、アジア太平洋、南北アメリカの35の国と地域で26,000人の労働者を対象に調査が行われました。世界全体のトレンドと日本の現状の双方をとらえた上で今後の社会課題や人事施策について考えていくための貴重な資料となっています。
働き手と雇用主の間のギャップも見える
「ワークモニター2025」では初めて、関連調査である「タレントトレンドレポート 2025」を参照し、働き手の「人材戦略に対する期待」と、雇用主が考える「事業戦略の優先事項」を比較分析しています。その結果、個々の価値観の尊重、公平性、スキルの面で、働き手と雇用主に明らかなギャップが浮かび上がっていることがわかりました。
ワークプレイスの新たな指針が浮き彫りに
個々への寄り添い
「ワークモニター2025」においては、世界全体の働き手の「就業先の選定において重視する項目」に変化が見られました。ワークモニターの22年の歴史で初めて「ワークライフバランス」(83%、日本:65%)を重視する声が「給与」(82%、日本:62%)を上回ったのです。
さらに、若い世代ほど給与を重視する傾向は低く、Z世代(68%)とミレニアル世代(81%)で10ポイント以上、Z世代とX世代・団塊世代(ともに87%)では実に20ポイント近くの差が開いています。
また、従業員が希望する週間出勤日数で最も多かった回答は、週3日の26%なのに対し、雇用主が義務付けている日数で最大は「週5日」の31%と乖離が見られます。
また、「組織のリーダーシップを信頼できないと感じたために辞めたことがある」という回答者は31%(日本:27%)、「キャリアアップの機会がないために仕事を辞めたことがある」という回答者は31%(日本:14%)に及びました。給与は依然として重要だと言えますが個々の価値観への寄り添いも不可欠となってきているのです。
コミュニティ
同調査によると、世界全体の働き手の83%(日本:62%)が「職場をコミュニティのように感じたい」と考えており、「同僚との連帯感は仕事のパフォーマンス向上に繋がる」という意見も83%(日本:77%)に及びました。
一方で、「職場で自分自身をある程度隠している」という回答者は62%(日本:63%)と、前年の55%(日本:56%)から増加。「居場所を感じられない、または有害な職場環境」では、半数以上(55%、日本:34%)が退職を検討し、実際に「有害な職場環境を理由に退職した」人の割合は去年の33%(日本:17%)と比較して今年は44%(日本:26%)へと上昇しています。
そして人材の62%(日本:46%)は「公平性の取り組みがよりよい変化を起こすことができる」と考え、職場の公平性の価値を明確に認識している一方で、59%(日本:54%)は、自分の組織はこの面で十分なことをしていないと回答しています。
このデータは「強いコミュニティ意識は生産性を向上させ、職場の幸福感を支える」ことを示しています。社員同士のつながりを醸成することは、働き手にとって望ましいだけでなく、ビジネスにとっても有益な結果を生むであろうことが垣間見えます。
スキルアップ
同調査では、世界全体の働き手の72%(日本:42%)が「トレーニングや開発の機会を重要視」しており、「雇用主が提供してくれたら、学習と開発の機会に最も興味がある」分野として、23%(日本:16%)が「AI」、11%(日本:7%)が「ITおよび技術リテラシー」、6%(日本:5%)が「プログラミング/コーディング」を挙げています。そして41%(日本:22%)が「雇用主がスキル開発を提供しなければ退職する」と回答しています。
その一方で「雇用主が将来的にキャリアに役立つスキル(AIなど)の開発を支援してくれている」という回答者は55%(日本:27%)、「タレントトレンドレポート 2025」によると、すべての従業員に提供されているコーチングプログラムは9%にとどまります。
このデータから、働き手は「自分のスキルを将来にわたって役立つものにする必要性」を十分に認識しているものの、トレーニングを受けたい人材と実際に受けられている人材の間には依然としてギャップがある様子が窺えます。
ギャップ
回答者の72%(日本:42%)が「トレーニングや開発が重要だ」とし、52%(日本:46%)は「所属する組織がスキル開発の機会を提供してくれると信頼している」と答える一方で、人事担当者の58%が、「再教育の提供にもっと力を入れたいが、どうすればよいかわからない」と答えています。
雇用主が「自らの認識を省みて、働き手の持つ新しい価値基準とのギャップを埋める」こと、その作用として「すべての人材が働きたいと思う職場を作る」こと。これらは理想論や遠い未来の目標などではなく、もはやビジネス上の必須事項となりつつあります。ここに雇用主の明確な使命があると言っていいでしょう。
働き手の考えていることに目を向け、声なき声を聞こう
「不平不満は聞こえてこないのに、なぜか人材が定着しない」といった企業では、働き手の意識と企業の方針のギャップが可視化されていないことも珍しくありません。経営陣の主観だけで事を進めるのではなく、従業員や、働き手一般の考えていることに目を向け、たとえ声なき声であっても、それを聞こうと工夫する姿勢が重要です。
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