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「派遣先管理台帳」の基本知識 記載項目や通知、保管のルールをわかりやすく
派遣先管理台帳は、派遣先企業で作成・通知・保管が必要な資料です。記載すべき項目や通知方法や頻度、保管方法など、派遣先管理台帳の基本情報を解説します。
派遣先管理台帳とは その役割と目的
派遣先管理台帳とは、労務管理に必要な基本的な項目(後述)をまとめた書面のことです。派遣先・派遣元の情報や、派遣労働者の就業状況(どのような業務内容や条件で就業しているのか)が一覧できるようになっています。
派遣先管理台帳の目的は、労働環境の適正管理を図り、労働条件にかかわるトラブルを未然に防ぐことです。そのため、労働局による雇用環境の調査資料としても利用されます。
通常は、派遣先企業が受け入れた派遣労働者ごとに派遣先管理台帳を「作成」し、派遣契約中は常に更新します。また、一部の項目については少なくとも月に1回、派遣元への「通知」が必要です。さらに、契約期間終了後も、派遣先管理台帳は3年間適正に「保管」しなくてはなりません。
派遣先管理台帳の「作成」「通知」「保管」が適正になされなかった場合、30万円以下の罰金などのペナルティーが課されますから、ヌケモレのないよう取り扱いましょう。
派遣先管理台帳の作成が不要のケース(例外)
先述の通り派遣先管理台帳には作成義務がありますが、事務所の社員と派遣労働者の合計人数が5人以下の事業所の場合は作成が免除されます。
ただし、先に述べたように、派遣先管理台帳は派遣元との勤務実態の共有や労務管理に役立つ書類ですから、作成しておくのが望ましいといえます。
派遣先管理台帳の「作成」
派遣先管理台帳は、派遣労働者ごとに作成が必要なため、たとえ1日だけの短期派遣であっても作成しなければなりません。
また、派遣先管理台帳の記載項目は、法改正によって変わることがあります。労務局のWEBサイトなどで定期的にチェックしましょう。
※本記事の派遣先管理台帳の記載項目は、2024年11月現在の最新のものです。
派遣先管理台帳の「保管」
作成した派遣先管理台帳は、派遣先での保管が義務付けられています。ここからは、保管期間と保管方法を解説します。
保管期間
派遣先管理台帳の保管期間は、当該派遣労働者の派遣期間終了から3年間です。派遣契約が更新された場合は、最終の派遣期間の終了日から3年間となります。
保管期間中は、労働局や派遣元からの要請に応じられるように、すぐに閲覧できる状態にしておく必要があります。
保管方法
派遣先管理台帳は、閲覧・提供ができるようにしておけば、紙またはデータどちらの保管方法でもかまいません。個人情報が含まれているため、紛失・漏洩のリスクを避け厳重に保管・管理しましょう。
データで保管する場合には、万が一のデータ損失に備え、定期的なバックアップが望まれます。
また、タイムカードや勤怠システムといった勤務実態にかかわる書類・データも同様に保管します。
派遣先管理台帳の「通知」
派遣先管理台帳は人材派遣会社の雇用管理にも利活用されるものです。そのため、派遣先管理台帳に記載の事項を派遣元に定期的に通知しなければなりません。
通知項目
派遣先へ定期的に通知する項目は、以下の6点です。就業状況については、タイムカードや勤怠システムの記録でも代用できます。
[派遣元への通知項目] ・派遣社員の氏名
・派遣就業した日(実際に就業をした日)
・就業状況(就業日ごと始業・終業時刻、休憩時間)
・業務の種類・内容
・派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(役職名の有無など)
・派遣就業した事業所の名称、所在地、部署、就業場所、組織単位
|
通知方法
派遣元への通知方法は下記の方法があります。どの方法を採るかは派遣先と派遣元とで決定します。
・書面
・FAX
・電子メール(メール内に記載、もしくは、通知内容のデータを添付)
|
通知のタイミング・頻度
先に挙げた通知が必要な6項目については、派遣先から派遣元へ1ヵ月に1回以上、あらかじめ双方でとり決めておいた期日に通知します。
また、定期的な通知以外でも、派遣労働者から苦情を受けた場合には、その都度、派遣元にその日付・内容・対処(顛末)を通知したり、派遣元から請求があった場合にはすみやかに通知したりしなければなりません。
派遣先管理台帳の記載項目
ここからは、派遣先管理台帳に記載する項目と、そのポイントを見ていきましょう。記載項目は2024年11月時点での最新版です。
派遣先管理台帳に定められたフォーマットはありません。記載項目を満たしていれば、自社でフォーマットを作成しても問題ありませんし、労働局などが提供している様式例を活用するのもよいでしょう。
【派遣先管理台帳の記載項目】
◯は通知項目
No. |
記載項目 |
補足 |
1 |
◯派遣労働者の氏名 |
60歳以上か未満かも記入。 |
2 |
◯派遣元事業主の名称 |
もしくは、派遣元である個人事業主の氏名。 |
3 |
◯派遣元事業主の事業所名 |
正式な事業所名。 2と同じ内容となることもある。支社・支部の場合はその名称も3に含める。 |
4 |
◯派遣元事業主の事業所所在地 |
派遣元事業所の所在地、電話番号。 |
5 |
◯協定対象派遣労働者か否かの別 |
派遣元から通知を受けて記載する。 |
6 |
無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者かの別 |
派遣元から通知を受けて記載する。 派遣期間が決まっている有期雇用か、決まっていない無期雇用かの別を記載。 |
7 |
派遣就業した日 |
実際に就業をした日を記載。 |
8 |
就業状況 |
就業日ごとの、始業・終業時刻、休憩時間の実績を記載。 タイムカードや勤怠表、勤怠システムの記録で代用できる。 |
9 |
業務の種類・内容 |
可能な限り詳細に記載する。 ※政令第4条第1項に定める業務(日雇派遣の禁止の対象外となる業務)には、号番号を記載する。 |
10 |
派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度 |
チームリーダーや副リーダー等の役職があればその役職を記載。役職がなければその旨を明記する。 派遣労働者の権限の範囲・程度等も具体的に記載するのが望ましい(決裁権限、緊急時の対応、部下の人数など)。 |
11 |
派遣就業した事業所の名称、所在地、部署、就業場所、組織単位 |
部署も含めて記載。 |
12 |
派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項 |
苦情を受けた年月日、内容、及び苦情の処理状況(対応や対策など)。事実を簡潔に記載することを心がける。 本項目は苦情処理の都度記載し、派遣元にも通知する。 |
13 |
紹介予定派遣に関する事項 (紹介予定派遣の場合のみ) |
派遣労働者が紹介予定派遣の場合のみ、以下の項目を記載する。 ・紹介予定派遣であること ・派遣労働者を特定することを目的とした行為の内容(面接など)、選考の基準、採否結果、辞退または雇用しない場合にはその理由 |
14 |
教育訓練を行った日時、内容 |
派遣先が派遣社員に行った教育訓練(OJTやoff-JT)を行った場合に記載する。 項目内容は、教育訓練の実施日、時間、内容。 |
15 |
派遣元責任者に関する事項 |
派遣元の責任者(派遣先・派遣労働者との調整を図るなど労務管理を担う者)について、役職、氏名、連絡先を記載。 |
16 |
派遣先責任者に関する事項 |
派遣先の責任者(派遣元・派遣労働者との調整を図るなど労務管理を担う者)について、役職、氏名、連絡先を記載。 |
17 |
期間制限を受けない業務を行う労働者派遣に関する事項 |
同一の派遣社員が同一事業所で就業できる期間の上限は原則3年間だが、条件や業務内容によってはこの制限を受けない。 制限を受けない業務の際はその理由(以下例)を記載。 ・60歳以上の者 ・有期プロジェクト業務 ・日数限定業務 ・育児休業、介護休業等の代替業務 |
18 |
健康保険、厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格取得届提出の有無 |
雇用保険や社会保険などの被保険者資格取得届について、派遣元から通知を受けて記載。 「無」の場合は、その具体的な理由(以下例)も併記。 ・加入資格を満たしていない ・取得申請中 |
[フォーマット]最新版・記載例は労働局のWEBサイトからダウンロードできる
派遣先管理台帳は、厚生労働省や各労働局から最新のテンプレートや記載例が提供されています。必要な情報を入力すれば最新の項目を満たすため、ぜひ活用してみてください。
■東京労働局 「参考例13 派遣先管理台帳」 ■大阪労働局 「⑥派遣先管理台帳」 |
派遣先管理台帳は定期的にチェックを
派遣先管理台帳は派遣先に「作成」「保管」「通知」が義務付けられています。法改正によって項目が変更されていないか、年に1度は厚生労働省や各労働局のWEBサイトをチェックしておくと安心です。
人材派遣サービスを利用するには、派遣先管理台帳を含めてさまざまな書類や手続きが絡みます。事務手続きを適正かつ効率的に進めるには、不明点をわかりやすく説明できる人材派遣会社を選ぶのもポイントといえるでしょう。
なお、派遣先管理台帳は派遣先企業側で制作するのが通常ですが、人材派遣会社に作成代行を依頼することも可能です。ランスタッドでは派遣先企業さまに代わり無料で派遣先管理台帳を制作するサービスを実施していますので、ぜひご検討ください。
また、ランスタッドの派遣サービスを初めてご利用・ご検討いただく法人様に向けて、「初めての派遣ご利用ガイド」もご用意しています。初めて派遣社員に業務指示をされる指揮命令者の方や、すでに派遣をご利用中で見直しを考えられている方にもおすすめの内容となっています。ぜひご覧ください。
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