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派遣料金とは?企業が支払う料金に含まれるもの・含まれないもの
派遣料金には、派遣スタッフの賃金だけでなく、社会保険料や有給休暇費用などのマージンも含まれています。職種別の相場やマージンの内訳などをご紹介します。
派遣料金とは?企業が支払う料金に含まれるもの・含まれないもの
人材派遣の料金、つまり派遣料金とは、自社(派遣先)が人材派遣会社(派遣元)に支払う料金のことを指します。派遣料金のうち、実際に派遣スタッフに支払われる賃金は7割ほどで、残りの3割が派遣会社のマージン(後述)です。
派遣料金以外の費用や手数料がかかることは基本的にはありません。例えば、労働者派遣契約を結ぶ前に行われる、派遣会社への問い合わせや相談、派遣会社による派遣スタッフの選定などには料金がかかりません。
マージンの内訳 派遣会社の利益は全体の1.2%程度
先述のとおり、派遣料金の3割程度は人材派遣会社のマージンとなります。マージンとは利益や手数料のことを指し、人材派遣においては派遣料金から派遣労働者の賃金を除いた金額の割合のことをマージン率として算出します。派遣料金の内訳は人材派遣会社によって多少の差異はあるものの、おおむね次のグラフのとおりです。
一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣料金の構造」を元に作成
有給休暇費用や社会保険料などの福利厚生も含めると、派遣料金のおよそ85%が派遣スタッフのために使われていることがわかります。
「派遣会社諸経費」は「募集広告費用などの諸経費」、「派遣社員の教育訓練費」、「派遣社員をサポートする営業担当、コーディネーターなどの人件費」など派遣スタッフに還元される費用も多く含まれており、派遣会社の営業利益は全体の1.2%程度にとどまります。
したがって、派遣会社を選ぶ際には、マージン率だけで比較するのではなく、総合的に勘案することが重要です。
<マージンに含まれる費用> 社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料) 保険料(雇用保険料、労災保険料) 教育訓練費、福利厚生費 有給休暇費用 派遣会社の社員の人件費や、広告宣伝費などの諸経費 派遣会社の営業利益 |
派遣会社のマージン率の確認方法
平成24年の労働者派遣法改正により、すべての派遣会社は毎事業年度に1回、事業所ごとのマージン率の公開が義務付けられたため、誰でも確認が可能です。各派遣会社のウェブサイトや、厚生労働省職業安定局「人材サービス総合サイト」に記載があるので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみにランスタッドのマージン率は、「各事業所の派遣事業状況」で確認できます。
マージン率以外にも、派遣料金の平均額や、派遣労働者の賃金の平均額など、「あらかじめ関係者に対して知らせることが適当である事項(労働派遣法第23条第5項)」に定められた項目については公開が義務付けられているため、派遣会社選びの検討材料として役立ちます。
福利厚生やサポート体制が手厚い人材派遣会社は、マージン率が高い傾向にあります。派遣会社や派遣スタッフとは長期的な関係を築くことになりますから、マージン率やその使い道、そのほかのあらゆる情報を総合的に考え合わせることが大切です。
例えばランスタッドでは、派遣スタッフが安心して就業できるよう、福利厚生はもちろん、快適に働ける環境を支援しています。
【全体】派遣会社に払う金額の相場(平均値)
厚生労働省が発表した「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、派遣先から派遣会社に支払われる金額の相場は以下のとおりです。
・派遣料金(8時間換算)の平均額は、24,909円(対前年度比:1.8%増) ・派遣労働者の平均賃金(8時間換算)は、15,968円(対前年度比:1.7%増) |
※派遣料金は、消費税を含む額の記載。
これは全業務の派遣料金の平均額であり、医師(103,374円)や薬剤師(36,054円)など、平均額の高い職種も含まれます。そのため、一般事務事業者など一般的な職種の平均値はもう少し下がります。
派遣料金は職種やスキル、マージン率、地域性などによって変動します。高い専門性や語学力、資格が必要であれば、その分料金は高くなります。このあたりのトレンドは求職市場と似ていると考えてよいでしょう。
【職種別】派遣会社に払う金額の相場(平均値)
続いて、派遣料金(派遣会社に支払う金額)の職種別の平均値を見てみましょう。厚生労働省が発表した「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」より、派遣労働者が多く従事している職種を抽出しています。
【職業別 派遣料金表】
職種別 |
派遣料金 |
派遣労働者の賃金 |
製造技術者 |
27,110円 |
17,104円 |
建築・土木・測量技術者 |
32,637円 |
20,772円 |
情報処理・通信技術者 |
32,871円 |
20,120円 |
一般事務従事者 |
17,145円 |
11,656円 |
会計事務従事者 |
18,394円 |
12,246円 |
商品販売従事者 |
15,699円 |
10,873円 |
営業職業従事者 |
23,652円 |
15,809円 |
介護サービス職業従事者 |
15,531円 |
10,585円 |
飲食物調理従事者 |
14,429円 |
9,847円 |
接客・給仕職業従事者 |
15,128円 |
10,542円 |
居住施設・ビル等管理人 |
17,747円 |
12,214円 |
製品製造・加工処理従事者 |
16,073円 |
10,956円 |
厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」を加工して作成
派遣料金月額、および時給の計算例
先ほどご紹介した職業別の派遣料金は、1日分(8時間換算)の金額です。ここから派遣料金の月額や派遣スタッフの時給を導き出せます。
・派遣料金の月額
1日の派遣料金×1ヶ月の勤務日数で、おおよその月額派遣料金が算出できます。
例えば一般事務従事者が1ヶ月に20日間勤務すると仮定した場合、「17,145円×20日=342,900円」となります。
・派遣労働者の時給
1日の派遣労働者の賃金÷8時間で、おおよその時給が算出できます。
一般事務従事者を例にすると、「11,656円÷8時間=1,457円」となります。
同じ職種でも、求めるスキルや経験で派遣料金が変動
ここまで平均的な派遣料金・賃金をご紹介してきましたが、同じ職種であってもスキルや経験により金額が左右されることは押さえておきたいところです。
例えば、一般事務従事者を派遣するとして、求めるスキルが「一般的なPC操作が可能なレベル」か「関数やピボットテーブルが扱えるレベル」かでは、時給換算で数百円の差が出るものです。
「必要なスキルに限定する」「資格があれば実務経験は問わない」など、希望条件を緩めることによって、派遣料金を抑えたり、適切な人材が見つかりやすくなったりするでしょう。
人材派遣の導入で削減できるコスト
自社で社員を採用することと比べて、人材派遣では以下のようなコストが削減できます。
採用のためのコスト削減
人材派遣を利用する場合、派遣スタッフの募集から人選、採用まで派遣会社が行います。そのため、従業員を直接雇用する際にかかる、求人のための手配、募集広告の作成および費用、書類選考・面接といった採用業務の費用・工数などが削減できます。
人材育成のための費用・教育担当者の負担軽減
派遣会社は企業の要望をヒアリングし、スキルや条件に合った派遣スタッフを提案します。そのため、即戦力となるスタッフの就業が可能で、社内の教育担当者の負担軽減が期待できます。
労務管理のコスト軽減
派遣スタッフの労務管理は派遣会社が行うため、労務管理のコストが軽減します。給与の計算やスタッフへの支払い、年末調整も人材派遣会社が行うほか、先に解説した各種保険料の会社負担分もマージンに含まれるため、派遣会社が負担します。
ただし、派遣先企業は派遣スタッフに対して指揮命令権を持つため、「労務管理の管理」「就業中の危険防止の措置」「快適な就業環境の整備」といった管理は必要です。
繁忙に合わせた人員調整
繁忙期に合わせて従業員を雇用すると閑散期に余剰の人件費がかさみ、反対に閑散期に合わせると繁忙期に人が足りなくなるように、繁忙に合わせた人員調整はなかなか難しいものです。
人材派遣の場合、1日4時間勤務や週3日勤務のような限定的な雇用や、繁忙期や病欠・産休・育休のように一時的な人員調整でも柔軟な対応が可能です。また、急な欠員が出たときの補填としても直接雇用より機動力が高く、希望条件にかなう人材が早く見つかりやすいでしょう。
ただし、短期的な派遣スタッフの受け入れは、派遣料金が上がる傾向があります。繁忙期の調整については、現在の業務内容を整理し効率化を目指すといった施策も選択肢のひとつです。
すでにいる従業員を、繁閑にあわせて柔軟に配置する「変形労働時間制」という方法もあります。以下の記事で「変形労働時間制」の考え方や、条件、デメリット等を解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
労働時間を効率的に配分する 変形労働時間制の仕組みやメリットをわかりやすく解説
人手不足の解消やコスト削減に、人材派遣を活用しよう
人手不足の解消や業務効率化、コスト削減などの施策の一環として、派遣会社の利用は有効な選択肢です。派遣料金は職種やスキル、労働条件、マージンなどさまざまな要素で決定され、さらに求人トレンドやエリアにも左右されます。
マージンには社会保険料や福利厚生など、派遣スタッフに還元される分も多く含まれるため、一概に安いほどよいとはいえません。さまざまな要素を踏まえ、総合的に判断するのがアウトソーシングの成功の近道です。