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BCPは中小企業にも重要!人事がチェックすべき緊急対応・防災対策
緊急対応・防災対策、アップデートできていますか?
緊急対応・防災対策の要「BCP(事業継続計画)」とは?
BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字をとった略語で、日本語では「事業継続計画」を指します。企業や自治体が、災害などの緊急時に主要な事業を継続・早期復旧するためにあらかじめ定めておく計画のことです。
BCPを定めておくと、緊急時の行動や意思決定などがスムーズに行え、中核事業の運営を維持しやすく、また早期復旧を図りやすくなることが期待できます。日ごろから有事への備えを欠かさない企業として、企業価値の向上にもつながります。
また、中小企業への経営サポートの一環として中小企業庁が「中小企業BCP策定運用指針」を公開していることからも、企業規模に関わらずBCPを策定しておくことの重要性がわかります。「中小企業BCP策定運用指針」の内容はかなり詳細にわたります。この記事ではおおまかに、「BCPとして定めておくべきこと」を状況別に見ていきます。
自社の対策、「コロナ禍用の急ごしらえ」のままにしていませんか
2024年1月に発生した能登半島地震は個人だけでなく、地元企業をはじめとするビジネスの場にも大きな被害をもたらしました。地震に加えて、豪雨や台風などによる自然災害も年々深刻になっており、企業にとって、いつどこで事業継続に差し支えるほどの被害に遭うかわからない状況が続いています。
コロナ禍に対応するため急遽リモートワークなどを取り入れた企業も多いかと思いますが、対応マニュアルなどが当時のままになっていませんか?緊急事態発生時のBCPや休業の判断、出社中に災害が発生した場合の動きなど、改めて見直しておきましょう。
人事が取り組むBCP①「就業時間外に災害が発生・予想される場合」
連絡網の確立、連絡がつかない場合のルール作り
連絡網は電話が優先されがちですが、災害発生時は電話回線の利用が難しいことも想定されます。「連絡がつく」ことを第一に考え、利用できる可能性の高い連絡手段で連絡を取りあうよう定めておきましょう。2024年2月時点では、電話・Eメール(キャリアメール)よりも、グループチャットなどのネット回線のほうが災害発生時にも利用できる可能性が高いと見られています。また、連絡のつかない人員が出た場合のルールも定めておきましょう。
社員の対応に関するルール作り
災害発生直後の就業についてどうするかも決めておかねばなりません。「鉄道が運休している場合」など、どのような場合は自宅待機・在宅勤務とするか、想定される被害状況や鉄道の運行状況を参考にルールを定めておきましょう。休暇中の旅行先など、出先で被災した従業員はどうするかも考えておきたいところです。
「就業時間外に災害が発生・予想される場合」のチェックリスト
□チャットなど連絡のつきやすい手段での「連絡網」の確立 □連絡がつかない場合のルール策定 □災害発生直後の就業に関するルール策定(出社・自宅待機・在宅勤務) □出先で被災した場合のルール策定 |
人事が取り組むBCP②「就業時間中に災害が発生・予想される場合」
社内にいる従業員に関するルール作り
まず災害発生時、社内にいる従業員についてどうするかを決めておきましょう。交通機関などに支障がない場合は退社させることもできますが、移動に危険が伴うと思われる場合は社内に待機させたり、逆に社内が危険と思われる場合は集団避難を実施したりしなければなりません。
各ケースのルール作りと併せて、日ごろからハザードマップで主な通勤経路や避難時の経路を確認しておきましょう。避難訓練の実施や、非常時用の備蓄確保、救助・応急手当用品の確認・メンテナンスも欠かせません。
社外にいる従業員に関するルール作り
災害発生時、社外にいる従業員についてどうするかも決めておきましょう。基本的には就業時間外に災害が起きた場合と同じ連絡網やルールで対応できますが、出張先や客先で被災した場合は先方との兼ね合いもありますから、それも加味して考えたいところです。
警報・予報発令時に関するルール作り
災害発生時の対応だけでなく、台風や降雪などの警報・予報を受けて、予防的な対応をしなければならない場合も考えられます。「鉄道が計画運休を発表した場合は……」などのように、気象情報と鉄道の運行状況を参考に退社・自宅待機・在宅勤務に関するルール作りをしておきましょう。
可能であれば地域の帰宅困難者への対応も視野に
まずは自社と従業員の対応について考えねばなりませんが、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、地域の帰宅困難者への対応なども考えておけるとなおよいでしょう。オフィスを利用した休憩場所やトイレの提供など、いざというときに混乱しないようあらかじめルール化しておきたいところです。
「就業時間中に災害が発生・予想される場合」のチェックリスト
□社内にいる従業員に関するルール策定(退社・社内待機・集団避難) □ハザードマップによる通勤経路や避難経路の確認、避難訓練の実施 □非常時用の備蓄確保、救助・応急手当用品の確認・メンテナンス □社外(出張先・客先)にいる従業員に関するルール作り □警報・予報発令時に関するルール策定(退社・自宅待機・在宅勤務) □(可能であれば)地域の帰宅困難者への対応ルール策定 |
人事が取り組むBCP③「自社や取引先の被害把握・復旧対応」
自社・取引先の状況把握フローの策定
まずは従業員の安否確認や安全確保などの初動対応が最優先ですが、その後に事業継続や早期復旧を果たすには、より詳細な現状把握が欠かせません。落ち着いた時点で速やかに出社・勤務が可能な人員を把握し、また業務に関連する取引先の状況が把握できるよう、情報収集のフローを策定しておきましょう。
出社・勤務の難しい状況が続く場合のルール・体制作り
災害でオフィスが使えなくなった、従業員が遠方へ避難したなど、長期にわたって出社・勤務が難しいケースへの対応も考えておきたいところです。例えば、オフィスなどの被害が大きく業務が続行できない場合は従業員を欠勤扱いとすることもできますが、離職のリスクも高まります。もしリモートワークで業務が続行できれば、事業を継続しながら人員確保も望めるのです。リモートワークの環境作りや実施ルール策定、休業に関する判断基準作りなどはあらかじめ意識しておきましょう。
「自社や取引先の被害把握・復旧対応」のチェックリスト
□初動対応の確認(状況は落ち着いているか) □出社・勤務が可能な人員の把握フローを策定 □取引先の状況把握(情報収集)フローの策定 □長期間出社・勤務が難しい場合のルール策定(休業の判断基準) □リモートワークの環境作り・実施ルール策定 |
人事だけでなく上層部も巻き込んでBCP策定し、有事に備えて
BCPには、人事だけでは決裁できない重要事項や、トップの方針を反映させるのが望ましい内容も少なくありません。まずは人事で「中小企業BCP策定運用指針」を確認して必要事項を洗い出すなど、できることから始めつつ、上層部も積極的に巻き込んで有事に備えたいところです。
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