仕事の未来2023-2027(どうなる?これからの仕事)第1回

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今回より12回にわたって、“仕事の未来2023-2027(どうなる?これからの仕事)”と題して、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2016年より2年に1度発行している“Future of Jobs Report”の最新版(2023年版)のレポートの要約をお伝えしていきます。

このレポートには、世界の27の産業分野、複数の経済圏にまたがる全803社(雇用者総計1,130万人)による見通しや意見が反映されています。これは、A4判で300ページ近くのボリュームがある英語版のファイルで、世界の仕事・労働市場の変化を読み解くために必須の資料となっています。

 もちろん、日本独自の労働市場の特性はあります。また、労働市場は、モノやお金のマーケットと比べ流動性は低いということも確かです。

しかし、グローバルでの資本移動が常態化し、人やモノや、そして情報が瞬く間に移動して経済に影響を及ぼすようになった昨今、世界全体の仕事のトレンドや、グローバル企業の見解を知ることは、日本の企業人にとっても重要だといえるでしょう。一見、グローバル市場と関連が無いように思われる分野でも、仕事や労働市場の変化を予測するためには、やはり世界も動きも知る必要があるのです。

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“Future of Jobs Report 2023年版”は、世界経済フォーラムが、グローバルレベルでセクター横断な調査を実施し、その結果をまとめたもので、2023年から2027年にかけて企業がどのように労働市場の変化を乗り越えていくことになるのかをまとめたものです。

 まず、レポートの構成を見ておきましょう。構成は以下の通りです。

 第1章では、2023年の世界の労働市場の状況を概観しています。第2章では、2023年から2027年にかけて、主要な世界のトレンドが、労働市場や仕事の状況をどのように変容させるかを探っています。第3章と第4章では、2023年から2027年にかけて、雇用とスキルがグローバルなレベルで、どう変化するかの見通しについて述べています。第5章では、こうしたトレンドに対応するための、企業における新しい労働力・人材戦略について論じています。

 そして、レポートの付録として、調査手法、マクロレベルでのトレンド、最新テクノロジーの導入、[仕事の]スキルの今後に関して、詳細なセクター別の調査の内訳が紹介されています。

 さらに、このレポートでは、今回(2023年版)が最初の試みとなる、経済・産業・スキルの包括的なプロファイルが掲載されています(付録に掲載)。プロファイルには、「ユーザーガイド」が用意されており、レポートとは独立して使える、実用的なツールにもなっています。

 さて、本レポート全体の構成は以下の通りになります。

◇序文
◇主な調査結果
◇本文
第1章.はじめに:グローバルな労働市場の展望
第2章.労働市場変革の推進要因
(1)マクロなトレンドが産業転換と雇用に対して与える影響
(2)新たなテクノロジーの導入が産業転換と雇用に対して与える影響
第3章.雇用(はどうなるか)の見通し
第4章.スキル(はどうなるか)の見通し
(1)予想されるスキルの混乱
(2)リスキリングとスキルアップにおける今後5年間の優先的課題
第5章.労働力戦略
(1)変革と労働力戦略に対する障壁
(2)人材確保と定着について
(3)人材開発
第6章.結論
◇付録(各種資料)

第1回目の本稿では、グルーバルな労働市場の展望を論じた第1章「はじめに:グローバルな労働市場の展望」を扱いたいと思います。

レポートの本文については、分量の都合で、日本語訳の全文ではなく、要約したものを記しています。また、レポート本体には、膨大なデータ、グラフが掲載されていますが、本稿には掲載はしておりません。それらを見てみたいという方は、ぜひ、レポートにアクセスしてみてください。 

 

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第1章 はじめに:グローバルな労働市場の展望

この3年間は、健康面、経済面、地政学的な面での困難に加えて、社会的、自然環境的な圧力も高まった。これらの変化が加速度的に進んだことで、世界の労働市場が再構築され、将来の職業とスキルに対する需要が生まれた。これは、国の内外を問わず、発展途上国と先進国とを問わず起きたことだった。

また、第4次産業革命、労働者と消費者の期待の変化やグリーン・エネルギーへの転換の必要性もまた労働市場を再構成する動因になっており、新しい職業やスキルへの需要を刺激している。グローバルでのサプライチェーンは、大きな地政学的変動、経済の不確実性、インフレ率の上昇などの課題への迅速な対応を迫られている。

COVID-19(コロナ)の世界的大流行だけでなく、世界では、時代が逆戻りしたかと思うような戦争が相次いで起こっています。ウクライナ戦争、アフリカ各地でのクーデター、そして、このレポートが発表された後の今年10月に始まるイスラエルとハマスの軍事紛争など、世界経済に大きな影響を与えています。9月にはモロッコで大地震がありました。

戦争や疫病の流行は、経済そのものだけでなく、人の移動にも大きな影響を与えます。物資の不足が、別の国の特需をもたらすような例もあります。世界的なインフレも進行しています。気候変動の影響で、労働生産性が低くなる業種や地域もあるようです。

そこに、第4次産業革命といわれるような、テクノロジーの進化がけん引する経済の変化が覆いかぶさるように合流して、私たちの労働環境だけでなく、技術、仕事のスキルや働き方まで、大きく変わりつつあります。 

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低・中・高所得国間で乖離する労働市場の成果

過去3年間の経済危機と地政学的危機が絡み合った結果、労働市場の先行きは不透明になっており、先進国と新興国との格差や、労働者の中での格差が拡大した。COVID-19の世界的流行とそれに伴うロックダウンから、世界経済は、ようやく立ち直り始めたが、低・中所得国は失業率の上昇に直面し続けている。反対に、高所得国では、総じて労働市場が逼迫している。

このレポートが発行された2023年初頭時点では、最新の失業率はOECD加盟国の4分の3で、またG20の国の大半で、パンデミック以前の失業率を下回っている。OECD加盟国全体の2022年の失業率は4.9%で、2001年以来の低水準となっている。

対照的に、多くの発展途上国では、COVID-19による混乱からの労働市場の回復は遅れている。南アフリカでは、公式の失業率は30% にまで上昇し、パンデミック前に比べて5ポイントも上昇している。発展途上国の経済でも、とくに度重なるロックダウンで最も打撃を受けた「観光」分野などに依存している経済では、労働市場の回復は依然として緩慢である。

上記に見るような、コロナからの回復度合いの(先進国と途上国との間の)違いは、さらに目立つようになってきている。というのも、最も弱い立場の人々を保護し、雇用水準を維持するための政策を実行するための各々の国の能力に違いがあるからだ。先進国は、広範囲に及ぶ救済策を採用できたが、途上国・新興国は財政的に余裕がなく、最も弱い立場の労働者や企業への支援ができなかった。

2022年には、高所得国の労働市場では、様々な雇用指標が力強い回復を示すようになり、多くの部門で労働力不足が発生した。例えばヨーロッパでは、製造業とサービス業の10社中の3社が、2022年第2四半期までに、労働者不足のせいで生産が制約を受けたと報告している。とくに人手不足に陥っていたのは、看護関連職、配管工、ソフトウェア開発者、システム・アナリスト、溶接工、職人や建設関係に就く労働者、大型トラック・ローリー等の運転手などだった。

米国では、消費財小売・卸売業の70%近く、製造業の55%近く、レジャー・接客業の45%で、求人に人が集まっていないと報告されている。2022年後半に44カ国で実施されたグローバルレベルでの調査によると、従業員の5人に1人が、2023年中に転職をするつもりだと回答している。

米中対立、ロシアとウクライナの戦争などによって、世界秩序の組み換えが起こり始めています。グローバル・サウスと呼ばれる諸国の台頭などが目立ち、経済がブロック化しているとも言われています。

しかし、やはりG7やOECD加盟国(先進国)と、グローバル・サウス、BRICS11と言われる国々(新興国)の間では、コロナ後の労働市場の状況は異なっているようです。

先進国では、労働市場が逼迫しており(人手不足)、新興国では失業率が高い状況です。レポートでは、ヨーロッパの状況として、「看護関連職、…運転手」等の職種が列挙されています。これらは日本の状況とも似ており、先進国共通の課題が見て取れます。

アメリカの例などでも、サービス業、製造業、レジャー・接客業での人手不足が報告されています。

 

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性別、年齢、教育水準によって異なる雇用水準

世界経済フォーラムが作成している「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート 2022」によると、労働力人口におけるジェンダー・パリティ・スコア(ジェンダー公正を表す数値)は62.9%で、この指数が初めて作成されて以来、最低の水準となっている。2019年比でみると、若者の雇用不足は、南アジア、ラテンアメリカ、北アフリカ、東欧で最も大きく、2022年時点で完全に雇用が回復しているのは欧州と北米のみである。

基礎教育(日本における義務教育~高卒レベル)を受けたレベルの労働者は、2020年に最も大きな打撃を受け、労働市場への復帰が遅れた。多くの国において、基礎教育レベルの労働者の2019年から2021年にかけての失業率の増加は、高等教育を受けた労働者(日本における大学卒・専門学校卒)への影響の2倍以上であった。

このレポートを作成している世界経済フォーラムは、ジェンダー・ギャップ指数を毎年発表しています。

2023年は、日本は世界125位と順位を落とし、過去最低となったことは、ニュースでご覧になった方も多いでしょう。とくに、政治や経済分野で順位が低く、日本の経済にも暗い影を落としています。

しかし、世界全体で見ても、2023年は、ジェンダー格差が開いてしまったようです。ジェンダー・パリティ・スコアと呼ばれるジェンダーの公平性・公正性を示す数値は、労働力分野で62.9%と、過去最低となりました。

また、若者の雇用回復にも課題があり、大卒者と大卒でない労働者の格差も開いていて、とくに失業率に大きな差が出ていました。人手不足と失業という相矛盾するような事象が同時に起こっていることにも注意が必要です。

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社会的保護へのアクセス

2020年1月から2022年1月にかけて、COVID-19の影響を受けた労働力を支援するため、223の経済圏で約3,900の社会的保護措置が実施されました。これらの支援は、全世界で12億人近くの人々に到達したと推定されている。給与・賃金への補助、現金給付、職業訓練、失業給付の適用範囲の拡大、これらの施策は、最も弱い立場の人々を保護するための重要な手段だった。一方、こうした短期的支援措置のほとんどは、現在廃止されつつある。企業や労働者に対する経済的ダメージが長期化しないようするために、的を絞った中長期的な投資が必要となっている。

フルタイムの雇用契約(日本における正規雇用契約)によってカバーされていない労働者に対して、適切な社会的保護を提供する必要性は依然として残っている。

世界で約20億人の労働者が非正規雇用であり、開発途上国や低所得国では70%近く、高所得国では18%を占めている。非正規労働者は、経済的ショックや貧困の影響を受けやすい。短期的には所得支援、長期的には正規労働者へのシフトが必要である。

日本における「正規雇用」と「非正規雇用」の区別は、世界と比較すると大きな違いがあります。

グルーバルレベルでは、フルタイム(典型的には週5日・9時―5時で働く働き方)とパートタイム(アルバイト)の違いが、日本でいう正規/非正規の区別に相当します。ただ、いずれの区分においても、世界的に、非正規雇用の労働者への、より一層の保護・支援が求められていることは確かなようです。

日本における非正規雇用者は2022年で2,100万人ほど、全体の4割と言われています。世界の高所得国では非正規雇用が18%ですから、それと比べて2倍以上の数字です。政府のさまざまな政策だけでなく、労働者へのリスキリングの機会提供が今後の課題になるでしょう。

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実質賃金の低下と生活費上昇

国際労働機関(ILO)によると、多くの開発途上国における労働所得は、パンデミック以前の水準を下回ったままである。ILOによると、過去15年間で初めて、世界全体で、労働者の実質賃金が減少した(2022年上半期には0.9%減少)。地域別で実質賃金の伸びが最も影響を受けたのは、北欧、南欧、西欧、ラテンアメリカ、アジア太平洋、北米だった。アフリカでは、パンデミックのために2020年の実質賃金は10.5%も減少している。

国連開発計画(UNDP)の最近の調査によると、食料とエネルギー価格の上昇は、サハラ砂漠より南側のアフリカ、バルカン半島(旧ユーゴスラビアがある東南ヨーロッパ地域)、カスピ海周辺(アゼルバイジャン共和国、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン)を中心に、最大7,100万人を貧困に追い込む可能性がある。この生活費上昇による危機は、非正規雇用とインフォーマル経済(国家の統計や記録に含まれていない経済活動のこと)に対して、安全保障を提供し回復を支援する恒久的な社会的保護の重要性を高めている。

実質賃金の減少は、日本に限らず、全世界的な課題で、主な原因はやはりインフレ、とくに生活に密着する食料品やエネルギー価格(ガソリン価格だけでなく、電気代やガス代も関係する)の高騰です。企業は、インフレ率を超える給与アップを実現できるか、労働生産性をどう高めていくのか、生き残りをかけ、真剣に考えていかなければ世界にも出口はないことが見て取れます。

 

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労働者の選好・嗜好の変化

労働市場の成果が、改善と悪化の両方向へと分かれる中、「仕事の質(the quality of work)」をめぐる問題がクローズアップされている。労働者が現在最も重視している仕事の属性とは何であろうか。

労働者が雇用主を変えること(転職)を厭わない傾向があることを示すデータがある。Culture Amp社とアデコ社が発表した労働者の選好(嗜好)に関するデータによると、4分の1以上(それぞれ33%、27%)の労働者が、2年後には、現在の勤務先に自分がいるとは思っていない。50%弱の労働者(それぞれ42%、45%)が異なる企業での機会を積極的に探っている(転職の機会を求めている)。

Culture Amp社とランスタッドによる労働者への調査によると、労働者が転職を決意する主な理由は、第一には「給与」である。ランスタッドの回答者の52%が、経済の不確実性が雇用に与える影響を心配していると答えている。アデコ社が実施した労働者の選好調査の回答者の61%は、インフレ率の上昇を考えると、自分の給与水準が、生活費の上昇に追い付いていないことを心配している。

ランスタッドの労働者への調査では、回答者の92%が雇用の安定が重要だと答えている。また、50%以上が雇用の安定が保証されない仕事は受け入れないと回答している。83%が仕事時間に融通が利くことを優先しており、71%が勤務地の希望が通ることを優先している。

ワークライフバランスと「燃え尽き(バーン・アウト)症候群」というテーマも重要だ。Culture Amp社のアンケート回答者の35%が、ワークライフバランス(の悪さ)と燃え尽き症候群が、会社を辞める主な理由になっていると回答している。ランスタッドの従業員調査に回答した労働者は、給与とワークライフバランスを同等に重視していた。また、94%の回答者が、特定の職務に就く上で、給与水準とワークライフバランスの両側面が重要であると回答している。

職場のDEI=[多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)]が若い労働者にとって、とくに重要であることを示すデータもある。マンパワー社によるとZ世代労働者の68%は、多様で包括的な職場環境づくりに関して、企業の取り組みに満足していない。また、Z世代労働者の56%は、多様なリーダーシップのない職務を受け入れないと回答している。一方、研修を受けている女性は男性より少ないというデータもある。

企業におけるトレーニングの機会に関しては、幅広い年齢層の労働者が不満を抱いている。マンパワー社のデータによると、調査対象の従業員の57%が、会社の研修プログラムでは仕事に関するスキルが学べず、キャリアを進めることが出来なく、労働市場での競争優位に立てないと考えて、仕事外の研修を受講している。アデコ社の調査への回答者は、企業は管理職の能力スキル開発や報酬にばかり注力していると批判している。アデコが実施した調査に回答した管理職でない労働者のうち、自分の会社が能力開発に効果的な投資をしていると答えたのはわずか36%だったのに対し、管理職は64%が効果的に投資していると答えた。

労働者が、仕事に関して何を考えているのかについての調査の結果です。転職を厭わなくなってきていること、生活費の上昇に危機感を覚えていること(それほど給料が上がらず不安・不満)、ワークライフバランスを重視するようになって来ていることなどが示されています。

近年の労働者の意識の特徴、とくにZ世代と呼ばれる若者の特徴として、職場のDEIの重視というポイントは、注目に値します。その点、日本はまだ遅れていると言わざるを得ませんが、世界では、多様性や公平性といったリベラルな価値観を企業と共有していることを重視する若者が増えているということは、企業の経営者や採用担当者も意識しておく必要はあるでしょう。

企業内研修における、管理職と非管理職の意識ギャップも目立っています。特に若年の非管理職労働者は、このままでは「生き残れない」という意識から、自らのスキルを向上させる気持ちを、管理職が思っている以上に持っていることが見えています。

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部門間の雇用シフト

過去2年間は、(コロナによる)ロックダウンやサプライチェーンの混乱に起因する、商品やサービスの需給の不安定さが目立った。その後、世界経済の回復により、産業間の雇用の部門別の労働分布は、再構成されている。

OECDのデータによれば、情報技術とデジタル通信の分野では、ほとんどの国で大きく回復したが、宿泊・食品・レジャー、製造・小売り・卸売・消費財のセクターでは、回復の進度が遅くなっている。2019年の第1四半期以降、大半の国で、専門サービス、教育・訓練、保健・医療、政府・公共部門の雇用が増加しているが、サプライチェーン・運輸、メディア・娯楽・スポーツ部門の雇用は、2019年の水準から下がってきている。

ここ数年の間に見られた、パンデミックに起因するセクター間の雇用移動に加え、生成系AI(人工知能)がけん引する動きが、雇用のセクター間シフトを形成する可能性が高い。AIは汎用的技術になることが予想されているが、汎用的技術の開発が、どう進むかは、これまでは予測困難であった。企業などがこれらのテクノロジーを今後どのように利用するのかを迅速かつ適切に見極めたうえで、テクノロジーに関する規制やルールが設定される必要がある。

Linked In社が本レポートのために実施した調査によれば、過去4年間に世界的に最も急成長した職種は、売上拡大と顧客エンゲージメントに関する仕事、人材発掘の仕事、テクノロジー・ITをサポートする職種であった。

労働市場に現れつつある変革によって、異なる企業や部門内外における、より迅速で効率的な雇用再配置メカニズムができることが求められるようになって来ている。

2023年は何といってもChatGPTに代表される生成系AIの加速度的な進化と普及の話題で持ちきりになりました。大規模言語モデル(LLM)が高い言語能力を獲得し、汎用的な問題解決能力を持つようになると、知的労働者の生産性を著しく高めることが可能となります。実際に、ChatGPTなどを利用して、そのようになりつつあるビジネスパーソンや企業もあるでしょう。

しかし、一方で、こうした汎用的テクノロジーが仕事を奪うリスクも高まっているのも事実です。マサチューセッツ工科大学のアセモグル教授らの研究によれば、新しい技術の出現には、新しい仕事の創出によって雇用が増加する・雇用機会が生まれる側面と、自動化による既存の仕事の現象の両側面が、必ず見られることになるといいます。

ただ、ある職種が丸々全部なくなるというよりも、ある職種における、あるタスクが無くなったり、自動化されて人がやる必要が無くなったりするというのが、実際に起こっている(起こりつつある)現象のようです。

したがって、雇用の移動も、完全に旧来の仕事から新しい仕事に人が移るのではなく、どの仕事のどの機能が、テクノロジーの進化によって変化していくのかをしっかり見極めていくことが大切でしょう。

  

世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2016年より2年に1度発行している“Future of Jobs Report”の最新版(2023年版)のレポートの要約、いかがでしたでしょうか?次回からは、労働市場の変革の要因について、より詳細な分析を見ていくことになります。お楽しみに!

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