ワークライフ・ラボ:仕事と生活の境界管理は「統合・能動型」で ランスタッドの「ワークライフ・ラボ」スタート

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第1回ワークライフ・ラボ

あなたは「昼休み」をどう過ごしますか――。

ランチのかたわら、同僚や友人とおしゃべりする?スマホを片手に“黙食”で過ごす?それとも、少しためになるお話でも聞きますか?

 

ランスタッドが主催する、新時代のワークライフを研究する無料ウェビナー「ワークライフ・ラボ」(通称ワクラボ)が7月28日、そんなフリートークからスタートしました。

中央大学大学院(ビジネススクール)の佐藤博樹教授をナビゲーターに、毎回多彩なゲストを迎え、新しい仕事と生活のあり方を提案しようと、月1回のペースで開くランチタイム・ウェビナーです。

第1回目は「ワークとライフを豊かにする!仕事とプライベートの境界管理」と題して、法政大学キャリアデザイン学部教授の松浦民恵さん、ランスタッド代表取締役兼CEОのポール・デュプイさんの2人が招かれ、仕事と生活の「境界管理」について調査や体験を披露しました。

 

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まず、佐藤さんの課題提起。働き方が変化する中で、いつでもどこでも仕事のできる環境が増えていますが、逆にみれば、いつでもどこでも仕事をしなければならない環境にもなります。

仕事とプライベートをうまく切り分け、メリハリのある日常生活を送るにはどうすればいいか、というものです。

(編集部の声:佐藤さんは政府の検討会や調査会の委員長などをたくさん引き受けているから、むずかしい顔でむずかしいお話をするかと思ったら、まったく違いました。親しみやすい語り口です)

これについて松浦さんは、「仕事と生活の浸透と境界管理」というテーマで実施した大卒事務系のビジネスパーソンの個人調査の結果を紹介しました。テレワークなどでは仕事と生活の互いの「境界」が曖昧になりがちなことから、「仕事から仕事以外の生活への浸透」と「仕事以外の生活から仕事への浸透」が相互に浸透している「統合型」、「仕事と仕事以外の生活が無浸透」の「分離型」、「仕事から仕事以外の生活へ浸透」の「仕事優先型」、「仕事以外の生活から仕事
への浸透」の「家庭優先型」に回答者を類型化し、分析しているものです。

結果では「分離型」が半数を占めましたが、今後増加が想定される「統合型」も21.1%を占めていたことから、今回はこの「統合型」に焦点を当てました。

「統合型」を、仕事と仕事以外の生活の境界管理が「できている」とする「能動型」と「できていない」とする「受動型」で比較したところ、生活や時間の配分の満足度、仕事と仕事以外の相互への良い影響、在宅勤務の生産性のすべてについて、「能動型」が「受動型」を上回ることがわかりました。

また、実施している「境界管理」や「仕事管理」の内容について具体的に聞いたところ、「自分や家族との生活に集中できるよう、仕事以外では仕事を忘れるよにしている」や「仕事中はメールチェックの時間を決め、それ以外はメールを見ない」といった項目で両者に大きな開きが出ました。また、「有休中の自分宛てのメールは自動返信している」もかなりの開きができました。どれも、身近なレベルで理解できる結果となりました。

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資料:佐藤博樹・松浦民恵の共同研究:「仕事と生活の境界管理に関する調査」(第2回調査)より

(編集部の声:松浦さんは自らを「統合・受動型」と自認していますが、忙しさは人気アイドルと互角!ワークライフ・ラボをきっかけに相互浸透を能動的に楽しめるようになりますように)

 

デュプイさんは、欧州、北米、インド、日本など世界中から24時間365日アクセスのあるビジネス体験を基に、仕事 とプライベートの境界管理の実践方法について持論を展開しました。

「休暇≒文化」として地域ごとの休暇に対する認識の違いを説明し、欧州は「家族のための大切な時間として2~3週間休み、仕事は完全オフ」、北米は「休暇は頑張った自分へのごほうびという考えだが、完全オフではない」、「日本は休暇が短く、仕事と生活のオン・オフの切り替えが難しい」と違いを解説。そもそも、休暇はメンタル・ヘルスにとっても重要であり、心身を充電するチャンスと言います。

そこで、休暇の上手な過ごし方として、仕事を「大きな岩=重要な仕事、小さな石=緊急対応が不要な仕事」に分け、「大きな岩」にのみメール対応する。朝7時前や夜10時過ぎに始まる会議には参加しない。自身を大切にすることは「良いこと」という認識を、周囲にも広げる、といったノウハウを披露。

また、最大のビジネスツールである携帯電話については、家族と一緒の時は別の部屋に置く、ボランティア活動などのオフタイムでは電源を切る、といったマイルールをつくっていることも紹介しました。そして、「これらはすべて小さなことですが、それですごく生活が変わります」とアドバイスしました。

日本企業の生産性は低迷が続いていますが、デュプイさんは「労働時間ではなく、労働の質を変えることで、これから必ず変わります」と、体験談と知見に基づくメッセージで締めました。

(編集部の声:デュプイさんはオン・オフを明確にしている、典型的な「統合・能動型」のビジネスパーソン。
堪能な日本語で「オフは四国のお遍路巡りをしている」とおっしゃっていました)

 

ワクラボ、次回以降のお知らせ

第2回:8月31日(水)「週休3日制も可能!?新たなJTBワークスタイルとは」、ゲストはJTB役員ら・第3回:9月15日(木)「テレワークをやめる企業と続ける企業~近未来社会の働き方と法」、ゲストは神戸大学法学研究科の大内伸哉教授

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第一回ワークライフ・ラボ 登壇者

佐藤博樹
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授。雇用職業総合研究所(現、労働政策研究・研修機構)研究員、法政大学経営学部教授、東京大学社会科学研究所教授などを経て2014年10月より現職。2015年東京大学名誉教授。
 

松浦民恵
法政大学キャリアデザイン学部教授。日本生命、東京大学社会科学研究所、ニッセイ基礎研究所を経て、2017年4月より法政大学へ。博士(経営学)。専門は人的資源管理論、労働政策。兼職として中央最低賃金審議会・公益委員など。
 

Paul Dupuis(ポール・デュプイ)
ランスタッド株式会社代表取締役会長兼CEO。1968年、カナダ オンタリオ州生まれ。日本、シンガポール、香港、韓国、インドを含めたアジア地域で25年以上の経験を持つ。2013年にランスタッド入社。2021年7月より現職。

 

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