従業員の離職の原因とその対策【ランスタッド法人ブログWorkforceBiz】

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理想的な採用とは、求職者は魅力的な候補者であり、入社後は既存メンバーと新規メンバーが調和しながら働く事と言えるでしょう。ですが現実世界ではこうはいきません。従業員はさまざまな理由で離職し、空いたポジションを埋めるためにまた採用活動が必要になります。

中には望ましい離職もあります。例えば、生産性の低いメンバーとやる気のある新規メンバーが交代すれば、多くの場合、全体の士気が高まります。その反対に望ましくない離職もあります。生産性の高いメンバーが不満を理由に退職すると、業務に支障が生じます。

ですが、従業員の離職はある程度コントロールが可能です。この記事の最後に従業員の定着に役立つ3つの対策をご紹介しますが、まずは従業員の離職率の一般的定義と、2種類の離職率の計算方法をご説明します。

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従業員の離職とは?

簡単に言うと、従業員の離職とは企業が定めた一定期間内に離職者した人数です。離職率が高ければ補充のための採用活動も増え、採用コストも増えます。

離職率の高さの副作用は採用コストの増加だけではありません。生産性の低下もありますし、入社直後の新規採用者はしばらくの間は現職ほどの作業能率はありません。誰かが組織を去ると周囲の士気にも影響します。新天地で今までより幸せそうに活躍しているのを見ればなおのことです。時にはキーパーソンの離職をきっけかに他のメンバーも辞めていく連鎖離職が起きることもあります。

多くの企業は従業員の離職率を四半期または1年に1度測定しています。全社の離職率を基準にする場合もあれば、できるだけ細かな情報収集のために部署や拠点ごとの場合もあります。従業員に関するそれ以外の測定項目と同様、離職率についてもデータが多いほど事態の把握に役立ちます。

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離職の種類

従業員の離職はいくつかの種類に分けられます。このセクションでは、望ましい離職、望ましくない離職、自発的離職、非自発的離職、さらには余剰人員の解雇について考えます。

 

望ましい離職と望ましくない離職

望ましい離職などあるのでしょうか?一言で言えばあります。勤労意欲が低く、生産性の低い労働者や従業員が組織を去ることによって、全体の士気が改善します。働かない労働者は維持費用がかさみ、生産性低下の原因になります。代わりにやる気のあるフレッシュな人材が加われば、生産性はほぼ間違いなく上向きます。
 
季節性のある業種においては、閑散期の人員削減を行う場合があります。このケースでは、仕事がないにもかかわらず給与支払い名簿に従業員を載せたままにするのはコストがかさむため離職が必要になります。
 
反対に、自発的に行動ができる優秀な人材を失うとその穴埋めは大変です。職務内容に幻滅し、失望し、仕事に退屈した優秀な人材は新たな活躍の場を求めます。優秀な人材が去った後に残されたメンバーは途方に暮れ、やる気をなくします。この種の離職が望ましくないことは誰の目にも明らかでしょう。

 

自発的離職

自発的離職は望ましい場合も望ましくない場合もあります。仕事に積極的ではない従業員が周囲からの建設的な助言を受け入れることなく辞めることもあります。こうした現象については、多くの人事担当者が望ましい離職の一形態に分類するはずです。
 
ところが、離職理由の多くは、自分のスキルがもっと活かせる別のポジション、または自分の長期的プランに合致する別のポジションを見つけたから、あるいは転居するからです。こうした自発的離職は望ましくはありませんが、幸いなことに一番コントロールしやすい離職でもあります。

 

非自発的解雇

企業ポリシーの違反、長期的成績不振、不正行為への関与などの場合は非自発的解雇が行われることがあります。解雇とも呼ばれる非自発的解雇は通常、最後の手段として用いられます。
 
解雇は必ずしもスムーズに進むわけではありません。むしろ一定のリスクをはらみます。雇用法の文言に則って行わなければ、一見簡単な解雇も複雑になります。最終賃金の支払い、予告期間、有給休暇の買い取りを含め、必ず該当の国または地域の労働法に従ってください。
 
非自発的解雇は他の従業員にとっても折り合いを付けるのが難しいものです。特に解雇が頻繁に行われている状況下では周囲も不安を感じます。やむを得ず解雇する場合は、組織に残る従業員に不安を与えないよう配慮し、透明性を徹底し、良い働きはきちんと評価することが大切です。

 

余剰人員の解雇

余剰人員の解雇は経済状態が厳しい時に支払い能力を維持するために雇用者数を減らす措置です。季節性プロジェクトの終了時や、それ以外のビジネス上の理由の場合もあります。
 
例えば、新型コロナウイルスの感染拡大によってさまざまな業種で余剰人員の解雇が行われ、政府による助成金支援が強化されてはいますが、多くの労働者たちが職を失い、一斉に雇用保険を申請する事態に陥っています。
 
余剰人員の解雇は一般に「公正な」解雇とみなされます。ただし、雇用主が正当な解雇基準を用いることが前提です。余剰人員が発生した場合は、通常、対象者に解雇手当が支払われます。従い、手続きを進める前に雇用法を確認してください。

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離職率の計算方法

従業員離職率の計算は難しくありません。始める前に期間を設定してください。多くの企業は四半期または年間の離職率を計算します。期間を決めたら、期初と期末の従業員数をそれぞれ確認してください。2つの数字の合計を2で割ると平均従業員数が出ます。次に同じ期間の離職者数を計算します。次の方程式に数字を当てはめると離職率を計算できます。

(離職者数 ÷ 平均従業員数) x 100 = 従業員離職率(%)

例えば1月1日に200人、12月31日に196人の従業員が在籍していたとします。

  (200 + 196) ÷ 2 = 平均従業員数198人

1月1日から12月31日までの離職者が20人だとすると、従業員離職率は次の通りです。

 (20 ÷ 198) x 100 = 従業員離職率10.1%

臨時雇用または季節雇用の労働者がいる場合は、離職率はフルタイムおよびパートタイムの正規従業員と分けて計算してください。そうすればより正確な人件費の追跡ができます。

離職者数

離職者数は予め定めた短期間の離職者数を指します。多くの企業はこの数字を毎月計算しています。離職者数を計算する一番の理由は起きた時に退職者、解雇者、余剰人員解雇者を把握することです。
実離職者率の計算は、通常の離職率と同じ上の方程式を使います。1年の代わりに1カ月の平均従業員数を当てはめてください。

年間離職者数

実離職者数がわかったら、年間離職者数も計算できます。年間離職者数は1カ月または1年の推定離職者数です。この数字は採用コストの予算組みに活用できます。
 
毎月の平均従業員数を12カ月分合計し、12で割ると毎月の平均を計算できます。次に毎月の離職者数を12カ月分合計し、同じく12で割ると毎月の平均を計算できます。最後に通常の離職率方程式に数字を当てはめると、毎月の平均離職率を計算できます。
 

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離職率の適正水準

離職率0%はまったく現実的ではありません。ならば現実的な離職率とはどの程度のことを言うのでしょうか。その答えは業種によります。

例えば、製造業における離職率は国によって開きがあります。中国の一部電子機器メーカーは離職率が300%(※1)にも達しています。一方、米国では製造会社の10社に4社の年間離職率が20%強(※2)す。Make UKの調べによると、英国内製造業従事者の2020年の離職率(※3)は17.6%、2018年の14.4%(※4)から上昇しています。

米国人材マネジメント協会(SHRM)が公表した人材ベンチマーキングレポート(※5)によると、 全業種の平均離職率は18%です。調査回答者の大半が12~20%と答えています。SHRM は非季節性業種については10%の離職率を目指すべきとしています。

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従業員離職率を重要視すべき理由とは

離職率を分析すべき一番の理由はコストです。採用活動を繰り返すのはコストがかさみます。ギャラップが行った最近のアンケート調査(※6)によると、1人の従業員を補充採用するためのコストは本人の年間給与の最大2倍にも及びます。

同じ調査によれば、自発的離職の52%は回避できます。言い換えると、解決できる問題によって辞めているのです。徹底した離職分析は組織をより良い方向へと変えるための機会です。なぜ人材が去って行くのかがわかれば、士気を高め、離職を防ぐための改革に取り組むことができます。

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従業員の離職理由

従業員が離職する理由はさまざまに考えられます。転職が目的の場合もあれば、ストレスのたまる職場環境が原因かもしれません。それ以外にも家族の状況が変わった、他社からもっと条件のよいオファーを受けたというケースもあります。

離職理由の中で最も多いのは管理職の問題、チャンスがない、燃え尽き症候群です。この三大原因を詳しく考えてみましょう。

管理職の問題

管理職が始終部下を叱り飛ばしているのであれば、職場環境は敵対的になり、人は辞めていきます。監督者がマイクロマネジメントする場合も、その反対にまったくの放任主義でも、やはり離職者は増加します。自分のラインマネージャーを一緒に働きたくない人だと感じれば、部下の心は離れ、出勤を不快に思い、そのうち別の仕事を見つけます。

チャンスがない

成長の機会が現われないのであれば、従業員はその仕事に対して見切りをつけます。ですから研修プログラムや昇進の機会があれば大きなアピールポイントになります。優秀な従業員たちに常にハッピーでいてもらうために、職務に応じた研修プログラムを構築し、組織内での昇進をサポートしてください。

燃え尽き症候群

強いプレッシャーのかかる職場環境や、休憩時間がほとんどない過酷な労働は当然のことながら燃え尽き症候群を招きます。働きすぎや背負いすぎを感じると、重圧に飲まれ始め、勤務スケジュールを見直す機会を与えなければ、押しつぶされた従業員は新たな仕事を探すことになります。
 

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従業員離職率を抑える

従業員の離職にはさまざまな理由があります。幸いなことに、離職率を抑え、企業文化を高める方法は複数あります。これから従業員の定着を図るための実用的な対策を3つご紹介します。

教育研修の機会を提供する

教育研修の機会が豊富にあれば、従業員の離職率は急激に下がります。最近の調査(※7)によると、教育研修が充実している企業は従業員の離職率が53%低下します。製造業において十分なトレーニングを受けた従業員は、自分の能力に対する自信が高まったと申告しています。教育研修はオンボーディング段階から開始し、その後も継続するのが理想的です。

フレックスタイム制を導入する

フレックスタイム制は多くの従業員にメリットがあります。子どものお迎えが必要な子育て中の人、午後の方が効率的に働ける人、通勤に時間がかかる人はリモートワークや勤務スケジュールを柔軟に変えられる仕組みがあると助かります。就業時間単位ではなく、プロジェクト単位の勤務を好む人もいます。
 
製造業の場合は、1日を複数シフトにするとフレックスタイム制を導入しやすくなります。多くの物流会社は年中無休24時間体制で稼働していますので、フレックスタイム制の導入に適しています。

表彰制度を導入する

うまく考えられた表彰制度は定着率の改善に役立ちます。月間優秀賞などの従来からある表彰も今なお有効です。賞与に反映させたり、プロジェクトベースの表彰も効果的です。表彰制度の効果を最大化するには、タイミングを逃さずに成果を称えること、有意義なフィードバックをすることが肝要です。
 

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従業員の離職率に取り組む

自発的であれ非自発的であれ、望ましい場合も望ましくない場合も含め、従業員の離職はコストであり、職場の活力に影響を与えます。管理職の問題、燃え尽き症候群、全般的なチャンスの欠落、このどれもが離職率に少しずつ痛手を与え、生産性に影響を及ぼします。

意外かもしれませんが、自発的離職の半数以上は回避できます。教育研修制度の強化に加え、フレックスタイム制や表彰制度の導入によって離職率は抑えられます。自社の離職状況を確認し、今回提案した施策を元に離職率改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

従業員の離職の原因について詳しく知りたい方は、以下のリンクをクリックして、便利なガイドをダウンロードしてください。

従業員が離職する10の原因

[参考]

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