生産性を高めるには:勤怠不良(アブセンティーイズム)と疾病就業(プレゼンティーイズム)が生産性に与える影響

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週末までに対応を終えなければならない重要な注文が100件あります。月曜日と火曜日、基幹生産チームの一人が出勤しませんでした。水曜日と木曜日、別のスタッフが仕事に集中できていません。ついに金曜日には、作業をやり終えるために、もはやてんてこまいな状況です。

聞き覚えのある話でしたか?この事態が頻繁に起きているのならば、アブセンティーイズム(勤怠不良/常習欠勤)とプレゼンティーイズム(疾病就業)の問題が潜んでいる可能性があります。これからこの2つの概念を説明し、問題を解決、防止してスタッフの生産性アップを図る方法をご紹介します。

 

勤怠不良/常習欠勤(アブセンティーイズム)とは

アブセンティーイズム(勤怠不良/常習欠勤)とは、従業員が正当な理由なく常習的に欠勤する状態を言います。予定休暇や家族の緊急事態といった公認の欠勤はこれに含まれません。勤怠不良はそもそも職場に姿を現していないため、すぐにわかります。

勤怠不良が起きる理由

勤怠不良の一つのケースは、まだ診断は受けていないけれども何らかの慢性疾患の症状が現われている場合ですが、多くは以下の理由によって起きます。

  • 心の病:米国の国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が先頃行った12か月間の追跡調査によると、常習欠勤の主な理由の一つがうつ病です。
  • いじめ:職場での嫌がらせによる不和や不快感から逃れるために出社を避けている場合があります。
  • 失望感:やる気を失い、職場に不満やつまらなさを感じている状態です。
  • 燃え尽き症候群:ストレスや極度の疲労が長期間続くことによって、エネルギーを失い、燃え尽きてしまうケースは少なくありません。
  • 扶養家族のケア:高齢の親、障がいのある家族、子どもがいる場合、状況によっては通常以上に仕事を休まざるをえません。

事例 #1: ピーターはうつ病を患っているが、自分では症状に気づいていない。たびたび疲労を感じ、たいていはやる気がなく、日常的に体調不良を理由に欠勤している。

事例 #2:キャロルの同僚、スティーブはたびたびキャロルの仕事ぶりを批判し、ラインマネージャーの不在時には言い寄ってくる。恐怖を感じたキャロルは会社を休むように。

 

疾病就業(プレゼンティーイズム)とは

疾病就業(プレゼンティーイズム)

疾病就業は職場で極めてよく見られる現象です。リモートワークでもよく起きます。定量化が難しいため、常習欠勤ほど議論に上ることはありませんが、同じように蔓延しています。疾病就業については、主に次のような理由が挙げられます。

  • 病気休暇不足:病気休暇がない、または使い切ってしまった場合に、具合が悪いまま出社していることがあります。
  • 忠誠心:何らかの理由で仕事ができないと感じているのに、上司や会社に対する忠誠心から出社します。
  • 人員不足:体調不良その他の理由で仕事ができる状態ではないにもかかわらず、人員不足を穴埋めするために出社することがあります。
  • 仕事を失う恐怖:欠勤の影響を心配し、集中できない状態でも出社することがあります。
  • 代わりがいないと思っている:仕事の大部分を引き受けていたり、その部署の責任を負っている人は、本当にそうすべき時さえ、休みが取れないと思っていることがあります。

事例 #1: デビッドはここしばらく体調が優れないが、病気休暇は使い切ってしまい、金銭的に無給休暇を取る余裕がない。出社はしているが、仕事ぶりは標準以下。

事例 #2:事務所所内一番のベテラン弁護士、フェイスはインフルエンザにかかったが、同僚に担当案件を任せるわけにはいかないと出勤。

 

勤怠不良と疾病就業が組織に与える影響

勤怠不良と疾病就業はどちらも組織にとって問題の種です。誰かが仕事に来なければ、他の人がその分を負担することになります。集中できない状態で仕事に来れば、ミスをしたり、作業のやり残しが発生するかもしれません。どちらの場合も全体的な生産性が低下し、最終的に他の人が不足分を補うことになります。

勤怠不良と疾病就業はどちらも文字通り、収益の低下を招きます。米国疾病対策予防センター(CDC)(英語サイト)の最近の調査によると、米国では勤怠不良によって雇用主に年間2,258億ドル(1,860億ユーロ)(約24兆2,302億円)を超える損失が生じています。この試算のためにCDCはさまざまなリスク要因を分析し、それぞれを原因とする現実的損失金額を算出しました。

勤怠不良は、他の西欧諸国でも似たような状況です。例えば英国では、2017年に調査機関、経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)が分析した結果、無断欠勤による経済コストが180億ポンド(148億ユーロ)と試算されています。業界識者はこの数字が2030年には260億ポンド(287億ユーロ)に達する可能性があると指摘しています。

疾病就業については近年行われた大規模な経済コスト調査がなく、現在の損失を正確に特定することはできませんが、2002年のAmerican Productivity Auditの電話調査によると、疾病就業による年間損失は1,500億ドルと試算されています。欧州でも2002年の同様の調査によって、仕事に関わるストレスだけで年間200億ユーロ(約2兆6,054億円)の損失が発生しているという結果が示されており、仕事に関わる体調不良の経済的影響は推定で年間1,850~2,890億ユーロ(約24兆1,000億~37兆6480億円)に及びます。

先進諸国ではうつ病、糖尿病その他の健康状態をはじめとするリスク要因が増加傾向にあり、従って21世紀が始まった時点よりも現在の方が疾病就業の経済的影響が大きくなっていると予想して間違いないでしょう。

 

勤怠不良と疾病就業を防ぐには

欠勤と不注意に伴う直接的、間接的コストは無視できる額ではありません。中小企業にとっては特に大きな問題です。勤怠不良と疾病就業を防ぐことができれば、次のような具体的メリットがあります。

  • 人件費の抑制
  • 従業員の士気の向上
  • 生産性の向上

では無断欠勤を封じ、疾病就業を抑えるにはどのような方法があるでしょうか。その答え、そして生産性アップの道筋は、「事前に計画を立てる」「従業員の声に耳を傾ける」「支援制度を設ける」ことです。具体例をご説明しましょう。

  • 自宅での回復を促す:従業員が自宅できちんと休み、回復すれば、最終的には雇用主のコストが抑えられます。周囲に影響を与えることもなく、やり直しを必要とする不正確さや質の低い作業もなくなります。
  • 一般的な病気について会社負担の健康診断を実施する:糖尿病、がん、血圧の検診・測定を全社的に行うことによって、勤怠に影響を及ぼすほどの深刻な状況になる前に健康問題を見つけられます。
  • 就業支援プログラムを提供する:慢性的な健康状態に対する支援は、それがない場合に比べて従業員の前向きな気持ちを引き出し、生産性が高まります。その結果、勤怠も注意力も改善されます。
  • 育児支援を提供する:フレックスタイム制は子を持つ従業員にとって極めて大きなメリットがあります。在宅勤務制度やパートタイム制度も生産性向上に有効です。

 

ランスタッドができること

テクノロジーが主役のこの世界、人間が取り残されることもままあります。たとえテクノロジーを駆使できても、人間味が失われてしまったらどうなるでしょう。ランスタッドの使命は人を支え、組織とそこで働く従業員の力になること。それぞれの潜在能力を最大限に引き出します。最先端の人材テクノロジーと個々のお客様企業の事情に合った採用プログラムを融合させるのが私たちの強みです。

人と人との対話がなければ、次第に生産性が失われる、私たちはそう考えています。そうした人間性に立ち戻り、従業員と会社とを再び結びつけます。人事担当者様と密接に連携し、これまでの知見を生かして常習欠勤・疾病就業問題の速やかな解決をサポートします。

詳しくは、勤怠不良/常習欠勤についてまとめた資料をご覧ください。

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*1 1ユーロ=130.27円にて換算


 

著者

travis gibson
commercial manager
Travis Travis works in a core leadership role at Randstad specialising in In-House Solutions. With over seven years of experience in the recruitment industry across In-House based solutions, Large Commercial Clients, Small to Medium Enterprises, Local Councils, State Departments and federal contracts; Travis offers our In-House division clients a strong level of knowledge and insight. His passion for WHS and the integration of HR technology into his recruitment processes ensure that all of his candidates and clients have the best experience possible.
 
※本記事は、ランスタッド本社配信の記事を再編集の上掲載しています

 

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