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採用の失敗を防ぐ!「リファレンスチェック」の効果を最大化するプロセス設計
採用コストの高騰と、ミスマッチによる早期離職(バッドハイヤー)が組織に与える深刻な悪影響を考えれば、選考プロセスにおいて候補者に関する情報を可能な限り多く集めることは不可欠です。
例えば、50人の候補者のうち、たった一人でもネガティブなリファレンス情報によって採用を回避できたとしたら、それだけで全体のリファレンスチェックに費やした時間とコストに見合う、あるいはそれ以上の投資対効果(ROI)が得られるでしょう。
最高の結果を得るには、リファレンスチェックを「履歴書の事実確認」以上のものとして位置づける必要があります。
本記事では、リファレンスチェックの基本的なプロセスと、実施前・実施中・実施後に採用担当者が取り組むべきベストプラクティスについて解説します。
確認する「前」「最中」「後」に採用すべき重要なベストプラクティスについて説明します。
実施前:徹底した準備が成功の鍵
1. 候補者への事前通知を徹底する
候補者が応募時にリファレンス情報[1]を提供していない場合、連絡先を尋ねる時点で、リファレンスチェックを開始することが自然に伝わります。
しかし、もし応募書類にすでに連絡先が記載されている場合でも、必ず「これからチェックを開始する」旨を候補者に通知すべきです。
GDPR[2]のような海外の規制では、採用活動におけるデータ取り扱いに「正当な利益」があれば候補者の明示的な同意は不要とされるケースもありますが、日本の個人情報保護の観点、そして何より信頼関係構築の観点から、事前通知は強く推奨されます。
特に、将来的な採用機会のために候補者のデータをデータベースに残す意図がある場合は、その旨を通知する必要があります。コンプライアンスを強化するためにも、プライバシーポリシーにリファレンスチェックに関する記述を追加することを検討しましょう。法的な対応については、必ず専門家に相談してください。
事前の通知は、候補者との間に信頼と敬意を生み出し、新しい関係を良好にスタートさせる上で非常に重要です。
2. 元マネージャーからのインプットを必ず確保する
共に働く同僚からのインプットは、候補者の強みや人柄に関する貴重な洞察を与えてくれます。特に密接に働いていた同僚は、マネージャーが気づかない側面に光を当ててくれるでしょう。
しかし、最も重要な情報は「直属の元マネージャー」からもたらされます。
なぜなら、マネージャーはパフォーマンス評価に最終的な責任を負う人物であり、「同僚として」ではなく、「一人の従業員として」候補者がどうであったかについて、最も深い洞察[3]を提供できる立場にあるからです。
また、候補者の実績の裏付けという点でも、元マネージャーは最適です。採用担当者の4人中3人が応募書類の虚偽記載を発見したことがあるという事実からもわかるように、候補者が関わったプロジェクトや前職への貢献度を確認するには、その事実を監督していたマネージャーに確認するのが最も確実です。

3. 「社内リファレンス」を収集する
大規模な企業では、採用プロセスに複数の関係者が関わることが一般的です。面接に参加していない社員でも、カジュアルな場面で候補者と接しているかもしれません。
候補者の全体像を把握しようとする際、こうした「社内関係者」からの意見を聞くことを忘れないでください。彼らは自身の部門や職務に基づいた新しい視点を提供し、採用判断に貢献してくれる可能性があります。
内定を出す前に、この「内部フィードバック」を集めることは、新しいメンバーが会社のカルチャーやバリューにフィットすることを確実にする上で、強力な裏付けとなります。
4. 実施方法(電話・Web会議・メール)を検討する
市場には、自動化されたメールでリファレンスチェックを効率化するツール[4]が多く存在します。定期的に大量採用を行う大企業にとっては、事務作業の負担を大幅に軽減できる有効な手段です。
しかし、メールでは、電話やWeb会議(ビデオ通話)[5]といった「ライブ」での対話が提供する情報の深さには及びません。特に、シニアポジションや重要な役割の採用においては、電話またはWeb会議(Zoom, Google Meetなど)での対話を通じてニュアンスを掴むことが最善の方法です。
実施中:質の高いインプットを引き出す
1. 所要時間には余裕を持つ
リファレンスチェックにかかる期間は、推薦者の人数や応答速度によって1〜2週間程度を要することが一般的です。
電話やWeb会議で実施する場合の一回あたりの時間も、単なる雇用情報の確認に留まらず、詳細な情報を引き出したいのであれば、ある程度の時間を確保する必要があります。ただし、長すぎると、リファレンス担当者が時間を確保するのに苦労したり、会話の途中であなたがメモを見失ったりする原因になります。
「1時間」を目安に時間を確保しつつ、質問が早く終われば予定より早く切り上げる、という柔軟な対応を心がけましょう。
2. 募集ポジションの情報を正確に伝える
質問に飛び込む前に、まずはリファレンス担当者に対して、今回募集している役割と、候補者が担当することになる職務内容[6]について正確に伝えましょう。
この情報を提供することで、リファレンス担当者はあなたのニーズに合わせてインプットを調整しやすくなります。これは、フィードバックの精度を高めるためにも不可欠です。前職で「スター社員」だったとしても、必ずしも募集中のポジションに最適とは限らないからです。
3. 「レッドフラグ」を見逃さない
ほとんどのリファレンスチェックでは、推薦者自身が選んでいるため、ポジティブなフィードバックが得られるでしょう。強い批判が出てくる可能性は低いと考えるべきです。
しかし、会話の中でネガティブな兆候を示唆する「小さなサイン」には、常に注意を払ってください。これが重要な問題に発展する場合、バッドハイヤーというリスク[7]を負うことになります。
ただし、「レッドフラグ」が一つ見つかったからといって、即座に候補者を不合格とすべきではありません。まずはメモを取り、候補者本人と直接、追加の面談などで確認するという姿勢が重要です。ある調査では、リファレンスチェック後に候補者の約34%が選考から外れているという結果もありますので、慎重な情報収集が求められます。

実施後:情報を統合し、迅速な意思決定へ
1. 面接結果とリファレンス情報を統合的に比較する
すべてのリファレンスチェックで得られた所見と、候補者との面接から得た主要な学びを組み合わせましょう。候補者の全体像を構築し、パターン(共通点や矛盾点)がないかを探してください。
特に、同じような傾向が複数回現れている場合は、それがネガティブな要素であれば、追加の面談などで候補者に直接フォローアップする価値があるかもしれません。
2. 迅速に採用の意思決定を行う
候補者は、リファレンスチェックが内定を出す前の最終段階であることを知っています。したがって、リファレンスチェックが完了した後、彼らはあなたの返事を待っています。
彼らのストレスを軽減し、企業の印象を良く[8]するためにも、できるだけ早く彼らに連絡を返しましょう。回答を長く待たせたり、完全に返信を怠ったりすることは、単に「失礼」であるだけでなく、あなたの企業ブランド(エンプロイヤーブランド)[9]を著しく損なうことになります。
採用プロセスを改善するチェックリストを活用する
この記事では、リファレンスチェックの基本的な流れをご紹介しました。
さらに詳しく確認したい方には、リファレンスチェック用のExcelチェックリストもご用意しています。
プロセスの各ステップを整理しており、個別のタスクの進捗管理や担当の割り振りにも活用しやすい内容です。
自社の採用プロセスに合わせてカスタマイズしてお使いいただけますので、ぜひ参考にしてみてください。
に修正し、採用活動にご活用ください。
[出典・参考資料]
本記事は以下の情報を参考に作成しました。
[1] 採用プロセスより
[2] GDPRとリファレンスチェック:考慮すべき点とデジタルワークフローのメリット より
[3] 英国における身元照会:プロセスに注意が必要な理由 より
[4] 2025年版 おすすめリファレンスチェックソフトウェア18選 より
[5] COVID-19 流行中の電話またはビデオ面接のベストプラクティスより
[6] ガイド: 成功する求人説明書の書き方より
[7] 採用プロセスを変革することで、不適切な人材を採用するリスクを軽減しますより
[8] 誰かの推薦状を確認する正しい方法 より
[9] ランスタッドの雇用主ブランド調査 より