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【採用リスク回避の切り札】エンプロイメント・バックグラウンドチェックとは?
昨今、採用時に「バックグラウンドチェック(採用前の身元・経歴確認)」を実施する企業が増えています。
特に特定のポジションや責任の大きい役職を採用する際には、リスクを防ぎ、法令順守を徹底し、自社ブランドを守るためにも欠かせないプロセスとなっています。
リモートワークの普及や人材の流動化が進む中で、候補者の経歴を社内ネットワークや履歴書の内容だけで完全に把握することは難しくなっています。国内外で転職を重ねるケースも増えており、経歴の裏付けを取るためにバックグラウンドチェックを導入する企業も少なくありません。
こうしたチェックを行うことで、候補者の職歴・資格・人物像について、客観的で信頼性の高い情報を得ることができます。
本記事では、採用前に行うバックグラウンドチェックにはどのような種類があるのか、その基本と、導入によって得られる主なメリットについて解説します。
バックグラウンドチェックとは?
エンプロイメント・バックグラウンドチェックとは、企業が候補者の履歴書に記載された情報(前職の企業名、学歴、専門資格、認定、スキル[1]など)を外部機関を通じて検証する調査です。場合によっては、犯罪歴の確認や信用情報(クレジット)のチェックも含まれることがあります。

企業がチェックを行う目的
理由はシンプルです。残念ながら、応募書類に虚偽を記載する[2]候補者が存在するからです。特定のプロジェクトでの貢献度を少し誇張する人もいれば、完全に架空の職歴や資格をでっち上げる人もいます。頻繁ではないかもしれませんが、こうした事例は起こり得ます。
バックグラウンドチェックを行わなければ、企業は候補者の言葉を「そのまま信じるしかない」という状況に陥ります。
この調査は、提供された情報を検証するだけでなく、候補者がどれだけ信頼できるか、そして組織が必要とする主要なスキル[3]を実際に持っているかを判断する上で重要な役割を果たします。
バックグラウンドチェックの主な種類
バックグラウンドチェックの具体的な内容は、採用する職務の要件によって異なります。例えば、医療系のポジションでは専門資格が厳しくチェックされるでしょうし、特定の公的機関の職務では犯罪歴の確認が最も重要になるでしょう。
最も重要なのは、自社とポジションに関連する側面に焦点を当てることです。ただし、個人情報保護の法令を遵守し、チェックを行う法的根拠を確保する[4]こと、必要以上の情報を収集しないことに細心の注意を払う必要があります。
一般的な採用バックグラウンドチェックには、以下の個別のチェックが含まれる場合があります。
- 職歴の検証(Employment Verification): 候補者が履歴書に記載した役職や会社で実際に勤務していたかを確認します。通常は企業に直接問い合わせます。
- 学歴の検証(Education Verification): 記載された大学や教育機関に連絡を取り、学位や資格が真実であるかを確認します。
- 本人確認(Identity Verification): 候補者が名乗る人物と同一であるかを確認します。なりすましによる応募[5]は珍しくありません。
- 犯罪歴の確認(Criminal Record Check): 地方警察当局などを通じて、犯罪記録がないかを確認します。
- 信用情報の確認(Credit Check): 多額の負債や過去の財務上の問題がないかを確認します。特に金融関連など特定の役割[6]では重要です。
- 専門ライセンスの検証(Professional License Verification): 医療従事者の免許、弁護士の弁護士会への所属、各種技術職の専門資格など、教育や職務経験とは別の公的な資格の有効性を確認します。
- 運転記録の確認(Driving Record Check): 運転を伴う職務(配送ドライバーや建設機械のオペレーターなど)で重要となります。
リファレンスチェックとの違い
リファレンスチェックは、候補者自身が紹介した前職の同僚やマネージャーから、彼らの勤務態度[7]やエンゲージメントレベル[8]に関する洞察を得るものです。
一方、バックグラウンドチェックは、候補者の専門的な資質よりも、そのキャリアの事実や学歴、公的な記録に焦点を当てます。また、特定のチェックに法的許可が必要な場合を除き、候補者からのインプット(推薦者の紹介)を必要としない点も大きな違いです。
バックグラウンドチェックを実施する3つの理由
1. 怠慢な採用の回避
「怠慢な採用」とは、企業が従業員の経歴を適切にチェックせずに採用した結果、その従業員が危害や損害を引き起こした場合に発生します。
例えば、バックグラウンドチェックなしに採用した配送ドライバーが免許停止中であり、それが原因で事故を起こした場合、企業は「怠慢な採用」[9]の責任を問われ、法的なトラブルに巻き込まれる可能性があります。こうしたケースは稀であっても、多くの企業がバックグラウンドチェックを重要なリスク低減策と見なしています。
2. 職場の安全性の維持
特に危険を伴う環境(建設現場や工場など)では、すべての従業員が適切な経験、資格、トレーニングを持ち、安全規則に従うことが、スタッフを危険から守るために不可欠です。正しい訓練を受けていない従業員は、意図せず自分自身や他者を重大な怪我のリスクにさらす可能性があります。
3. 法的コンプライアンスの確保
国や業界によっては、特定の専門職(医療、金融、特定の技術職など)[10]に従事するために、公的機関や信頼できる業界団体が発行する特定の資格が法律で義務付けられています。
これらの資格を持たない個人が不正に雇用された場合、本人には法的処罰のリスクがありますが、企業もライセンスを二重チェックしなかったとして責任を問われ、ブランドイメージに深刻なダメージを負う可能性があります。バックグラウンドチェックは、これらのポジションにおけるコンプライアンスを確保するために極めて重要です。
まとめ:採用前調査の全体像を把握する
リファレンスチェック、エンプロイメント(職務)チェック、ソーシャルメディアスクリーニングなど、採用前調査の定義は多岐にわたり、組織内で混乱が生じがちです。
当社のリファレンスチェックのインフォグラフィックは、採用前調査の全体像の整理にお役立ていただけます。オフィスへの掲示や、プレゼンテーション資料としてぜひご活用ください。
[出典・参考資料]
本記事は以下の情報を参考に作成しました。
[1] スキルアップとスキル再習得によって、ビジネスを将来の成功に備える方法 より
[2] 従業員の半数以上が履歴書に虚偽の記載をしていると報告 より
[3] スキルアップとスキル再習得: 将来の成功に不可欠な要素 より
[4] 企業のセキュリティ確保:身元調査のベストプラクティスより
[5] 雇用における個人情報の盗難は想像以上に頻繁に発生しています。その見分け方をご紹介します より
[6] 就職に信用調査が必要な5つの職業 より
[7]従業員の生産性 より
[8] 従業員のエンゲージメント より
[9] 雇用主が考えるよりも不注意な採用リスクは低い より
[10] 規制対象職業とは何か より