労契法「通算5年の無期転換ルール」 現行法の骨格に異論なし、厚労省研究会

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企業と労働者への周知のあり方が検討の中心

 労働契約法「無期転換ルール」の見直しと「多様な正社員」の雇用ルールを議論する有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(山川隆一座長)は8月末、第6回会合を開き、これまでの議論や弁護士のヒアリング、大規模なアンケート調査の結果などを踏まえ、「通算5年の無期転換ルール」の課題を7つの論点に整理して議論を深めました。総論として、有期労働契約「通算5年」で無期転換の権利行使という現行法の骨格に異論はなく、今後の議論は企業と労働者への効果的な周知のあり方が検討の中心となる模様です。

 2013年4月に施行された労契法の「無期転換ルール」は、同じ企業との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度。18年4月から権利行使できる労働者が出ています。
 この日は、「無期転換ルール」の論点について(1)総論(2)無期転換を希望する労働者の転換申し込み機会の確保(3)無期転換前の雇い止め等(4)通算契約期間及びクーリング期間(5)無期転換後の労働条件(6)有期雇用特別措置法の活用状況(7)その他――の7つの論点を決定。このうち、(1)~(4)について課題を掘り下げました。
 総論としては、「現行の5年の骨格を変える必要はなく、権利行使を促す仕組みや制度の認知度を上げる方策を現行法に加えるべき」との見解で一致。(2)の申し込み機会の確保では、「使用者側を通じた周知方法が重要」「権利者に何らかの方法で通知する仕組みが必要」「無期転換したいと思っている人に的確に伝わることが肝心で、どういう属性や職種の人たちにその必要性があるのかターゲットを定めるべき」などの意見が挙がりました。次回の会合では、残り3項目の論点を深掘りするほか、「多様な正社員」の雇用ルールについて詰めの議論を行う見通しです。

186社が首都圏外へ本社移転、帝国データ

 帝国データバンクが発表した「首都圏・本社移転動向調査」(速報)によると、今年上半期(1~6月)に首都圏外へ本社を移転した企業(個人経営、NPOなどを含む)は186社に上り、半年で150社を超えたのは過去10年で初めて。このペースで推移すると、年間では02年以来19年ぶりに300社を超える見通しです。
 移転先で最も多いのは「大阪府」の22社で、「茨城県」の19社、「静岡県」の16社などが続いています。
 一方、首都圏への転入企業も172社に上り、過去最多の15年に並ぶ高水準。20年に予定していたのがコロナ禍で今年に延期した企業も多かったためですが、このまま推移すれば10年以来11年ぶりに転入企業より転出企業が多い「転出超過」が予想されます。
 これについて同社は、「新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言の発出などにより、本社機能が首都圏に集中することの脆弱性が改めて認知されたことで、主要拠点を地方に移転・分散する動きが進んでいる」と分析。今後も、「テレワークの普及などで首都圏の大手企業ではオフィスの縮小・移転といった動きが広がるだろう」と予想しています。

9年ぶり離職率が入職率上回る

 厚生労働省が発表した2020年雇用動向調査によると、退職や転職による離職者数は約727万人で、就職した入職者数の約710万人を9年ぶりに上回りました。離職者が就労者全体に占める比率の離職率は14.2%で、入職者の比率の入職率は13.9%。離職率は1996年、入職率も98年以来の低水準で、新型コロナウイルスの影響で労働移動が停滞したことがわかりました。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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