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今夏の報告書に向け「議論整理」 厚労省の雇用仲介あり方研究会
来年の職安法改正案につながる議論が佳境に
厚生労働省の有識者会議「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」は5月11日、第12回会合を開き、デジタル社会における個人情報保護法に詳しい有識者と、人材サービス関連の業界団体からヒアリングを実施しました。また、今夏をメドとする報告書の取りまとめに向け、事務局の厚労省がこれまでの議論を踏まえた「議論の整理案」を提示し、承されました。求人メディアの「新形態サービス」や、職業紹介に近いオプションを持つ募集情報提供に対する法的位置づけ、業界団体の役割などを焦点に、職業安定法の改正につながる議論は佳境に入ります。
同研究会は、新しい時代に対応した労働市場の整備と就労マッチングサービス発展の観点から、これからの雇用仲介制度のあり方を検討しています。具体的には(1)IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度のあり方(2)有料職業紹介事業及び募集情報等提供事業(求人メディア)をより適正かつ効果的に運営するための制度のあり方(3)働き方や職業キャリアの在り方が多様化する中で、需要サイドと供給サイド双方にとって機能的な労働市場を実現するための制度や官民連携のあり方――の3つを検討課題に掲げ、今年1月から精力的に会合を重ねています。
この日のヒアリングに招かれた中央大国際情報学部の小向太郎教授は、改正や見直しが続く個人情報保護制度について、これまでの変遷や欧米との比較、職業安定法とのかかわりに関する要所を分かりやすく解説。人材サービス関連の業界5団体による横断的組織・人材サービス産業協議会(JHR)は、「進化するテクノロジーを委縮することなく適切に活用し、多様化する求職者・求人者のニーズに応えて良質なマッチングに努める」との基本姿勢から、6つの論点にまとめて現状説明や提言を行いました。
この論点のうち、「雇用仲介事業者が多種多様となっている現状に対する業界団体としての認識と業界団体の役割」では、テクノロジーの活用で求職者が未経験の職種や業種、成長産業、地方、中小企業などへの応募につながるケースを紹介する一方、「外形的には既存の許可事業との違いがわかりづらいものもあり、行政見解を伺いたいサービスも存在する」と課題を指摘しました。
また、厚労省が提示した「議論の整理案」は、前提となる「基本的考え方」を示したうえで、(1)労働市場の整備、(2)人材サービスの整理、(3)求職者保護、(4)人材サービスの役割――の4項目に整理。具体的に、(1)では「情報の的確性」「職業情報・募集情報の共通フォーマットの整備」「公共の役割」、(2)は「法的な区分」「新しいサービスの把握」、(3)は「個人情報の保護」「求職者の特徴・保護」「雇用以外の仲介について」、(4)は「人材サービスの役割」「業界団体の役割」――を盛り込みました。
今後の議論では、こうした実態も含めて新たなルールの有無が検討されていく模様。次回は、「議論の整理案」の再確認から進めていく方針です。
労政審の新会長に清家氏
第47回労働政策審議会は5月12日、公益委員から選出する会長に清家篤氏(日本私立学校振興・共済事業団理事長)を選びました。また、清家会長は会長代理に守島基博氏(学習院大経済学部教授)を指名、第11期となる労政審の体制がスタートしました。
この日は、事務局の厚生労働省の担当局長が、公労使委員に対して本年度の労働行政関係予算の主要施策、労政審の分科会・部会における審議状況、法案の国会での審議状況について報告しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で雇用不安が広がる中、厚労省は「雇用維持・失業予防・再就職の支援」に注力する方針で、特に「業種・地域・職種を越えた再就職の促進」を推し進めます。
取材・文責
(株)アドバンスニュース