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新型コロナ、緊急事態宣言から1年 感染拡大と経済回復のせめぎ合い
変異ウイルスの登場に伴う感染「第4波」の襲来
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が昨年4月、1都3県(首都圏)に最初の緊急事態宣言を出してから1年が経過しました。その間、感染対策や経済回復などは、どこまで進んだのか。現実は、変異ウイルスの登場に伴う感染「第4波」の襲来と、好不況業種の二極化が進んでおり、感染と経済がせめぎ合う“神経戦”の様相を強めています。昨年は、感染抑制に最も効果的な「3密」の回避に向けて、人流(人の流れ)がパッタリ止まったうえ、多くの企業がテレワークに移行したことなどから、飲食、鉄道や飛行機、宿泊、旅行などの業界を直撃して経済活動は急落しました。
厚生労働省の有効求人倍率は、昨年3月の1.40倍から下がり続け、9~10月には1.04倍の底を付けました。逆に、総務省の完全失業率は3月の2.5%から上昇を続け、10月には3.1%のピークを付けています。しかし、どちらの指標も11月以降は徐々に改善しつつあり、横ばいか一進一退の動きのまま現在に至っています。リーマン・ショック直後の09~10年当時、求人倍率は0.5倍台まで下がり、失業率は5%台まで上がったことを考えると、今回はそれほどの悪化には至っていません。
これには複数の要因がありますが、最も大きいのはリーマン・ショックが世界的な経済ショックだったのに対して、今回は新型コロナという経済外ショックだった点です。経済要因の場合は回復に時間が掛かりますが、今回のような場合、感染が抑制されれば経済は急回復します。予防ワクチンの普及が「切り札」とされるのも、感染の抑制と同時に経済回復への期待が大きいからです。
一方、失業増の裏返しで、非正規従業員の就業者は昨年よりも減少を続けており、今年2月は1年前より107万人も減りました。そのうち新型コロナに直撃されている宿泊・飲食サービス業が46万人減と最も減少数が多く、失業者の増加分とほぼ重なります。厚労省の調査によると、新型コロナで解雇・雇い止めとなった人は4月7日時点で延べ10万人を超えました。もっとも、これはハローワーク経由の数に過ぎず、実際には10万人をかなり上回ると推測されていますが、中には転職したり、職探しをやめたりした人もいるため、解雇・雇い止め後の実態は不明です。
これら業界の雇用回復には、感染が沈静化して人流が元に戻り、家庭にたまっている個人マネーが動き出すことが絶対条件になりますが、ここに来て変異ウイルスの増加によって再び感染が急拡大しています。大阪府や東京都などの大都市を中心にまん延防止等重点措置が相次ぎ適用されたことから、業界は再び厳しい状況に立たされており、雇用の先行き見通しも一段と不透明な状況になっています。
増収増益と減収減益の割合が拮抗
帝国データバンクが4月14日発表した「2021年度の業績見通しに関する企業調査」によると、「増収増益」を見込んでいる企業は27.4%で、1年前より13.9ポイント増え、「減収減益」を見込んでいる企業は26.0%で同18.4ポイント減となり、両者がほぼ拮抗する見通しとなっていることがわかりました。
1年前は新型コロナの感染拡大で悲観的見通しが急増しましたが、今回は感染収束を見込む企業が目立ちました。しかし、3月以降は変異ウイルスの爆発的拡大もあり、予断を許さない事態となっています。
業種別では、増収増益見通しで最も多いのが自動車など「輸送用機械・器具製造」の40.4%で、「飲食店」の39.0%、「放送」の37.5%、「人材派遣・紹介」の36.5%などが続いています。
逆に、減収減益見通しで最も多いのは「各種商品小売り」の38.1%、「繊維・繊維製品・服飾品製造」の37.7%、「建設」の35.8%などとなっています。
取材・文責
(株)アドバンスニュース