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「無期転換ルール」の見直し議論開始 厚労省、有識者検討会を設置
2013年4月の改正労契法の施行から8年経過
厚生労働省は3月24日、2013年4月に施行された改正労働契約法の「無期転換ルール」の見直しなどを議論する有識者検討会を立ち上げました。「無期転換ルール」は、同じ企業との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度で、18年4月から権利行使できる労働者が出ています。同検討会ではこのほか、勤務地限定や職務限定などの「多様な正社員」の雇用ルールについても議論します。今秋にも報告書を取りまとめ、労働政策審議会の「たたき台」にする方針です。
同検討会の正式名称は、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」。委員は、安藤至大氏(日大経済学部教授)、戎野淑子氏(立正大経済学部教授)、桑村裕美子氏(東北大大学院法学研究科准教授)、坂爪洋美氏(法政大キャリアデザイン学部教授)、竹内(奥野)寿氏(早大法学学術院教授)、両角道代氏(慶応大大学院法務研究科教授)、山川隆一氏(東大大学院法学政治学研究科教授)の7人で、座長は山川氏が務めます。
「無期転換ルール」については(1)無期転換を希望する労働者の転換申し込み機会の確保、(2)無期転換前の雇い止め、(3)通算契約期間およびクーリング期間、(4)無期転換後の労働条件、(5)有期雇用特別措置法の活用状況――など。「多様な正社員」は主に「雇用ルールの明確化」について検討します。次回は、非公開で企業の人事担当者(2社)や労働組合(2団体)のヒアリングを実施し、上記の検討項目に関する事項や制度面で改善を求めたい点などを聞き取ります。第3回目以降からは、実態調査などを踏まえて委員の議論が本格化する見通しです。
初会合では、議論に先立って事務局の厚労省が、「無期転換ルール」と「多様な正社員の雇用ルール」に関する政府の各会議体からの提言や、法制度の現状、裁判例などを約1時間かけて説明しました。これを受けて、委員が自由討議の形でそれぞれの課題や問題意識について発言。「厚労省で各種調査をする際に正社員や短時間正社員などの言葉が出てくるが、企業や働く人の間で呼称が違っているのが現状で、必ずしもその認識が一致していない」「正社員という働き方を明確にすることが、多様な正社員の課題を整理するうえでも重要」などの意見が挙がりました。
政府が昨年7月に閣議決定した規制改革実施計画には、「無期転換ルール」に関し、企業から該当する労働者に通知する方策を含む「制度の周知のあり方」について検討するよう盛り込まれています。また、同時期に策定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」には、「多様な正社員」について、ジョブ型正社員の更なる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組むことが記されています。これらを受けて、次回以降、同検討会は議論を深めていく見通しです。
雇調金などを5月から段階縮小へ
厚生労働省は3月25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って拡大してきた雇用調整助成金(雇調金)などの特例措置を5月から段階的に縮小すると発表しました。4月末まで、現行の特例措置を一律適用しますが、5~6月は企業の経営によって格差を設け、7月以降は雇用情勢の悪化がない限り、さらに縮小する方針です。
現行の雇調金は従業員1人1日あたり1万5000円を上限に、助成率は最大100%。休業手当を受け取れなかった労働者に支払う休業支援金・給付金は1人1日あたり1万1000円を上限に、休業前の賃金の80%を支払うことになっています。
5月以降、雇調金は上限を1万3500円、助成率を中小企業は最大90%にします。休業支援金も上限額を9900円に引き下げます。
取材・文責
(株)アドバンスニュース