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労働者派遣法の「労使協定方式」 来年度の一般賃金水準を公表
昨今の経済・物価動向及び賃金動向を勘案するよう要請
労働者派遣法に基づき、派遣元が「労使協定方式」を選んだ際に用いる来年2024年度の一般賃金水準について、厚生労働省は直近の統計データを用いて集計しました。8月28日開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)で公労使委員に説明、局長通達として発令しました。厚生労働省は通達の中で、派遣労働者の待遇改善の観点から足元の物価上昇や賃上げの流れを勘案して締結するよう要請しています。「労使協定方式」を選択している派遣元は約9割を占めています。
いわゆる「同一労働同一賃金」に伴う20年4月施行の改正派遣法は、派遣労働者の賃金や待遇について「派遣先均等・均衡」(派遣先方式)か「派遣元による労使協定」(労使協定方式)のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を採用した場合には、局長通達の一般賃金水準より「同等以上」であることが要件となります。施行4年目となる現在運用されている賃金水準は、「21年度職業安定業務統計」(ハローワーク統計)と「21年賃金構造基本統計調査」(賃構統計)の2種類が基になっています。
来年24年度適用分は、「22年度のハローワーク統計」と「22年の賃構統計」を最新データとして、一般賃金水準に用いる各指数も更新されます。主要なものとして、「通勤手当」は71円(時給換算)から72円、「学歴計初任給との調整」は12.4%から12.6%にそれぞれ微増。「退職金割合」は5%、「賞与指数」は0.02でいずれも「変更なし」となりました。
また、ハローワーク統計の職業計は1218円で、昨年度に比べて上がるのは385職種、下がるのは41職種。賃構統計の産業計は1276円で、上がるのが77職種、下がるのは56職種となりました。
これらの説明の中で厚労省は、局長通達の本文に「協定対象派遣労働者の待遇改善を進める観点から、改訂後の一般賃金水準を順守した上で、昨今の経済・物価動向及び賃金動向を勘案して賃金を決定するよう労使で十分に協議すること」と記載する対応方針を示しました。
これに対し、労働者側委員は「今年の春闘では有期契約労働者がフルタイムを上回る上昇率となっている。こうした足元の動きを反映させるためにも、厚労省の対応方針は望ましい」と評価しました。一方、使用者側委員は「派遣労働者の最低賃金の役割を成していると重要視している。内容に異論はない」と述べました。
コスト上昇分の価格転嫁率は43.6%、6割近くが自社負担
帝国データバンクが8月28日発表した「価格転嫁に関する実態調査」によると、7月時点でコスト上昇分を販売商品・サービスなどに「価格転嫁できている」企業の比率は74.5%に上ったものの、転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.6%にとどまっています。
これは100円のコスト上昇に対して43.6円を価格転嫁し、残りは自社負担している計算。前回調査(昨年12月)の39.9円より3.7円アップしていますが、依然として6割近くは転嫁できていません。