人事・賃金の制度改革の方向探る 労働政策研究・研修機構のフォーラム

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「役割グレード制」と「役割給」の融合も披露

労働政策研究・研修機構の第124回労働政策フォーラム「日本の人事制度・賃金制度改革」が2月6、9日両日にオンラインで開かれました。6日は同機構主催の2022年度労働関係図書優秀賞を受賞した法政大学キャリアデザイン学部の梅崎修、香川大学経済学部の青木宏之両教授が記念講演。

梅崎氏は「熟練・分業論から見た人事制度改革の方向性」、青木氏は「日本の経営・労働システム」と題して講演。梅崎氏は、評価のむずかしいホワイトカラーの「知的熟練度」の新たな概念を示唆しました。

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青木氏は、経営管理目標などに関する歴史経緯を踏まえて、労働技能と経営管理体系の間に生じる乖離の改善法について解説。両氏とも、メーカーにおける綿密な聞き取り調査を通じて理論構築したものです。9日の事例紹介では、みずほフィナンシャルグループの人見誠人事業務部長らが各社の取り組みを紹介。

パネルディスカッションでは両教授も交えてやり取りが展開されました。人見氏はグループ5社共通の人事設計として、「役割グレード制」と「役割給」を組み合わせた新たな試みを説明。従来の職能制に職務制の色彩を強めた人事評価方法で、組織のフラット化を図った先進的な試みですが、具体的な賃金制度についての言及はありませんでした。

 

春闘賃上げ予定企業は8割 ベア率は1.8%

産労総研が2月9日発表した23年「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」によると、76.8%の企業が「賃上げ実施予定」で、「現時点では不明」が20.2%、「賃上げしない」は1.7%でした。賃上げ予定は大企業や中堅企業で71%台でしたが、中小企業では84%に上り、人材確保に向けた中小企業の"台所事情"が垣間見える結果となりました。ただ、賃上げ幅は「前年並み」が53.1%の過半数を占め、「前年を上回る」は34.1%、「前年を下回る」は8.9%。また、定期昇給・ベースアップとも実施予定は26.4%で、ベア実施率は前年より10ポイント増えたものの、平均ベア率はわずか1.8%。「定昇のみ」が34.5%、「現時点では不明」が36.0%と慎重な姿勢が目ちました。
調査は昨年暮れに実施、対象3000社のうち、233社から回答を得ました。

 

45%が「原価示して価格交渉」、価格転嫁調査

帝国データバンクが9日発表した「価格転嫁の成功理由に関する企業アンケート」調査によると、価格転嫁に成功した企業に成功理由(複数回答)を聞いたところ、「原価を示した価格交渉」が45.1%で最多でした。

次いで、「取引先への価格改定の通知」が28.7%、「業界全体における理解の進展」が25.8%などと続きます。ただ、業界によって転嫁方法にはバラつきがあり、「原価交渉」では製造業が63.7%、「卸売業」も49.1%で最多でしたが、小売業では「取引先への価格改定の通知」が26.7%で最も多く、「原価交渉」はその次の21.1%。同社の試算では、コスト上昇に対する販売価格への転嫁率は39.9%となっています。

 

取材・文責
(株)アドバンスニュース

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