「賃金デジタル払い」来春解禁で省令改正 決済アプリ使用、労政審労働条件分科会

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キャッシュレス化と多様な賃金支払いのニーズに対応

キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来年4月に解禁されます。

労働政策審議会労働条件分科会(荒木尚志分科会長)で、関連する省令改正案要綱が「おおむね妥当」と了承されました。「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「指定・指定取り消し」などを中心に課題や懸念点を議論してきた「賃金デジタル払い」は、紆余曲折を経て解禁で着地。厚生労働省は施行後に厳正な事業者指定を実施し、振り込みが開始されるのは来年夏ごろになる見通しです。

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「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込む仕組み。

実現には「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労働基準法第24条の省令改正が必要で、今回、例外で認めている「銀行口座・証券総合口座」に「資金移動業者」を加えました。

金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は85社(2022年9月末現在)あり、大手では「PayPay(ペイペイ)」や「d払い」など。厚労相が安全性などの基準を設けて指定します。

同審議会では、厚労省の省令改正の説明を受けて労働者側が「これまで指摘してきた課題の対応は網羅している。

ただ、あくまで労基法の施行規則による上乗せの要件であり、本体となる資金決済法に基づいたモニタリングや指導監督は金融庁がしっかり行うということが大前提」と強調。「厚労省と金融庁が制度の狭間を生まないよう緊密に連携してほしい」と要望しました。使用者側は「分科会での議論が大いに反映された内容になっている」と改正案要綱を了承したうえで、(1)労使双方への周知徹底(2)審査体制の整備(3)企業の振り込み実務への配慮――の3点を求めました。

政府は、成長戦略の目玉のひとつとしてキャッシュレス決済の普及を目指しており、企業による幅広い活用を期待しています。資金移動業者を介した賃金支払いは、労使協定を締結のうえ、労働者が希望して同意した場合に限ります。

企業側は資金移動業者を給与支払先として設定する場合でも、銀行口座や証券総合口座への選択肢も合わせて提示しなければなりません。現金化できないポイントや暗号資産(仮想通貨)での支払いは認めていません。

また、ひとつのアカウントの残高の上限を100万円以下にすることや、業者が破綻した場合でも全額の払い戻しを保証する仕組みを設けていることなども定めました。

 

雇調金特例の段階廃止と経過措置

労働政策審議会の職業安定分科会は、雇用調整助成金(雇調金)などの特例の段階的廃止と経過措置について、厚生労働省案を了承しました。雇調金は、1人日額1万2000円の上限を11月までとし、12月から来年3月まで元の8355円に引き下げます。

売り上げ減など業況の厳しい企業に対しても、現行の1万2000円を12月~来年1月に9000円に引き下げる経過措置をとります。また、休業支援金も上限は8355円のまま、支給割合を12月~来年3月まで6割に引き下げます。地域特例の8800円は11月いっぱいです。

取材・文責 アドバンスニュース

 

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