障がい者 (チャレンジド)雇用の義務とは?受け入れのための準備やポイントは(前編)

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人事採用はそもそも手間や時間がかかるものですが、障がい者採用となると、社内制度の見直しや設備の整備など企業側で準備すべきことがさらに多くなるのが一般的です。

一定規模以上の企業は、「毎年6月1日時点」の障がい者雇用状況をハローワークへ報告するよう法に定められています。直前の時期は、次年度新卒採用の準備や当年度の新入社員を迎え入れる準備などで忙しくなるはずですから、障がい者雇用については前年度もしくはそれ以前から検討を始め、余裕をもって取り組みたいところです。

今回は前後編に分け、前編(この記事)では企業に課せられている「障がい者雇用の義務」や関連する各種制度について、後編では障がい者を職場へ受け入れるために準備するべきことやそのポイントについて紹介します。

 

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企業には「障がい者(チャレンジド)雇用の義務」が課せられている

障がい者の雇用を「経営に余裕のある企業がCSR活動の一環として行うもの」、「障がいによる業務への支障がないなど、障がい者と企業の条件が合う場合に雇用されるもの」などと考えていないでしょうか。実際のところ、障がい者雇用は「やりたい会社や、メリットのある会社だけがやる」ものではありません。あらゆる企業は、その規模に応じた人数の障がい者を雇用しなければならないのです。

障がい者の職業の安定を図るための「障害者雇用促進法」という法律があります。そこでは一定規模以上の企業に対して、従業員に占める障がい者の割合を義務づける「法定雇用率」が定められています。例えば、民間企業の法定雇用率は2.3%。つまり43.5人以上雇用している事業主は、障がい者を1人以上雇用する義務があるのです。

ちなみに、従来は障がい者の就業が難しいと認められる業種に、それぞれ基準となる従業員数を減じる「除外率」を定め、これに応じて雇用するべき障がい者数を控除する「除外率制度」が設けられていました。しかし、平等化の観点から除外率制度は平成16年に廃止されており、現在は経過措置として除外率を徐々に引き下げながら運用されるのみとなっています。

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出典:障害者雇用率制度の概要「除外率制度について」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/4-1-2_5.pdf
 
※2022年8月時点の情報です。

 

では、法定雇用率を達成できていない企業はどうなるのでしょうか。

企業全体の常用雇用労働者が43.5人(特殊法人は38.5人)以上の企業は、毎年6月1日時点の障がい者雇用状況をハローワークへ報告するよう定められており、さらに常用労働者が100人以上の企業で、法定雇用率を達成していない場合は「障害者雇用納付金」が徴収されます。さらに、雇用義務を履行しない企業には行政指導が入ったり、企業名の公表が行われたりすることもあります。

 

障がい者(チャレンジド)の法定雇用率を満たす企業には調整金、報奨金が支払われる

一方、障がい者雇用について、企業にはペナルティばかりが設けられているわけではありません。

障がい者雇用にあたっては、障がいに対応するための施設や設備の改善・整備、雇用管理などの経済的負担がかかります。そこで企業の負担を軽減するため、法定雇用率を達成している企業には調整金、報奨金が支給されます。先ほどペナルティとして挙げた「障害者雇用納付金」は、実はこの調整金、報奨金に充てられているのです。

またこうした調整金、報奨金を得てなお設備投資などに多額の費用負担を余儀なくされる場合には、それを補うための助成金制度も整えられています。企業の負担が過重にならないよう、さまざまな手が差し伸べられているのです。

 

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障がい者(チャレンジド)雇用は企業側のメリットも大きい

企業にとって障がい者を雇用することは、CSR(企業の社会的責任)を果たすことでもあります。法的義務を果たすだけの消極的な姿勢だったり、責任を全うしきれなかったりする企業もある中で、積極的に障がい者を雇用し、活躍の場づくりに取り組むことは企業としての価値を向上させることにつながります。

また、ダイバーシティ推進という意味でも、企業にとって障がい者を雇用することは大いに意義があります。多様性を認める姿勢や取り組みへの共感を得られれば、将来性のある優秀な人材を確保することにもつながるでしょう。

さらに企業としてのメッセージ性だけでなく、実際の業務においても障がい者雇用によるメリットは十分に考えられます。例えば「業務スキルに秀でていたり、高い専門性を持っていたりするものの、障がいによって就業の機会が限られていた」有能な人材を得られるチャンスがあるかもしれません。そして、企業が受け入れにあたって業務の切り出しや見直しを行うことは、障がい者が担当する業務はもちろん、関連する一般社員の業務効率化を図ることにもつながり、受け入れ部署や、ひいては全社的な働き方改革の推進にも役立てられます。

 

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障がい者(チャレンジド)雇用は自社にとっての好機、信頼できるパートナーに紹介を受ける方法も

ご紹介してきた通り、障がい者雇用へ積極的に取り組むことは、企業としての価値や魅力を高めるチャンスなのです。

法的義務を果たすことだけ考えていたのでは、この好機をみすみす逃しかねません。さらにテレワークが普及した現在、在宅勤務限定で雇用すれば、オフィスの設備を整えるために費用をかけるといったことも必要ありません。その一方で、移動に困難が伴うなどでオフィスへの通勤が難しく、就業の機会が限られていたような労働者にも門戸を開くことができます。

ちなみに、障がい者の募集はハローワークや特別支援学校へ求人票を出すといった方法に加え、国から認定を受けた職業紹介事業者を通して紹介を受けるという方法もあります。

ランスタッドはこの「国から認定を受けた職業紹介事業者」であり、正規の雇用給付金を扱えます。ご要望をきめ細かくヒアリングし、企業ニーズに合わせて障がい者とのマッチングを実現。募集や受け入れにあたってのコンサルティングから、採用、就業後のアフターフォローまで包括的にサポートしますので、ぜひ、些細な事でも気になればご相談ください。チャレンジド(障がい者)雇用について、詳しくはこちらからご覧ください。

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