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「タレントトレンド調査2025」で先取り!近未来の人材戦略キーワード
人材戦略の未来を見通す!ランスタッド「タレントトレンド調査」とは?
世界の人材戦略がわかるグローバル調査
世界最大の人材サービス会社※ランスタッドでは、世界のCレベル役員および人事部門のリーダーを対象に、人材戦略の優先課題や今後の方向性について尋ねるグローバル調査「タレントトレンド調査」を毎年実施しています。2025年は、世界21か国の1,060人を対象に調査が実施されました。
※ Staffing Industry Analysts 2023、人材サービス企業売上ランキングより
調査結果に加え、過去10年の振り返りを含む分析が
調査開始から10周年を迎えた今回の「タレントトレンド調査2025」では、過去10年間の変化を振り返るとともに、3つの主要なテーマ「AIで組織文化を変革する」「仕事のピクセル化を優先する」「スキル・ファーストの時代へ」と、今とるべき10の戦略を明らかにしています。
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近未来に向けた人材戦略のキーワード解説
「タレントトレンド調査2025」には、多くの人にとってまだ耳慣れないかもしれない、新たなキーワードが複数登場します。しかしそれらは、将来の人材戦略を考える上でヒントとなるキーワードでもあります。ここからは、未来に向けた人材戦略の新たなキーワードをご紹介します。
近未来の人材戦略キーワード1「ニューロダイバーシティ人材」
国連によれば、ニューロダイバーシティとは、「すべての人間は多様な認知プロファイル、神経学的能力、長所と短所を持っており、それらは認識され、尊重されるべきである」という考え方のことをいいます。「ニューロダイバーシティ人材」は、こうした考え方によって活躍の場を広げていくであろう人材のことを指しています。
ニューロダイバーシティ人材の置かれる状況は厳しい
ニューロダイバーシティ人材として注目されているのは、自閉症、失読症、ADHDを含む多くの発達障がい者です。しかし、現状ではその能力が見過ごされがちであるというデータが出ています。
MITスローン・マネジメント・レビューによると、米国ではこのグループの30%から40%が失業しているというのです。また、大学教育を受けた自閉症の成人の場合、その割合は85%にも達します。
ニューロダイバーシティグループの擁護団体であるMade by Dyslexiaは、実は20%もの人々がディスレクシア(全体的な知的発達に遅れはないものの、文字の読み書きにのみ困難がある学習障害のひとつ)の影響を受けていると推定しています。
未開拓のタレント・プールが秘める人材・スキル不足の打開策
「すべての人間は多様な認知プロファイル、神経学的能力、長所と短所を持っている」という考え方の通り、ニューロダイバーシティ人材はさまざまなスキルを持っています。
その中には、「熟練した技能」や「指導的役割」のために、組織が積極的に探し育成するスキル、つまり市場ニーズの高いスキルを持つ人材も含まれています。
「人材不足・スキル不足」の課題は、市場や人口統計のデータを見ても明らかですし、今後も続くであろうと予想されています。この状況を打開するには、未開拓のタレント・プールであるニューロダイバーシティ人材の活用が鍵になってくるでしょう。
AIでニューロダイバーシティ人材を強化する
一方で、ニューロダイバーシティ人材はその特性から、仕事で困難な出来事に直面することも少なくありません。そうした困難を克服するための支援として、AIの活用が期待されています。
例えば「ありふれた作業をAIで自動化してコミュニケーションを向上させる」、「すべての人材に対応できる多様で包括的なメディアフォーマットをAIで用意する」、「従来のスクリーニングや評価方法の中から、潜在能力の高いニューロダイバーシティ人材を『不適格』と判断する要素をAIが特定する」などの施策で、ニューロダイバーシティ人材の強化を図ることが考えられます。
近未来の人材戦略キーワード2「仕事のピクセル化」
「仕事のピクセル化」とは、デジタル画像がピクセルの集合体であることになぞらえた仕事術です。
具体的には「仕事をピクセルのような細かいタスクの集合体として捉え、従来の仕事のプロセスをプロジェクト、ギグ、タスクに分解し、それぞれを個別に切り離して処理すること」や、それによって仕事を再構築する手法を指します。
ピクセル化された仕事は、従来の役割ベースの観点を取り払った「より高い成果を生む」観点で再編成され、変化するニーズや優先順位に合わせたダイナミックな再構成を行うこともできるようになります。
つまり仕事のピクセル化は、「スキルギャップや人材不足に対処するべく、フリーランサーや契約社員、臨時雇用者などの柔軟な働き方を人材戦略に組み込む」ための手段となり得るのです。
世界中の多くの市場で「仕事のピクセル化」が進行している
「タレントトレンド調査2025」によると、人事部門のリーダーの4分の1(25%)が、「適切な人材は従業員、契約社員、派遣社員のいずれの可能性もある」と考えています。
実は2016年の調査でも同様の結果が出ていました。また「統合型および/または総合的な人材獲得モデルへの投資を増やしている」という回答は、2016年は40%でしたが、2025年の調査では65%まで増えています。
この流れを見てもわかる通り、従来の役割ベースの戦略を、成果ベースの専門的なスキル・タスクにピクセル化した戦略へとシフトすることは、組織のニーズを満たしつつ、従業員にとっても「専門的な成長」、「スキルの習得」、「社内異動の機会の促進」などといったタスクベースのアプローチから利益を得られる、より効率的な働き方の実現につながるはずです。
人材不足、スキルギャップ、離職率といった課題解決の鍵に
本調査によると、人事部門のリーダーの87%が「自社の人材戦略はこれまで以上に人材の俊敏性を重視している」と回答。2022年の調査から21ポイント上昇し、調査史上最大の結果となりました。
この先は、AIが人々の同僚となり、人材はスキルアップや専門知識の伝承、コーチングや指導に時間を使えるようになっていくと見られます。企業が仕事のピクセル化を進めていき、チームや職群を超えて、正社員、フリーランサー、契約社員、臨時雇用者など多様な人材を活用することは、企業の俊敏性を高めることにもつながるでしょう。
また、仕事のピクセル化により、人材側もさまざまなプロジェクトやチームで自分の専門知識を活かすことができ、その過程で新たなスキルや経験も身についていきます。仕事への満足感や充実感の向上も期待できるはずです。
近未来の人材戦略キーワード3「社内タレントマーケットプレイス(ITM)」
「社内タレントマーケットプレイス(ITM)」とは、企業が社内の人材をより効果的に活用するためのシステムです。従業員のスキル、経験、キャリア目標などの情報を一元的に管理し(タレントマネジメント)、プロジェクトや役割に最適な人材を社内の誰もが見つけやすくします。
ITMで「スキル最優先」の時代に適応する
今は、働き手も雇用主も「スキル最優先」で考える時代です。「社内タレントマーケットプレイス(ITM)」は、自社の人的リソースを可視化した上で把握し、時代に適応するためのインフラのひとつになりつつあると言えます。
「タレントトレンド調査」と並ぶランスタッドのグローバル調査「ワークモニター2025」によると、労働者の44%が「スキルアップの機会がない仕事は受け入れない」と回答しています。しかも、2024年調査の36%から8ポイントも上昇しているのです。
この結果を見ても、「スキルはキャリアの新たな通貨であり、労働者はより多くの知識を得たいと強く望んでいる」ことがわかります。雇用主もまた、スキルベースのモデルのメリットとして「公平性の向上」(41%)、「将来に対する組織の備えの強化」(39%)、「採用成果の向上」(39%)、「人材育成成果の強化」(37%)など、多くの要素を挙げており、その重要性を認識している様子がわかります。
ITMを取り入れ、スキルベースへの変革を推進するには
本調査によると、人事部門のリーダーの83%が「スキルベースのモデルを採用、またはすでに移行している」と回答。2024年の調査から14ポイントも上昇しています。
その一方で、複雑にマトリックス化された企業では、職種やスキル要件が異なるためスキルベースのモデルの導入には困難が伴うという見方もあります。「社内タレントマーケットプレイス(ITM)」を取り入れるといっても、既存の社内タレントマネジメントシステムを導入して体裁を整えるだけでは万全とは言えません。
「組織を体系化しスキル・ファーストのアプローチへの共通理解を促す」、「段階的に進める」、「テクノロジーへの統合的アプローチをとる」、「スキルベース・モデルのメリットを広く伝える」などといった地道な取り組みによる、本質的な人的リソース管理が欠かせないのです。さらに、従業員の学習効果を最大限にし、新しく習得したスキルをそれぞれの職務で活用できるようにするための工夫も求められます。
この通り、簡単には移行できないというのが正直なところではありますが、時間をかけて取り組んでいけば、エネルギーやリソースをつぎ込むだけの価値がある投資となるはずです。
近未来の人材戦略キーワード4「人材マルチバース」
「人材マルチバース」は、人間の才能の多様かつ相互に関連する領域を説明する概念です。異なるスキルセット、創造力、専門知識が独立して、あるいは重なり合って発達し、分野や業界を超えたコラボレーションを促進し、革新的な成果を生み出す世界を表しています。これからの人事部門は、こうした世界の「複雑で常に変化する環境」を生き抜くために、準備を整えておかねばなりません。
ランスタッドでは、人事に関する最新トレンドをタイムリーにお届けするメールマガジンを発行しています。タレントトレンド関連を含めた、人事分野の情報収集に関心の高い方のご登録をお待ちしています。