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【セミナーレポート】今こそ知っておこう!LGBTQ基礎知識
講師プロフィール 有田 伸也さん 認定NPO法人虹色ダイバーシティ 理事。1986年生まれ、奈良県出身。ホテル業界、サービス系ベンチャー企業にて人事業務等を経て現職。大手企業へのLGBTQ施策導入支援実績多数。 |
※本記事は、2024年8月5日に行われたセミナー「今こそ知っておこう!LGBTQ基礎知識」の内容をまとめたものです。
LGBTQに対する社会の捉え方が変化しています。LGBTQを巡る訴訟が起こり、LGBTQの救済につながるような判決が多く出ている点は、社会の変容を表しているといえるでしょう。
企業はこの社会の変容を認識し、職場のアップデートやサービスの提供をしていく必要があります。今回はLGBTQに関する基礎知識や、企業に必要な視点などについてご紹介します。
LGBTQに関する基礎知識
はじめにLGBTQ施策が必要になっている背景を解説します。
性的マイノリティは人口の3〜8%いると言われており、左利きの人や血液型がAB型の人の割合と同じと言われています。職場や顧客、取引先のなかにも確実にいらっしゃるでしょう。
日本ではカミングアウトしている性的マイノリティは少なく、社会的に見えにくいのが現状です。結果として、無意識のハラスメントが多くなり、当事者のストレスが高くなりやすい傾向にあります。
また、ほとんどの人は学校で性的マイノリティについて学ばないため、職場での教育が重要です。なぜなら性的マイノリティに関することは人権であり、人を構成する大切なアイデンティティに関することだからです。
ここで改めて、LGBTQの意味をご紹介します。LGBTQは性的マイノリティの人を指す単語です。
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これまでなかなか可視化されていなかった性のあり方が、社会の変化により可視化されるようになりました。
さらに、性的マイノリティに関わるSOGI(E)(ソジー)をご紹介します。SOGI(E)とは、性的指向、性自認、それぞれ英訳のアルファベットの頭文字を取った人の性のあり方を表す略称です。
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性的指向や性自認は、見た目で判断できない要素です。
日本では同性婚を求める訴訟が相次いでおり、「結婚の自由をすべての人に訴訟」という名称で全国の裁判所で進められています。現時点(2024年8月時点)で7つの裁判のうち6つの裁判で、現在の憲法は違憲、または違憲状態であると結果が出ています。2026年頃には最高裁判所での判決が出る見込みで、同性婚が法律婚として認められるかもしれません。これまでの「かぞくのあり方」を見つめ直す必要もあるでしょう。
厚生労働省が定める「パワハラ防止指針」では、パワハラを6つに分類し、うち2つのカテゴリーではLGBTQについても言及しています。
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「個の侵害」はアウティングと言い換えられます。
もし自分自身で問題解決できず、他者への情報共有が必要な際は、必ず本人の許可を取ってから進めることが重要です。アウティングは当事者のメンタルヘルスを大きく崩す可能性がある行為だと再認識する必要があるでしょう。
SOGIハラのない職場を目指して一人ひとりができること
これまでの基礎的な知識を踏まえて、SOGIハラのない職場を目指し一人ひとりができることについて考えてみましょう。
SOGIハラスメントとは、SOGIのあり方に関連して、差別的な言動や嘲笑、いじめ、暴力などの精神的・ 肉体的な嫌がらせを受けることを指します。具体的には、差別的な言動や不当な異動・不採用、アウティングが該当します。
SOGIハラスメントは本人が無意識で行っている場合が多い傾向です。
自分自身では気づいていない偏見・先入観・考え方のことをアンコンシャスバイアスと呼び、アンコンシャスバイアスに基づいた言動や態度をマイクロアグレッションと呼びます。
マイクロアグレッションは小さな攻撃を示す言葉です。1、2回受けたぐらいではメンタルの悪化にはつながりにくいでしょう。しかし、繰り返されると当事者のメンタルに悪影響をもたらす可能性があります。
マイクロアグレッションの例として、性的マイノリティーに対する呼び方(ホモ・オカマ・オネエ・レズなど)や性別の詮索などがあげられます。例えば、お客様が帰られた後に社員同士が「さっきのお客さんって男?女?どっちだったんだろう?」と何度も性別を詮索したりするのはやめましょう。
またLGBTQの存在を想定していない発言もマイクロアグレッションに該当することがあります。「家庭を持てば、お客様の気持ちも分かるぞ」という上司から部下への発言は、現状の法律婚を前提にした発言です。
恋愛・結婚・育児・介護など異性間を前提にして考えられることが多いかもしれませんが、同性間にも存在していることも想定し、コミュニケーションのあり方を振り返ってみましょう。
「女らしい」「男なら〜だろ」という女性らしさや男性らしさの決め付けも、誰かが困ってしまうかもしれません。「〇〇さんらしい」といったように言い換えてみるのはいかがでしょうか。
アンコンシャスバイアスやマイクロアグレッションを減らしていくには、違う属性の人の話を聞くことが有効です。さまざまな価値観に触れることで、自分の固定概念を振り返る機会になります。
もしアンコンシャスバイアスを持っていたら改める機会にもなるでしょう。違う属性の人の話を聞き、気づいた時に改めるというサイクルを繰り返していけば、おのずと、誰もを包括したような言葉遣いに変わっていくはずです。
誰もが相談しやすい環境づくり
もう少し、誰もが相談しやすい環境づくりについて深掘りしていきます。
カミングアウトは、自分の性のあり方について自ら他者へ伝えることを指します。カミングアウトは自らするもので他者が強制してはいけません。これにつながる可能性がある質問には注意が必要です。
もし性的マイノリティーの人にカミングアウトされた時の心構えを3ステップにしてまとめました。
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アウティングが原因となり労災認定になった企業事例もあります。
東京都豊島区で2019年に面接時にカミングアウトしたゲイ当事者が上司にアウティングをされうつ状態になり退職。2020年には会社が非を認めて和解。その後当事者が労災申請し、認定されました。このようなケースはどの企業でも起こりうるでしょう。
改めて、人の性のあり方は繊細な個人情報だと認識して、相談に望むようにしてみてください。