オペレーターを辞めさせない押さえるべきチームのリテンションポイント

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臨床心理学と組織心理が専門の私がここ数年、コールセンターでのオペレーターの定着支援を要請されることが非常に増えていることを感じています。
特にコロナ禍でストレスを抱えながら、コールセンターに連絡する人の多くは、無意識で、コールセンターのオペレーターへ、ストレスフルな伝え方となり、オペレーターはそれにより傷ついてしまうという現象が頻繁に起きているように感じます。コールセンター内で、数々の取り組みをして、オペレーターのストレスを軽減する取り組みを実施しているところもあると思いますが、今回は実際にコールセンターの定着化につながった事例から導き出された、ポイントをお伝えいたします。

私が提唱し定着支援の結果を出した取り組みは4つあります。この4つのポイントを同時に行ったところはより早く定着率が上がるという結果が出ました。
以下4つの取り組みの項目とその必要性について述べたいと思います。

1、オペレーターの育成支援

  • 教育のポイントに商品の情報を想起しやすいようにオペレーターの記憶がしかり脳にしまわれるように教育時に工夫すること
  • 長時間のクレーム対応を半分以下の時間で切る上げるコツを習得させること

 

2、オペレーターの情緒支援

  • オペレーターの感情をUPさせる声掛けを習得する事

 

3、コールセンター内の健康支援

  • 脳の疲労の取り方を一人一人が習得して、実施できるように促進する事

 

4、コールセンター内の組織改革

  • 組織の風土が健康的で感情をサポートするような状態にするためのチーム作り

 

これから、4つのポイントの必要性を解説します。

 

オペレーターの育成支援

  • 教育のポイントに商品の情報を想起しやすいようにオペレーターの記憶がしかり脳にしまわれるように教育時に工夫すること

パソコン入力した記憶を引き出すランダムアクセスメモリという通称RAMという仕組みがあると思うのですが、人間にもそれに似た機能が脳の仕組みの中にあります。それを日本語では作業記憶とか作動記憶と言います。

英語ではワーキングメモリーと言います。情報をinputする教育者の話し方により、記憶のしまわれ方が整理され、その記憶を引き出すときに、アクセスがしやすく対処するときの行動化を促進できます。
話し手の話し方が複雑で伝わりづらいものであれば、なかなか頭に残らず、その情報を必要とするときに対処法が引き出せず、お客様対応が的確にできない事態になります。
こうした事態は、オペレーターのストレスになります。
ですので、ワーキングメモリーを稼働させるような教育時の話し方や伝え方がポイントとなります。

 

  • 長時間のクレーム対応を半分以下の時間で切る上げるコツを習得させること

長時間のクレームは聞き手はもちろんの事、話し手もつかれてします。
お互いその疲れが新たなストレスとなり、心の視野が狭くなり、判断を鈍らせたて、話が堂々巡りになり、攻撃的にもなります。
話し手が相手に一番伝えたかった感情が伝わったと思うことが話を短くできる唯一のコツです。
このような聞き方をラポール(良い関係性)の取れた聞き方と言います。
良い関係性は、事象とその技術的な対処のみでは産まれません。一番伝えたい感情が伝わってこそ良い関係性は作れるのです。
長時間のクレームを少なくするコツは、感情の引き出し方をマスターすることです。

 

2つめの項目として、

オペレーターの情緒支援

  • オペレーターの感情をUPさせる声掛けを習得する事が大切となります。

オペレーターは大なり小なり日々ストレスを抱えています。
自損心迄傷つけられてしまうこともあります。そこで、ストレスをためたりびっくりしたり、気落ちをしたとき、周囲にいつも見方でいてくれる人、話を聞いてくれる人がいたらこんなに力強いことは在りません。しかし傷ついて人はなかなか自分から話す気力もなくなってしまいがちです。
そんな時、表情の変化を察し気持ちを聞き出して気分をUP させるスキルを仲間同士が持ち合させていると、帰宅するまでに、ある程度のストレスを吐き出せます。
こうしたことが、睡眠の深さにつながり、翌日からのしごとに影響を出さないコツです。
日々のストレスがたまりにたまり、離職につながることがあるため、日々の感情のサポートが必要になります。

 

3つ目の支援は、

コールセンター内の健康支援

  • 脳の疲労の取り方を一人一人が習得して、実施できるように促進する事です。

労働安全衛生法に働く人はしっかりと仕事ができるように自己管理をして健康を保つ義務がある(自己保険義務)があります。
ストレスの多い職場は自己管理がなかなか難しく健康志向を職場全域で実施することで、自己管理の手助けをすることをお勧めします。
オペレーターのみならず組織の人すべてがみんな健康志向で、日々気を使っているところとそうでないところでは、健康への配慮がかなり違ってきます。
例えば健康意識の高い職場は、コーヒーブレークの為の設備を作ったりストレッチ体操を導入したり休暇を取るように促進する情報を出したりしています。
脳の疲労はちょっとした工夫で慢性的にたまることが防げますので、慢性疲労にならない日々のストレスケアー介入をお勧めします。

 

最後の支援は、

コールセンター内の組織改革

  • 組織の風土が健康的で感情をサポートするような状態にするためのチーム作りです。

オペレーターは、お客様に向けては会社の顔として一人で、対応していますが、組織的には周りに自分を気にしてくれる存在は不可欠です。
しかし、忙しいご時世自分のことで手いっぱいな職場は、周囲を守ろうとするチーム意識が欠けてしまいがちです。
周囲の感情と健康を守るチームの目標にできるようなマインドセットが必要です。
お客様にただしい情報を伝えるだけがコールセンターの目標ではなくオペレーターや社内の健康があってこその組織であることを見直すことが第一です。

 

上記4つのポイントは、オペレーターの定着力が高まった組織が進んで実践していることです。
今回は4つのポイントの必要性をお話ししましたが、皆様が聞きたいことは、はじめの一歩をどのようにするか具体的な行動だと思います。
ランスタッドでは、定着力を上げる4つのポイントの初めの一歩を9月28日にウェビナーで配信いたします。
ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

 

ウェビナーのお申込みはこちらから

 
 
 

[講師プロフィール]

川西 由美子 (かわにし ゆみこ)
ランスタッド株式会社 セールスアンドストラテジックアカウントマネジメント 組織開発ディレクター
 
original

フィンランドのLyhytterapiainstituuttiにてヨーロッパを中心に世界27か国に広まりを見せる組織活性化技法の指導者資格を取得。現在はオランダに本社のある世界最大級の人材会社ランスタッド株式会社のセールスアンドストラテジックアカウントマネジメント 組織開発ディレクターとして国家機関、地方自治体、企業、病院などで産業競争力を高める人材育成や組織改革の技法を広めている。

 

 

[著書]
    • 「産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ ドイツ流リーダーシップ論ニューオーソリティ」 (日科技連出版より 2020年10月31日 監訳出版)
    • 「チームを改善したいリーダー・推進者のための心の好循環サイクル 仲間を支え個を活かす力」 (日科技連出版社・ベトナム社会主義共和国 情報通信省 情報通信出版局より翻訳出版)
    • 「Reteaming:12 STEPS TO A HAPPY WORKPLACE」 (インドネシアGramedia社・出版協力)
    • 「職場のメンタルヘルス対策の実務」 (民事法研究会・編・著)
    • 「強いチームをつくる技術」 (ダイヤモンド社・出版協力)
    • 「ココロを癒せば会社は伸びる」 (ダイヤモンド社・著書)
    • 「ココロノマド」 (朝日新聞社・著書)
     
     

     ランスタッド  クライアントソリューションは、「産業組織心理学や臨床心理学」の専門的なアプローチで、オリジナルの研修やアドバイスを行いながら、従業員の方々のパワーアップと組織活性化で、産業競争力を高めます。お客様の課題に合わせてオーダーメイドの研修や様々なアドバイスを行いながら、ランスタッドが提供する様々なサービスを提供いたします。

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