企画力、開発力を圧倒的に高めるホラクラシー組織とは

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テクノロジーの劇的な変化に加えコロナ禍による環境変化により数か月先の未来さえ正確に見通す事が困難な時代となりました。このような環境下では企業に企画力、開発力を素早く高め新しいプロダクトやサービスを生み出す事が強く求められる事になります。

企画力、開発力を圧倒的に高める効果的な新しい形態の組織、ホラクラシー組織について焦点を当ててみたいと思います。

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ホラクラシー組織の起源

米国の起業家ブライアン・ロバートソン(ターナリーソフトウエアの創始者)が自身の会社の組織改革について記載した文章や、2015年に出版した著書ホラクラシーより広がった組織の管理体制を意味する組織体系です。
このホラクラシー型経営は、米国アパレル通販大手ザッポスが取り入れて、さらに広まり、成長戦略には欠かせない組織の体型という認識が広まりました。

ザッポスが組織の構造改革にホラクラシー組織の導入をした背景は、IT の進展や、社会の急速な環境変化などに適応する、現場の適応力向上とスピーディーな経営判断が必須となったことが挙げられます。
それにより従来型の組織構造に限界を感じたことが組織の構造改革の理由です。

その結果ホラクラシー組織を機能させるホラクラシー経営に移行しました。

導入に成功した企業の経営者が語る導入後のメリットは

    1. 責任感や主体性が高まり意見を出し合う組織風土が、醸成される
    2. 上下の人間関係のストレスの軽減
    3. 意思決定のスピードが高まり環境変化に適応できる柔軟な組織となる
    4.  ムリ、ムダ、ムラがなくなり業務効率化ができる
    5. 企画力、開発力が圧倒的にたかまること

が挙げられています。

 

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5つの結果が出ているようなホラクラシー組織は、ひとりがいくつものサークル(チーム)に属しロール(役割)を果たしています。

例えば、同じ製品を売るとしても、国が違う場合は、国ごとに効果的に売るためのサークルができ、販売拠点の営業担当者や、保全担当者と共に日本からの製品の営業、設計を担当している技術者、品質保証がサークル(チーム)を造り各々のロール(役割)の責務を効果的に果たしています。

ですから日本からの営業、設計、技術はいくつもの違う国のサークルに所属することになります。
結果を出せる組織は、このようにひとりがいくつものサークル(チーム)に所属して、プロジェクトを運営させるキーパーソンとなり必要な役割と権限を持った人どうしが直接コンタクトしあいながら活発に自主的に動き回って、案件を遂行しているのです。


いくつものサークルに属している人の意識は、自分の成績というより所属チームがどう機能しその他の組織へのよい影響を楽しみにしている傾向があります。

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ホラクラシーという言葉の語源

(現著作より引用))

ホラクラシーという言葉は物理学や哲学で使われるホロンとホラーキーという言葉が語源になっております。
そこに統治という意味のクラシーが統合した造語です。

ホロン:それ自体全体としての性質を持つがより大きな全体としての部分になっているもの
ホラーキー:ホロン同士の結びつきによる構造
クラシー:統治ガバナンス

ホロンを解説すると体の健康メカニズムに例えるとわかりやすいかもしれません。
ホロンは心臓と思ってください。心臓自体で一つの役割があります。
しかし人体にとっては体の組織の一部であるというニュアンスです。

ホラクラシー組織が機能している状態を心臓と体の例で説明すると、心臓自体が元気に機能して体に血液を流すという役割を果たし、さらにその他の体の組織もその機能の役割を果たしてお互いに深く結びつきながら統合され、初めて健康体といえるようらなイメージを持っています。

 
現著作者によると、ホラクラシー組織の本質は、役割を明確化して仕事を体系化することであって人を組織することではない述べています。

 

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ホラクラシー組織の誤解

ホラクラシー組織は、上下関係なくフラット組織で権限が個人に分散され、管理者がいないため統治しずらい事がデメリットだと述べる人がいますが、ホラクラシー組織を運営する初期においては、チームメンバーが運営方法に慣れていなかったり、本質がわからない集団となっているときには、統治が難しいときもありますが、きちんと運営されれば、そのような問題は無くなります。

著者はホラクラシー組織がフラットな組織といわれるのは、非常に違和感があると述べています。
たとえば、大きなプロジェクトを達成するスーパーサークルと呼ばれる母体となるチームの中に開発サークルがあったりマーケティングサークルがあったりします。


従来の人の職位による上下関係はないのですが、このサークルを一つの階層としたらホラクラシー組織にも階層は存在します。管理者の統治の代わりに、ホラクラシー組織には、ガバナンスやオペレーションを実施するための機能的なミーティングがあります。


従来の形骸化したガバナンス(何年も前から書き換えられてなく入社時以外は誰も見ないような職務記述書)ではなく、ホラクラシー憲法というものにのとって、してはいけないこと、してほしいことを明確にしたうえでの、ガバナンスミーティングがあり、ここで、ロール(役割)の目的や、ミッション、責務、業務の範囲や権限を決めていきます。


変化や実態に合わせてガバナンスミーティングを繰り返すことで組織内部のひずみが解消されます。

例えば、自分の業務とも周囲の業務とも捉えないような新しい業務が発生したり、今まで誰も動かそうとしなかった大切だが後回しになっている業務、私かあなたの業務かわからないどちらともいえないグレーゾーンの仕事があります。それに対し、役割や責任が明確ではない業務をガバナンスミーティングの中で合意形成をしながら権限や責任の範囲や役割分担していきます。

ホラクラシー組織は、管理者がおらず権限が個人に分散される組織というより、ガバナンスのプロセスにおいて役割と権限が分散されると組織いう表現が正しいのです。

ホラクラシー組織では、ガバナンスミーティングのあとのプロセスはタクティカルミーティング(戦術的ミーティング)をしてオペレーションがしっかり機能するようにチームメンバーが意識し実行します。
ガバナンスミーティングで決めた、だれがどういうことに関して責任と権限を持ってどんな仕事内容をしているかということを明文化したものを、タクティカルミーティングで遂行させてミッションを達成出来るようにオペレーションしていくのです。

ここまでお話しすると管理者がいないからカオスになるというホラクラシー組織の間違った理解が消えていくと思います。

管理者がいなくてもカオスにならないようにデザインされているのです。
管理者がいても、こうしてほしかったのに期待通りにできないなど、機能していな組織は、そこかしこにあります。

私の専門の組織心理学ではこの現象は明文化されていない業務遂行の期待という上司側の暗黙知が部下に伝わっていないから起こる現象とされています。部下は期待の内容がわからないため行動化しずらく結果が出ずらくなります。

この様な問題を解決するとき管理者自身に気持ちをまとめる能力や語彙力がない場合、明文化は難しいため、ホラクラシー組織を導入するとチームで合意形成ができるようなミーティングがデザインされているため、この様なすれ違った考え方のひずみを解消できるのです。

なお、ホラクラシー組織の構築などのコンサルテーションはホラクラシーワンが実施しています。ご参考にしてください。

また10月20日(水)には、ランスタッドにて組織開発サービスを担当している川西が、現代のコンサルテーションのトレンドとして、ホラクラシー組織について組織心理学の見地から解説します。

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ホラクラシー組織については、日経ビジネス電子版にも、私、川西が記載していますので、参考になさってください。

▼日経ビジネス電子版
 
 

 ランスタッド  クライアントソリューション 組織開発は、「産業組織心理学や臨床心理学」の専門的なアプローチで、オリジナルの研修やアドバイスを行いながら、従業員の方々のパワーアップと組織活性化で、産業競争力を高めます。お客様の課題に合わせてオーダーメイドの研修や様々なアドバイスを行いながら、ランスタッドが提供する様々なサービスを提供いたします。

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[著者プロフィール]

川西 由美子 (かわにし ゆみこ)
ランスタッド株式会社 クライアントソリューション 組織開発ディレクター
 
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フィンランドのLyhytterapiainstituuttiにてヨーロッパを中心に世界25か国に広まりを見せる組織活性化技法の指導者資格を取得。現在はオランダに本社のある世界最大級の人材会社ランスタッド株式会社のクライアントソリューション 組織開発ディレクターとして国家機関、地方自治体、企業、病院などで産業競争力を高める人材育成や組織改革の技法を広めている。

 

 

[著書]
  • 「産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ ドイツ流リーダーシップ論ニューオーソリティ」 (日科技連出版より 2020年10月31日 監訳出版)
  • 「チームを改善したいリーダー・推進者のための心の好循環サイクル 仲間を支え個を活かす力」 (日科技連出版社・ベトナム社会主義共和国 情報通信省 情報通信出版局より翻訳出版)
  • 「Reteaming:12 STEPS TO A HAPPY WORKPLACE」 (インドネシアGramedia社・出版協力)
  • 「職場のメンタルヘルス対策の実務」 (民事法研究会・編・著)
  • 「強いチームをつくる技術」 (ダイヤモンド社・出版協力)
  • 「ココロを癒せば会社は伸びる」 (ダイヤモンド社・著書)
  • 「ココロノマド」 (朝日新聞社・著書)

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