ポストコロナの回復を促すための女性のリスキリング

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パンデミックが世界の労働市場を一変させている今、働く女性たちが直面している大きな課題の一つがデジタル経済が加速する中でのエンプロイアビリティ(雇用される能力)です。

経済的ロックダウンが最も盛んに行われていた間、女性は男性よりも深刻な痛手を受けました。米国と欧州を合わせて400万人以上が解雇または退職に追い込まれています。こうした状況を引き起こした社会経済的要因はさまざまにありますが、失業の一番の背景はオートメーションの広がりと求められるスキルの変化です。

 

リスキリング(技能の再教育)と人材不足

だからこそ、世界が回復軌道に乗り始めている今、雇用主と政策立案者、そしてパンデミックで大きな影響を受けた女性を中心にした労働者自らがリスキリング(技能の再教育)に力を注ぐことが極めて重要です。

労働市場から押し出された人々が再び雇用され得る能力を身につけ、キャリアパスに戻るための支援がこれまで以上に求められています。多くの女性の労働参加がなければ、企業はコロナ禍以前に匹敵する人材不足に直面する可能性があります。

リスキリングはすべての労働者にとって重要ですが、なぜ女性のニーズに特にフォーカスすべきなのでしょうか?その検討材料となる次の統計データを考えてみてください。

 

  • コロナ危機のピーク時に女性の雇用に及んだ影響は男性の1.8倍(※1)
  • オートメーションの導入により、2030年までに世界全体で4,000万~1億6,000万人の女性が職業の変更を余儀なくされる(※2)可能性がある。
  • 2020年に女性労働者が失った収入は8,000億ドル(オックスファム・インターナショナル(※3)調べ)。


 

失業、労働時間の短縮、賃金の圧縮に加え、コロナ禍で多くの女性たちのキャリアアップがすっかり止まっています。家族の事情によって仕事に対するエネルギーが減退している、メンタリングの機会が失われている、組織の中で優先課題同士が対立しているといった理由があります。

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スキルアップのための投資を拡大

朗報は私たちは今、岐路に立ち、働く女性たちの教育・育成の大変革を実現するチャンスが目の前にあるということです。コロナ禍で多くの企業がデジタル化の加速による環境適応を迫られました。トランスフォーメーションが取締役会の難しい議題であり続ける一方で、世界の多くの企業が私たちがこれまでに目にしたことのない不屈の精神と機動力を発揮しています。

多くの企業がスキルアップのための投資を拡大させる意欲を持っています。今日の新しいデジタル環境で成功するためには避けては通れません。こうした動きは医療(※4)から大規模小売店(※5金融サービス(※6)に至るまで幅広い業種で見られ、この記事をご覧の方の業種でも十中八九起きているでしょう。ただし企業はこれを単独で行うことはできません。政策立案者、労働者団体などの幅広いステークホルダーの協力が必要です。

働く女性たちの今のニーズ、長期的なニーズを優先順位付けすることで、この1年半に起きたダメージの修復が可能です。CNBC(※7)は、今年1月、米国における女性の労働参加が過去33年間の最低水準を記録したと報じています。コロナ禍で職を失った女性の多くが失業期間が長期に及び、その結果、キャリアのその後に得ることができる収入にも深刻な影響を与えかねません。

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リスキリングは女性の仕事復帰を後押しする手段

リスキリングは女性の仕事復帰を後押しする手段の一つです。子どもの養育費その他の支出を賄えるより賃金の高い仕事への移行を助けることによって、キャリアパスを順調に進み続けることができます。

米国商工会議所(※8)によると、女性就業者の割合が特に多いレジャー・ホスピタリティ産業よりも専門・ビジネスサービス職の求職倍率がはるかに低いことがわかっています。このセクターのブルーカラー労働者が技能再教育を受け、専門サービスに移行すれば、人材不足に対処すると同時に多くの女性たちにとって収入アップが期待できる一つの策になります。

多くの政策立案者が女性に偏ったパンデミックの影響に気づき始めていることが朗報です。今年6月、ボリス・ジョンソン首相が招集した英国の専門家機関、ジェンダー平等諮問委員会(※9)は、G7首脳陣に「女性の起業、新しい経済に対応した技能再教育を含めた女性の生涯学習への投資」を求めました。国連も世界の経済回復の中心に女性を据えるジェンダー平等のためのグローバル促進計画(※10)を推進し、さまざまな対策の中でも特にリスキリングのリソース強化を呼びかけています。

女性に対するキャリアアップ支援は、女性が仕事を継続または仕事復帰し、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を確保し、キャリアを前進させるためのサポートに大きな役割を果たします。スキル評価などの重要なリソースを提供することが女性の教育・育成に役立ちます。

コロナ禍で一部止まっているメンター制度も再開させる必要があります。この他、雇用主は一部の女性たちが家族か仕事かの二者択一を迫られることがないよう、引き続き柔軟な働き方を推進しなければなりません。

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女性たちのキャリアアップ

さらに、女性たちにはキャリアアップのためにどのようなスキルの習得が必要か、適切な助言が必要であり、その意味でRandstad RiseSmartの「BrightFit」の誕生は大いに有望です。働き手はキャリアに関して賢い判断ができ、企業は機動性と持続可能性の高い人材構築ができる、独自の予測型キャリア探索ツールです。

BrightFitでは予測技術と個別キャリアコーチングを活用しています。アルゴリズムによって4万を超えるデータソースと1万7,000種を超える関連スキルに基づくリアルタイムの労働市場データ分析を行い、独自のスコアを導き出します。これらの情報によって将来性が期待できる市場で、自分の技能とも合致するキャリアを見つけられます。BrightFitについて詳しくはこちら(英語サイト)をご覧ください。

パンデミックが起きるまでの長きにわたって、女性たちは職場での平等を目指して着実に前進していましたが、この1年半に大きな後退を余儀なくされました。ですがすべてのステークホルダーによる協調的努力と重点的なリスキリングによって、女性たちが再び勢いを取り戻すための支援が可能です。

 

キャリア開発

 

 

[参考]

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