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給与のその先へ:2026年、財務・会計プロフェッショナルが本当に求めている価値とは
目次
- 財務・会計プロフェッショナルが本当に求める価値
- 成果を生み出す原動力としての「柔軟性」
- 経営幹部(C Suite)へのキャリアパス
- 心理的安全性:過剰なプレッシャー からの脱却
- 人事および財務・会計リーダーのための実践ロードマップ
- よくある質問(FAQ)
財務・会計プロフェッショナルが本当に求める価値
かつての財務・会計部門にありがちだった「ボイラールーム」のようなプレッシャーの厳しい職場環境は、魅力を失いつつあります。何十年もの間、この分野は「高いストレスと引き換えに高給とボーナスを得る」という状態が顕在していました。しかし2026年に入り、その前提は根本から覆りつつあります。
先進企業が「柔軟性」「成長」「戦略的な人材育成」をどのように組み合わせ、2026年の定着率向上を実現しているかをご紹介します。
慢性的な財務・会計人材の不足が続く中、求職者は雇用契約の条件面だけではなく、組織全体の働く環境(エコシステム)を重視しています。ワークモニター2026によると、給与は依然として人材を惹きつける最大の要因である一方、定着を促す最大の原動力はワークライフバランスであることが分かっています。実際、働き手の46%が「現在の職場に留まる主な理由」としてワークライフバランスを挙げており、雇用の安定(23%)や給与・福利厚生(23%)を大きく上回っています。
人事の意思決定者やCFOにとって、人材定着の課題は「条件面での引き留め(金銭的報酬)」から「文化による定着(パーパスと自律性)」へと進化しています。Gartnerの2025 年CFOリーダーシップ展望(※英文)によれば、財務・会計部門の変革は依然としてリーダーの最優先課題となっています。しかし、適切な人材が適切なポジションにいなければ、変革を実現することはできません。
これまで財務・会計部門の人材引き留めは、高い給与やボーナスによって行われてきました。しかし今日の優秀な人材は、持続的なハイパフォーマンスを発揮するには金銭的なインセンティブ以上のものが必要であることを理解しており、共に歩む「partner for talent」を求めています。チームの未来を確かなものにするためには、給与の「その先」を見据える必要があります。
成果を生み出す原動力としての「柔軟性」
長年、財務・会計部門では「責任の重い重要な業務を行うにはオフィスに常駐しなければならない」と信じられてきました。しかし、その神話はすでに崩れ去っています。今日、財務・会計プロフェッショナルは柔軟性を単なる「福利厚生の特典」や「会社側の妥協」ではなく、企業の魅力や個人の生産性を左右する重要な指標と捉えています。2026年における新たなグローバル基準は、「時間の自律性」です。
「同期型柔軟性」の台頭
財務・会計の重要な業務には、月末締めや四半期決算といった動かすことのできない厳密な決算サイクルがあるため、従来のリモートワークモデルが機能しないという課題がありました。多くの財務・会計人材の採用・配置戦略が失敗に終わるのは、こうしたサイクルのある職種に対して画一的なリモートワーク制度を押し付けようとしてしまう傾向があるためです。この課題を乗り越えるため、先進的な財務・会計部門の人材紹介企業は「同期型柔軟性」へのシフトを推奨しています。
「同期型柔軟性」とは、チーム全員が集まる時間を最小限に抑え、個人の集中作業を軸とする働き方です。 戦略的な連携が必要な特定のミーティングのみ「リアルタイム参加」が求められますが、それ以外の高度な分析タスクをいつ進めるかは個人の裁量に任されます。たとえば、午前10時の戦略会議にさえ出席すれば、シニアアナリストが最も集中できる午後9時に複雑なテクニカル分析を行うことも認められる仕組みです。
世界経済フォーラム(※英文)が指摘するように、「レジリエンス、柔軟性、アジリティ」への要求が高まる中、プロフェッショナルが自身の「脳の負荷」を自己管理できると信頼される環境こそが、最高のパフォーマンスを引き出します。
柔軟性は企業側の譲歩ではなく、パフォーマンスを向上させる原動力です。人材が最も集中できる時間帯に働く自由を得ることで、財務管理の質とレポーティングの精度は飛躍的に高まります。
経営幹部(C Suite)へのキャリアパス
財務・会計プロフェッショナルは、本質的にROI(投資対効果)を重視します。彼らはこの分析的思考を自身のキャリアにも適用し、「この会社で過ごす時間は、長期的にどのようなリターンをもたらすか?」と問いかけます。現在、この分野における離職の最大の原因は「キャリアの停滞」です。自身のキャリアが将来的な影響力のあるポジションへ繋がっていると実感できなければ、彼らはその道筋を示してくれる競合他社へと移っていくでしょう。
現代の人材が恐れているのは、特定の専門領域(税務、買掛金管理、コンプライアンスなど)の枠に押し込められ、同じ業務の繰り返しから抜け出せなくなることです。彼らが求めるのは単なる年功序列の昇進ではなく、キャリアの流動性です。こうした優秀な人材を引き留めるには、企業がスキルアップを「付加的な特典」ではなく「中核的な戦略」として投資している姿勢を示す必要があります。
ここで重要になるのが「CFOホライゾン(CFOへのキャリア展望)」という考え方です。
「CFOホライゾン(CFOへのキャリア展望)」:入社初日から明確な展望を描く
財務・会計人材不足を解消するには、候補者が入社したその日から、戦略的リーダーや経営幹部(C Suite)への道筋が明確に見えている必要があります。優秀な人材が定着するのは、単に役職が上がるだけでなく、組織に影響を与えるポジションへの道筋が見えたときです。そのためには、財務・会計人材のマネジメント手法を以下のように根本から転換する必要があります。
- 予測分析スキルの向上: 2026年において、財務・会計プロフェッショルの価値は「過去の記録」だけでなく「未来を予測する能力」にあります。AIを活用した予測分析のトレーニングを提供することは、人材定着の強力な手段となります。PwCの「2025年グローバルAIジョブバロメーター」(※英文)によると、AIスキルを要する職種は56%の賃金上乗せを享受しており、これは人材がいかに市場価値を維持することを重視しているかを示しています。
- 部署横断型ローテーション: ミドルマネジメント層が事業部門、サプライチェーン、経営企画などの部門を経験できるようにします。これにより、現代のリーダーに不可欠な「全体を俯瞰する力」が養われ、仕事へのモチベーションを高く保つことができます。
- 経営幹部によるメンターシップ: 将来有望な人材と経営幹部をペアにすることで、AIや機械には再現できない「人間ならではの戦略的思考」を磨くことができます。
自社で経営幹部への道筋を明確に示せなければ、競合他社が彼らにその道を示すことになるでしょう。
心理的安全性:過剰なプレッシャー 文化からの脱却
罰則や糾弾がつきまとう従来型の「ボイラールーム(過剰なプレッシャーが及ぶ職場) 」のような組織文化では、ミスはペナルティの対象でした。責任の重い環境下でこのような対応をすると、 リスクの早期報告をためらってしまう事もあると思います。一方、ミスを解雇や処罰の対象ではなく「改善のためのデータ」として扱う協力的な文化こそが、結果として優れた財務成果をもたらすのです。
かつての財務・会計部門では、しばしば「耐え抜くこと」が美徳とされてきました。長時間労働と絶え間ないプレッシャーが、仕事へのコミットメントの証とみなされていたのです。しかし2026年には、その考え方は「持続可能なハイパフォーマンス」へと取って代わられています。現在、従来の組織文化と現代の人材が求める期待との間には、明確なギャップが存在しています。
| 従来の財務・会計文化 | 現代の人材が求める環境 |
| 「苦労や労働時間」を評価 | 「ビジネスへのインパクト」を評価 |
| 厳格なオフィス勤務と定時出社 | 成果に基づく柔軟な働き方 |
| 階層的でサイロ化された組織 | 協調的で戦略的なチームワーク |
| 責任追及を恐れるリスク回避 | 心理的安全性によるリスク軽減 |
財務・会計部門に高度なテクノロジーが導入されるにつれ、人間の役割も進化しています。プロフェッショナルはもはや実務の実行だけでなく、システムの監視、判断、そして倫理的な意思決定を担うようになりました。これには、従来とは全く異なる職場環境が必要です。
人間とAIの協業を成功させるには、信頼が不可欠です。ワークモニター2026でも繰り返し指摘されている通り、信頼を再構築し人材のエンゲージメントを高めるには、組織は影響力の大きいAI開発に投資すると同時に、その導入戦略の透明性を確保する必要があります。チームが心理的な安心感を持てて初めて、企業が生き残るために必要な「耳の痛い、しかし真実である財務状況」を率直に報告できるようになるのです。
新しいワークフォースロジック(※英文)に関するランスタッドの記事でも強調しているように、現代の働き手は、成長機会、ウェルビーイング、過度なプレッシャーのない環境が得られるのであれば、給与の増加幅が少なくても受け入れるなど、柔軟なトレードオフを厭わない傾向が強まっています。心理的安全性(※英文)が確保された協力的な文化は、小さなミスが壊滅的な財務リスクに発展するのを防ぐ、計り知れない価値を持つリスク軽減資産なのです。
心理的に安全な環境を構築できる組織は、コストの重い重大なミスの発生リスクを下げ、組織全体のパフォーマンスを向上させます。人事リーダーにとって、これはもはや単なる選択肢の一つではなく、現代の財務戦略における中核的な要素です。
先進企業が「柔軟性」「成長」「戦略的な人材育成」をどのように組み合わせ、2026年の定着率向上を実現しているかをご紹介します。
人事および財務・会計リーダーのための実践ロードマップ
2026年の複雑な労働市場を乗り切るには、従来の標準的な財務・会計採用のアプローチだけでは不十分です。現代の財務・会計業務における「ヒューマン・イン・ザ・ループ(人間の適切な介在)」の重要性を理解する必要があります。
具体的なアクションプランは以下の通りです。
- 時間の自律性を設計する:チームでリアルタイムに連携する時間帯を明確に指定しつつ、個人が高度な分析作業に没頭できる時間を確保する「同期型柔軟性」を導入します。
- キャリアパスを可視化する:戦略的リーダーシップを担うポジションへの道筋を明確にし、入社後の早い段階から提示します。
- 継続的なスキルアップに投資する:AIのガバナンス(監視)や戦略的分析など、これからの財務・会計部門に求められるスキル開発に注力します。
- 心理的安全性を確保した文化を構築する:オープンな対話を促し、ミスを学習の機会と捉え、自信を持った意思決定を下せる環境をサポートします。
- インサイトを活用できるパートナーと提携する:求職者の期待がどのように変化しているかを的確に把握し、それに合わせて採用戦略を最適化できる財務・会計採用のスペシャリストと連携します。
最も効果的な財務・会計人材の採用戦略とは、人材が単なる報酬だけでなく、仕事を通じた総合的な体験を重視しているという事実を認識することです。財務・会計分野に特化した人材紹介会社と提携することで、組織は単なる欠員補充にとどまらず、変化に強く未来を見据えた強靭な組織エコシステムを構築することができます。
よくある質問(FAQ)
なぜ従来の財務・会計部門の定着戦略は効果が薄れているのでしょうか?
報酬が重要な要素であることに変わりはありません が、財務・会計プロフェッショナルは給与だけでなく、従業員体験全体を重視するようになっています。多くの人が、金銭的インセンティブのみに依存したプレッシャーの強い環境よりも、柔軟性やキャリアの成長、持続可能なパフォーマンスを優先しています。企業としては、定着戦略を単なる給与の改善から、組織文化、自律性、長期的な育成機会を含む包括的な内容へと進化させる必要があることを意味します。
柔軟な働き方は、財務・会計チームの責任感を低下させませんか?
制度が適切に構築されていれば、責任感が低下することはありません。多くの財務・会計チームでは、柔軟な働き方を導入することで、プロフェッショナルが自身の最も集中できる時間帯に業務を行えるようになり、結果として集中力、正確性、生産性が向上しています。チームで連携する時間帯やレポーティングの基準を明確に設けることで、責任の所在は「物理的にオフィスにいること」から「成果を出すこと」へとシフトします。
なぜ財務・会計分野においてキャリアの流動性が重要なのでしょうか?
財務・会計プロフェッショナルは、特定の専門領域に留まるのではなく、戦略的な業務、リーダーシップの機会、そして部門横断的な経験をより求めるようになっています。スキルアップ、メンターシップ、幅広いビジネス経験に投資する組織ほど、組織への影響力と長期的なキャリア成長への明確な道筋を求める意欲的な人材を惹きつけ、定着させることに成功しています。
心理的安全性はパフォーマンスをどのように向上させるのでしょうか?
ミスが厳しく罰せられる環境では、従業員はリスクを指摘したり、早期に誤りを認めたりすることをためらいがちです。心理的安全性は、オープンなコミュニケーション、迅速な問題解決、そして強固なチームワークを促進します。これにより、組織はコストのかかる重大なミスを防ぎ、ますます複雑化するビジネス環境において、より適切な意思決定を下せるようになります。
2026年に向けて、人事および財務・会計リーダーが最優先で取り組むべきことは何ですか?
最も大きな成果を上げている組織は、単なる採用活動に頼るのではなく、持続可能で未来を見据えた職場環境の構築に注力しています。具体的には、実効性のある柔軟な働き方モデルの構築、未来志向のスキル開発への投資、健全なチーム文化の醸成、そして入社当初から従業員のキャリアパスを明確に示すことなどが挙げられます。
先進企業が「柔軟性」「成長」「戦略的な人材育成」をどのように組み合わせ、2026年の定着率向上を実現しているかをご紹介します。
ランスタッドは皆さまの「partner for talent」として、 人材採用戦略を通じ、財務・会計人材不足 の解消と今後のチーム作りのための最適なサポートをご提案します。 ぜひ専門コンサルタントにご相談ください。