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カスハラを定義、企業の措置義務に就活セクハラも義務化、均等分科会
カスハラ定義を明確化、労働施策総合推進法を改正
労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(奥宮京子分科会長)は11月26日、女性活躍推進と職場におけるハラスメント対策について議論しました。
女性活躍推進法(女活法)は2025年度までの時限立法として成立した法律ですが、この日は厚生労働省から(1)期限を10年間延長する(2)実効性の向上を目的に、男女間賃金格差と女性管理職比率の情報公開義務を現行の従業員301人以上企業から101人企業に拡大する――などの方針が示されました。
年明けの通常国会に改正法案が提出される見通しです。
ハラスメント対策では主にカスタマーハラスメント(カスハラ)、就活ハラスメント、いわゆる「自爆営業」の扱いを議論。その前提として今回は「職場におけるハラスメントは許されるものではない」という規定を明確化します。
カスハラについては定義をより明確にし、労働者保護の観点から企業の措置義務として具体的な規定は指針で示します。
定義は(1)顧客、取引先、施設利用者等の利害関係者が行うこと(2)社会通念上、相当な範囲を超えた言動(3)労働者の就業環境が害されることーーの3点を提示。
これらに基づき、企業は従業員らに方針の内容を明示して、周知・徹底を図ります。また、従業員らからの相談に応じ、適切に対処する体制を整備する、などの措置を講じることを義務化します。
これまでセクハラ、マタハラ、パワハラ対策が法制化されており、これらにカスハラ対策が加わることになりますが、カスハラには顧客の存在という職場内部だけで対応できる問題ではないことから、労働施策総合推進法への“組み入れ”が有力視されています。一方、就 活セクハラについては職場における雇用管理の延長として、企業の雇用管理上の措置義務としました。
来年春闘「5%以上賃上げ」を 中小は「6%以上」
連合は11月28日開いた中央委員会で、2025年春闘方針を正式に決めました。ベースアップと定期昇給を合わせた賃上げの要求水準を「5%以上」とし、中小労働組合は格差是正に向けて「6%以上」とします。芳野友子会長は「全員そろって豊かにならないと、国は決して繁栄しない。このことをしっかりと胸に刻んで取り組みを進める必要がある」と述べました。
連合によると、今年の春闘では平均1万5281円(賃上げ率5.10%)と1991年以来、33年ぶりの5%台を達成。しかし、組合員300人以上の中堅・大企業の賃上げ率が5.19%だったのに対して、同300人未満の中小企業は同4.45%となり、格差は拡大していました。
11月26日に開かれた政労使会議でも、石破茂首相は「デフレ脱却と成長型経済の実現を確実なものとし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現を目指す」と述べ、来年の春闘でベアを含む大幅な賃上げが行われるよう労使に協力を求めました。また、最低賃金を2020年代に全国平均で1500円まで引き上げる政府目標の達成に向けて、官民挙げて環境整備を図る考えを示しています。