「無期転換ルール」の見直しで報告書案 有識者検討会が年度内にも了承

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「通算5年」で無期転換、現行法の骨格は維持

労働契約法「無期転換ルール」の見直しと、「多様な正社員」の労働契約関係の明確化について議論している厚生労働省の有識者会議は2月22日、第12回会合を開きました。この日は、事務局の厚労省がこれまでの議論を踏まえて報告書案(たたき台)を提示。有期労働契約「通算5年」で無期転換の権利獲得という現行法の骨格を維持する案に異論はなく、「雇用の安定」に向けた法整備をもう一段進める政策的手法について詰めの議論を展開しました。厚労省は年度内
にも報告書提出にこぎ着けたい考えで、春以降は労働政策審議会に議論の場を移します。

2013年4月に施行された労契法の「無期転換ルール」は、同じ企業との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度。18年4月から権利行使できる労働者が出ていますが、厚労省の大規模なアンケート調査では企業と有期で働く人の双方で認知度が低いことが浮き彫りになっています。
報告書案は54ページにわたり、精緻に議論を積み重ねてきた内容が盛り込まれています。「無期転換ルール」の見直しについては、(1)無期転換を希望する労働者の転換申し込み機会の確保(2)無期転換前の雇い止め(3)通算契約期間及びクーリング期間(4)無期転換後の労働条件(5)専門的知識を有する有期雇用労働者に関する特別措置法(6)労使コミュニケーション――の6つの各論について検討した結果を記載。
この中では、「無期転換後に適用される労働条件を就業規則に規定する必要があることを無期転換に関する

モデル就業規則とともに周知することが適当」「契約更新上限を設けた上で、形式的にクーリング期間を設定し、期間経過後に再雇用することを約束して雇い止めする手法は、法の趣旨に照らして望ましくないと更に周知すべき」と提言。このほか、(4)無期転換後の労働条件では「就業規則において企業独自の無期転換制度を設ける場合でも、その労働条件の設定に当たっては就業規則の規定の合理性や個別の合意が必要である点に留意するよう周知していくことが適当」などとしました。
一方、「多様な正社員」の労働契約関係の明確化については、「これまでの『雇用管理上の留意事項』の周知に加え、法令上の措置も含めた労働契約関係の明確化を検討することが適当」としています。
 これらの提言の大半は労働基準法の政省令・指針の改正で対応できますが、一部、労基法本法の改正に該当する部分もあり、春以降の労政審で現場の運用も念頭に入れた議論が始まる見通しです。同検討会は昨年3月に設置され、計12回にわたって議論してきました。

 

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大企業で「増やす」が大幅回復、来春新卒

学生就職情報会社が2月21日に発表した2023年卒業の大卒採用調査によると、採用数を「増やす」と答えた
企業は26.6%(前年比11.0ポイント増)で、「減らす」は6.0%(同6.9ポイント減)、「増減なし」は60.0%(同0.1ポイント減)となり、採用に積極的な企業が大幅に増える見込みであることがわかりました。
 同社は「21年卒はコロナ禍で採用を抑制する企業が多かったが、22年卒では回復傾向がみられ、23年卒も回復基調が続きそうだ」と予想しています。
「増やす」企業を規模別にみると、従業員1000人以上の大企業では34.9%(同20.2ポイント増)と大幅に増
え、同300~999人の中堅企業も27.5%(同9.8ポイント増)、同299人以下の中小企業も19.6%(同5.7ポイント増)と企業規模を問わず増えています。
 業種別で「増やす」企業の多いのは「製造」の29.9%(同13.3ポイント増)、「流通・商社」の27.3%(同9.8ポイント増)、「サービスなど」の26.4%(同12.9ポイント増)などとなっています。

取材・文責 アドバンスニュース

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