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副業人材とは? 人手不足を補い、新しい風を呼び込む人事の秘策
副業人材とは?
2022年7月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改訂され、企業は副業・兼業を許容しているか否か、また条件付きで許容する場合はその条件を公表することが望ましい、といった内容が追加されてから1年あまり。自社や、自分の副業・兼業に関する意識はアップデートされているでしょうか?この機にあらためて、副業・兼業や、副業人材について考えてみましょう。
なお、ガイドライン改訂について詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
一般的には「主となる仕事(本業)+副業を持つ人材」を指す
副業とは「主となる仕事(本業)のかたわらにする仕事」のこと。つまり、副業人材とは「本業+副業を持つ人材」ということになります。
この考え方だと、企業に属さずに複数の企業から業務を請け負う「フリーランス(個人事業主)」でも、本業と副業があれば「副業人材」ということになります。しかし、一般的には「企業の社員として働きながら(本業)、勤務時間外に他社の仕事を請け負う(副業)」、いわゆる「会社員の副業」を手掛けている人材を「副業人材」と呼ぶことが多くなっています。
副業人材活用は「自社を副業先として働いてもらう」のが主
「副業人材の活用」としては、「自社の社員に副業を奨励し、副業に由来するスキルをつけさせたり、勤務時間を減らして人件費削減を図ったりする」といった内容も考えられます。しかし、現在のところは「外部の副業人材に自社を副業先として働いてもらい、自社の人手不足を補うために活用する」内容を指す場合が多いようです。
副業人材活用の3類型
従来の外注・アウトソーシングに近い「タスク型」
副業人材をどのように活用するかには、3つの類型があります。その1つが「タスク型」、いわゆる「与えられた具体的な仕事をしてもらう」型です。例えばデザイン制作やコンテンツ作成、入力作業やデータ管理など、納品物や作業内容、期間など「何をどうするか」が明確な業務を委託する活用方法です。
プロジェクト単位で任せる「プロジェクト型」
もう1つは「プロジェクト型」、いわゆる「目標を達成するための仕事をしてもらう」型です。例えば新規事業の立ち上げやキャンペーン・イベント、システム開発、Webサイトの立ち上げ・運用など、「業務上のプロジェクト」を1つの単位として業務を委託する活用方法です。
課題などに応じた業務を委託する「ミッション型」
最後の1つは「ミッション型」、いわゆる「使命や役割、任務を果たすための仕事をしてもらう」型です。他の2つの型のように期間や成果物は限定されません。例えば、経営課題の解決、人材開発、ブランディングなど、「単位化できないより大きな目的」をもった業務を委託する活用方法です。
副業人材活用のメリットは?
必要に応じて人材を活用できる
専門性を持った人材を補うために正社員を登用する場合、採用または配置転換に加えて、教育のコストがかかってきます。副業人材であれば、本業で培った専門スキルを持つ即戦力人材を、必要に応じた形で採用できます。
専門的な業務に限らず、代替可能なルーティンワークなどの業務でも、副業人材に委託することで正社員のリソースを割く必要がなくなり主業務に注力できるようになります。
人件費を抑えられることも
副業人材の働き方は、正社員やアルバイトのように企業に雇用されるのではなく、「依頼された業務を行う」ことについて契約を結ぶ「業務委託契約」が一般的です。スキルを持った人材であれば相応の契約額にはなりますが、労働基準法上の労働者にあたらないため、社会保険や雇用保険、有給休暇など、正社員だった場合にかかるコストがなくなります。結果として人件費を抑えられるケースもあるのです。
社外の文化や知見を取り入れる機会になる
他社で活躍している副業人材を活用することで、自社と異なる企業風土や文化を経験した人材とのコミュニケーションが生まれます。自社内だけでは難しい、オープンイノベーションの好機を得ることも期待できるでしょう。そういった意味では、副業人材の直接的なスキル・知見の提供だけでなく、自社の従業員が異なる知見・ノウハウに触れ、刺激を受けられるのもメリットと言えます。
副業人材活用の注意点と解決のポイント
依頼できる業務量・業務内容に制限がある
本業・副業ともに雇用されている場合の労働時間は、本業と副業を合わせて1日8時間、週40時間以内に収めなければなりません。また、業務委託契約であったとしても、副業人材が業務に就ける時間は正社員より短くなると考えていいでしょう。それに加えて、「テレワーク限定」など契約内容によっても依頼できる業務が限られてきます。どういった業務範囲や稼働内容で依頼したいのか、それは副業の条件で遂行可能なのか、雇用・契約前にきちんと話し合い決めておくことが重要です。
コミュニケーションの問題が起きることも
副業人材は正社員よりも接点が少なくなりがちなため、コミュニケーションで問題が起きやすいのも注意点の1つです。テレワーク勤務の人材であればチャットツールや共同編集環境を用意するなど、業務に必要なコミュニケーションを不足なく取れるようにしておきたいところです。
ただし、業務委託契約の副業人材を自社の正社員と同じように指揮管理して働かせてしまうのは、「偽装請負」と見なされかねません。コミュニケーションが深まったとしても、自社への所属意識を求めたり、部下のように扱ったりしてはいけない相手だということは意識しておきましょう。
副業人材を活用する企業の取り組み事例
商品PRに広告のスペシャリスト人材を登用
A社では、新規事業として初のBtoC向け商品を開発するにあたり副業人材を活用。大手広告代理店でPRプランナーを経験していた兼業・副業人材に、SNS広報業務と社員へのレクチャーを委託しました。新商品のPR効果をアップさせたのに加え、社員へのレクチャーを依頼したことで、自社内に広報ノウハウを獲得、蓄積することにも成功しています。
IT副業人材でコールセンターのDX推進
コールセンターの効率化、ITツール活用・顧客データ活用などができていなかったB社では、ITに詳しい副業人材を登用。まずチャットボットの導入を進め、顧客対応の効率化を実現しました。この成功体験が、さらなるデータ活用など、社内のDX推進への気運を高めることにもつながったといいます。
人事こそ多様な働き方へのアンテナを巡らせて
正社員があらゆる業務をまとめ、手が足りない場合は派遣社員・パート・アルバイトを雇う……といった人事運用のあり方も廃れてはいません。ただ、多様な働き方の広がりとともに「当たり前」ではなくなりつつあるのです。これからの人事では、優秀な人材を確保するためにも、多様な働き方を網羅できる情報収集力も重要になるでしょう。