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[人材獲得と採用の違い]似ているようで違う「人材獲得」と「採用」
「人材獲得(Talent Acquisition:タレント・アクイジション)」と「採用」-互いに関連したこの2つは、継続的な成長と成功を目指す企業にとって極めて重要な概念です。
両者は一見、同じ意味に聞こえるかもしれませんが、むしろこの2つには大きな違いがあります。人事部門が最大限の有効性を発揮するとともに、企業として最も困難な課題を乗り越え、チャンスを捉えるには、人材獲得と採用の違いを理解することが重要です。
違いを知る
人材獲得と採用の最たる違いは、時間軸に関係しています。人材獲得は、将来に向けて成果を出し続けるために必要なスキルや経験を組織がいかに装備するかという長期的視野に立っています。一方の採用は、どちらかと言えば目の前に差し迫った受動的プロセスであり、基本的には欠員補充のための候補者探しが中心です。
効果的な人材獲得は、戦略とプランニングが鍵を握ります。人材獲得プロジェクトを始動する前に、ビジネス環境における自社の現在の立ち位置と将来的に予想される立ち位置をある程度調査し、情報を仕入れておくことが大切です。このレベルまで理解があれば、人材に何を求めるべきなのかがわかり、必要な人材を見つけ、獲得するための下地になります。
採用も組織の生産性と健全性を維持するために必要不可欠であることは歴然としていますが、戦略的、長期的と言うよりも、目の前の必要性を満たすために適切な人材を間違いなく選ぶための効率性と決断力が要となります。
採用と人材獲得を概念化する、もう一つわかりやすい方法があります。採用を明確な終点のある短期的なアプローチ、人材獲得を将来のニーズを見越した長期的で継続的なアプローチと考えてみてください。
いつ採用し、いつ人材獲得をするのか?
端的に言うと、できるだけ早く補充したい欠員がある場合が採用です。すなわち、組織が日常的に機能するために必要な人材の確保を意味します。
新規採用に取り掛かる場合は、どのようなタイプの人材を探すか、主にどのようなスキルを条件にするか、おそらく明確に見当がつきます。最も一般的なシナリオの一つが退職者の後任を見つけるケースですが、この場合は、新規採用者が負うことになる職務や責任、その業務をきちんと遂行するために必要な経験や特性がはっきりとつかめているはずです。
一方で、人材獲得は、組織が今後数年でどう成長し、進化したいのか、全体像を見ていくときに、綿密に関係してくるプロセスです。
ニッチな市場でビジネスを展開し、成功には特殊なスキルや専門知識を持つ人員が欠かせないということであれば、人材獲得戦略を立てる必要性大です。その最たる例がテクノロジー企業です。イノベーションを推し進め、時流とともに進化できなければ取り残されます。
人材コンサルティング会社、TalenTrustの創業者でありCEOのキャスリーン・クイン・ヴォトー氏はJobvite(英語サイト)のインタビューに対して、人材不足が顕著な業界においては特に人材獲得戦略が必要不可欠と答えています。
「全体としてトップ人材の獲得競争は加熱し、それに拍車をかけている要因の一つが人材不足です。例えば、開発者を探しているテクノロジー企業であれば、強靱な社風、独自の福利厚生、雇用主としてのブランドの強化・活用を軸にした包括的人材戦略を立てる必要があるかもしれません」
組織が長期的リーダーシップを手に入れるには、効果的な人材獲得がやはり物を言います。経験豊富なリーダーの退職または転職が近い場合、短期的な採用では後任者探しは難しいでしょうが、確かな人材獲得戦略を立てて、準備しておけば、あなたが求めるような次のリーダーを確保できる可能性は高まります。
同様に、新規市場への事業拡大や、近々、新しい大規模プロジェクトの開始を予定しているならば、それらを成功させるために欠かせないスキルや経験を真剣に考える必要があるでしょう。
そしてもう一つ、今日の企業にとって重要な検討項目があります。エンプロイヤーブランディング(勤務先としての魅力)です。エンプロイヤーブランディングは人材獲得と密接に紐付き、強力で魅力的なブランドを構築することによって優秀な人材を惹きつける力を高めます。優秀な人材が仲間入りを決めてくれた暁には企業の注目度や魅力が一層高まります。
ランスタッドは先頃、Ciscoの人材獲得担当シニアバイスプレジデント、ジル・ラーセン氏に、エンプロイヤーブランドに関する同社の戦略的取り組みについてお話を伺いました。そのポイントの一つが、人材獲得における企業ブランドの差別化の大切さです。
「Ciscoをより身近に感じてもらうために、自社ブランドに関してさまざまな取り組みを行い、幅広いオーディエンスに対してそれぞれに適したメッセージを発信しています。当社はスタートアップ、インキュベーター、そしてもちろん大手企業とも、必要不可欠な人材やスキルの獲得競争を繰り広げていますので、手をこまねいているわけにはいきません」
このように「人材獲得」と「採用」には明確な違いがあります。それぞれの概念を理解することによって、どのような場合に採用が必要なのか、どのような場合に人材獲得に取り組むべきなのか、疑問が概ね解消されたことでしょう。いずれの場合においても、最も効果が高く信頼できる戦略を見つけることが、企業として課題を克服し、将来に備える有力な手段になります。