人材不足が叫ばれ、雇用形態が多様化する現代。企業の採用活動は、理想のタレント(候補者)と現実のタレント主導型市場とのギャップに直面し、従来の採用手法だけでは乗り切れない状況に陥っています。
特にハイレベルな専門性を持つタレントを迅速に確保し、事業を維持することは、喫緊の経営課題です。
本記事では、この激変する市場において、現実的なソリューションとして存在感を増す「プロフェッショナル派遣」(専門領域のスペシャリストをプロジェクト単位を含めた派遣雇用形態でご紹介するランスタッドのサービス)に焦点を当て、この分野で長年の経験を持ち、採用市場の最前線で企業とタレント双方の課題を解決してきたYoosunさん(プロフェッショナル派遣事業部 マネージャー)へ実施したインタビューをご紹介します。
市場の傾向から、企業が陥りがちなシニアタレントへの誤解、そして「プロフェッショナル派遣」での採用を成功に導くための実践的なカギについて、深掘りしていきます。
不安定な時代を生き抜くための戦略的で現実的な人材活用術を、ぜひここから見つけてください。
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<ユソン ジャン(Yoosun Jang)>
「プロフェッショナル派遣」サービス チームマネージャー
人事・経理・マーケティングなど、幅広い職種と業界を担当。中でも金融業界(証券、資産運用、不動産、保険、フィンテック)に強みを持つ。
2017年に立命館アジア太平洋大学を卒業後、日本の人材紹介会社でキャリアをスタート。金融業界を担当し、蓄積された豊富な経験と知識により、顧客企業へ信頼できるマーケット情報と適切なコンサルティングを提供。
韓国出身、米国で育ち、現在は日本で就業中。英語、日本語、韓国語のトリリンガル。
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自己紹介:「プロフェッショナル派遣」の現場に魅了された理由
本日はありがとうございます!
早速ですが、Yoosunさんのキャリアと、現在ご担当されている「プロフェッショナル派遣」について、お聞かせください。
この分野に携わることになった経緯や、専門家としてのこだわりもぜひ教えてもらえますか?
こちらこそありがとうございます!
私は新卒で金融サービス業界のIT系以外の全職種を専門とするコントラクト事業(派遣や契約社員のサービス)に就職し、キャリアをスタートさせました 。
当時は「プロフェッショナル派遣」という言葉すら知らなかったんですが(笑)、立ち上げられたばかりのチームで採用業務を学び、最終的には4人のチームを管理するまで成長することができました 。
振り返ってみると、派遣という雇用形態に携わるキャリアをスタートできたのは本当に幸運でした 。この仕事を通して多様な人生経験を持つ候補者と出会い、正社員では必ずしも提供できない柔軟なソリューションを提供できることに、大きな価値を感じています 。
特に、予期せぬキャリア上の課題に直面している方や、正社員のポジション獲得に苦労しているシニアタレントの方々にとって、「プロフェッショナル派遣」は最も現実的で力強い選択肢になると思います 。
企業側でも、突発的な交代要員やプロジェクトサポートなど、緊急のニーズに対応できるハイレベルなスペシャリストが派遣という雇用形態で利用できることに驚かれる方が多いんです 。
私たちは単に優秀なタレントを紹介するだけでなく、双方にとって有意義で実用的なソリューションを提供することに情熱を注いでいます 。それが私のこの仕事への一番のこだわりですね 。
人材マーケットの変化と「プロフェッショナル派遣」の価値
なるほど、それは素敵ですね!Yoosunさんが「双方にとって実用的なソリューション」と言っていたのが印象的です。
ちなみに、近年はスキルのあるタレント不足の深刻化や、雇用形態の多様化に伴い、企業の採用手法も大きく変わってきていると感じます 。
この変化をYoosunさんはどう捉えていますか?また、「プロフェッショナル派遣」は、この変化の中でどのように存在感を増しているのでしょうか?
はい、まさに企業は採用戦略の見直しを迫られています 。最も顕著なのは、年齢よりもスキル重視の傾向が強まったことです 。それに伴い、シニアタレントや外国人タレントの採用が拡大しています 。
一方で、グローバル企業の日本進出による競争激化も進んでおり、特に日本語ネイティブが必須となる経理財務、人事、マーケティングなどのバックオフィス系職種では、年齢が比較的若く且つスキルの高いタレントの獲得競争が熾烈になっています 。
この状況が、「プロフェッショナル派遣」の存在感を高める大きな要素となっています 。競争の激化と労働人口の減少により正社員採用が困難になっているため、多くの企業が経験豊富なシニアタレントを派遣社員として採用し、正社員への転換を視野に入れた活用を進めているのです 。
加えて、コロナ禍以降、ハイスキルな派遣タレントの価値も高まったと感じます 。正社員の採用が回復する中でも、企業が採用リスクを管理しながら専門性を確保しようとするニーズは依然として高く、「プロフェッショナル派遣」の需要は継続的に高まり続けています 。
重要ポジションの方の急な退職や、産休・育休のカバーなどの緊急時のカバーという背景だけでなく、戦略的な専門性確保の手段として、「プロフェッショナル派遣」が選ばれているのが今のマーケットの大きな流れと言えますね 。
企業が直面する採用課題と「プロフェッショナル派遣」サービス導入の現実的な背景
欠員のカバーなどではなく、戦略的な専門性確保の手段として「プロフェッショナル派遣」が選ばれている、というのは非常に興味深いですね。
その背景には、企業が直面する採用課題があると思いますが、具体的にどういった課題があるのでしょうか?
また、Yoosunさんや「プロフェッショナル派遣」チームに寄せられる具体的な相談事例を通して、企業が「プロフェッショナル派遣」の導入に至る背景を教えてください 。
近年、企業が直面する最大の採用課題は、理想的なタレント(候補者)像と、タレント(候補者)主導型の市場との乖離の拡大です。
直近の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.12倍となりました(参照:2025年10月厚生労働省発表)。このように日本では近年求人数が応募者数を上回る状態が継続しており、このアンバランスさが熾烈な採用競争を生み出しています。
企業が求める正社員ポジションは、スキルを持つ経験者を対象とするものが多いので、求めるタレントを見つける事が更に困難になったり、高額な報酬が必要になったりするケースが頻発しています 。
特に優秀なタレントには、彼ら自身に転職の意思がなかったとしても、各社から魅力的なオファーが提示される事が予測されるため、定着し活躍してもらう事はさらに困難を極めます 。
企業からは「妥当な期間内にタレントを確保できない」「最適なタレントを探している間に事業の成長を損なうリスクがある」といった切実な声を多く聞きます。こうした状況において、「プロフェッショナル派遣」は非常に現実的な解決策となるんです 。
例えば、専門性を持つ「プロフェッショナル派遣」のタレントが事業に参画することで、突発的な状況にも迅速に対応できる体制を作る事になり、業務の停滞を防ぎ事業の安定化を図ることができます 。
また、正社員の採用を確保できるまでの時間を「プロフェッショナル派遣」の方にカバーいただく事によって、既存社員の業務過多を防いだり急いで採用をする事がなくなり、結果的に既存の優秀な人材の流出を防ぐことができます。
経験豊富な「プロフェッショナル派遣」のタレントは、多くの場合人件費におけるコスト効率や採用コスト効率が高く、企業の人件費のバランスを取ることにも貢献できます 。
こういった背景が、多くのクライアントが理想を追い求めながら現実的に事業を推進するために「プロフェッショナル派遣」を戦略的に選ぶのです 。
「プロフェッショナル派遣」の成功を左右するカギであるシニア人材の価値とは
理想と現実のギャップを埋めるための戦略的手法としての「プロフェッショナル派遣」なのですね、よく分かりました!
では、「プロフェッショナル派遣」での採用を成功させ、成果を最大化するために、企業はどのような点に注意が必要でしょうか?
企業にとって最も重要なのは、市場やタレントに対してオープンマインドで現実的な視点を持つことだと強く感じています 。
特に多い誤解の一つが、シニア層のタレントに対する先入観です 。企業の中には、最初は”若い”タレントだけを求める方も多く、その理由として「年齢が高い方は柔軟性やコミュニケーション能力に欠ける」とお考えの方が多いのですが、私のこれまでの経験則では、それは誤った先入観であることが多いと感じています 。
実際には、シニア層のプロフェッショナルの方がはるかに適応力があり、謙虚で、コミュニケーションが取りやすいことが多いです 。そして何より、企業が真に求めている豊富な経験を兼ね備えています 。
最初はシニアタレントとの面談に躊躇していた企業が、実際に会うと「お会いできて良かった。勧めてくれて感謝している。」と言ってくださるケースも多いんですよ 。
彼らの豊富な経験をフルに活用し、どのような強みを発揮してもらえるかを検討することが非常に重要です 。
もう一つの重要な点は、企業が現実的な期待値を設定することです 。年齢が低く、年収もあまり高くなく、高いスキルを持ち、即日採用ができ、すぐに入社して活躍してくれる、といった完璧なタレントは残念ながら今日の市場には存在しません 。
採用したいポジションや役割の中で本当に必要なスキルはどこなのかの優先順位を理解し、柔軟性を示すことができる企業こそが、「プロフェッショナル派遣」だけではなく、採用活動全般において最も成功する傾向があります 。
成功事例から学ぶ「プロフェッショナル派遣」におけるランスタッドの介在価値
オープンマインドと現実的な期待値の設定、非常に重要な視点ですね。
最後に、「プロフェッショナル派遣」を通じてプロジェクトを成し遂げた企業とタレントから、どのようなフィードバックやご意見があったかエピソードがあれば教えてください。
企業からは、「熟練したタレントがいかに迅速に業務を安定させることができたかに感銘を受けた」「この間にじっくりと次期正社員の選定に取り組めた」という声が多数寄せられています。
特に、採用が難航していた部門で「プロフェッショナル派遣」を採用した企業においては、豊富な経験を基に緊急事態にも冷静に対処いただけたことにより緊急事態を脱する事ができたとの事です。
このような嬉しい感謝のフィードバックは、私たちのチームの介在価値そのものだと感じています 。
一方、タレントからは、「プロフェッショナル派遣」によって、就業した企業にて「意義ある貢献を果たし、影響力のあるプロジェクト作業を通じて更に経験値と自信を積み上げることができた」という声が多く寄せられています 。
例えば、キャリアの移行期になかなか年齢などがネックとなってしまい、スムーズに活動が進められなかったタレントにとっては、一時的に自信を失ってしまう事もあると思います。ですが、「プロフェッショナル派遣」として派遣先で求められていた高度な専門知識を発揮したり、そこから新しいキャリアを築くきっかけになる事も多く、生き生きとお仕事を通してご自身をワンランクレベルアップされる方をサポートする事は、私たちにとって、とても嬉しい事です。
おわりに
Yoosunさん、本日はありがとうございました!
激変する市場での「プロフェッショナル派遣」の真価と、成功に導くための具体的なポイントがよく分かりました。
これからもがんばって企業やタレント、更には社会に価値提供できるように頑張ってください!
こちらこそありがとうございます。
私たちは、単なる人材サービスの提供やご紹介をするだけではなく、企業とプロフェッショナルタレントの双方の課題解決と成長をサポートする、実用的なソリューションプロバイダーであると自負しています 。
この仕事を通じて、多くのキャリアとビジネスを繋ぎ、企業とタレントの双方に貢献できることに日々やりがいを感じています 。これからも社会に貢献している事を感じながら頑張ります!
インタビュー後記
今回、Yoosunさんの専門的なお話を伺い、「プロフェッショナル派遣」が、単なる人手不足の穴埋めのための手法なのではなく、企業とプロフェッショナルタレント双方のキャリアと事業の安定化に貢献する戦略的なソリューションであると改めて感じました。
特に、シニアタレントへのオープンマインドな姿勢の重要性や、完璧なタレントを求めすぎず現実的な期待値を設定することの重要性は、採用担当者が今すぐ実践できる具体的なアドバイスではないでしょうか。
採用市場の課題が深まる中、貴社が理想を追求しながらも現実の事業運営を力強く前進させるためのヒントを、本インタビューから見出していただければ幸いです。