「他社と同等の給与を出しているのに若手が定着しない」「制度を整えたのに離職が止まらない」——多くの人事・採用担当者様から、こうした悩みが寄せられています。
その背景には、「働き手が企業に求める条件や、離職を決意する引き金が、従来の前提と大きく変わっている」という現実があります。
話題となった最新の「ランスタッド・エンプロイヤーブランドリサーチ(REBR)2026」では、世界34の国と地域・16.6万人の大規模データから、現代の働く人々が抱く本音が浮き彫りになりました。本稿では、公開済みの「日本版」「セクター・職種別(IT、エンジニアリング、財務・会計、物流)」のデータも交えながら、「世界標準(Global)と日本の違い」を整理し、明日からの採用・定着施策に活かすヒントをお届けします。
世界全体のデータと日本のデータを比較すると、日本の労働市場が抱える特有のギャップが見えてきます。
さらに日本では、「仕事内容への興味の欠如(32%)」や「職場環境の悪さ(32%)」が僅差で続いています。つまり日本では、「お金だけ払えば引き留められる」時代は終わり、日々の業務の形骸化や職場の空気感、心身の疲弊が直接の離職スイッチになっているのです。
半年以内の転職意向率は、世界平均が24%(約4人に1人)なのに対し、日本は14%と低い水準にとどまっています。
日本の労働市場は、世界的に見ても転職に対して非常に慎重で流動性が低い「ローモビリティ市場」です。しかし、「離職率が低い=自社に満足している」と安心するのは禁物です。普段慎重で動かない分、現場の就業体験(ワークライフバランスや人間関係、やりがい)が期待を大きく下回った瞬間、離職スイッチが入り、優秀層が一気に他社へ流出するという特徴を持っています。
今回の調査で特に顕著だったのが、日本国内における世代間の「安定観」のギャップです。
グローバル全域において、Z世代は転職意向率30%(世界平均24%)と最も高く、成長を求めて軽やかに動く傾向が世界共通で見られます。
一方、日本国内のデータに焦点を当てると、若手層における「雇用の安定」の定義そのものが劇的に変化していることが分かります。
日本の若手にとっての安定とは、「会社に身を守ってもらうこと」ではなく、「万が一の時にも自立できるスキルが磨ける環境にあるか」です。「ここにいても成長できない」「社内の意思決定が不透明だ」と感じさせた瞬間、定着しかけていた日本の若手は次のステップへ踏み出してしまいます。
全社一律の人事施策がうまくいかないもう一つの理由は、職種や業界によって「譲れない条件」が全く異なるからです。
自社の人事制度や採用メッセージを検討する際、社内の声(従業員満足度調査)だけでは「その基準が市場全体と比べて高いのか低いのか」を正しく判断できません。
この3つの視点(物差し)を組み合わせて自社の現在地を把握することこそが、限られたリソースの中で「本当に効く」採用・定着施策を実行する最短ルートです。
今回ご紹介したデータは、ランスタッドが公開している「エンプロイヤーブランド・リサーチ 2026」シリーズのほんの一部です。
自社の課題分析や、経営陣・社内への提案資料として、ぜひフルレポートをご活用ください。
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