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なぜ人材に“選ばれない”のか?給与だけでは勝てないIT・財務・エンジニア採用の裏側

作成者: randstad|Nov 28, 2025 5:06:41 AM

その「不採用」、給与だけの問題だと思っていませんか?

採用の「売り手市場」が続く中、優秀な人材は複数社のオファーを同時に持っていることも多くあります。

「他社より高い給与を提示したのに、断られてしまった」
「現職からのカウンターオファー(引き留め)に負けてしまった」
そんな経験はありませんか?

採用において、給与はもはや「交渉のスタートライン」に過ぎません。本記事では、「マーケット&サラリーレポート」の中で実施したランスタッドの専門コンサルタントへの独自インタビュー から、給与以外の「優秀な人材が企業を“値踏み”する本当のポイント」を、IT&テクノロジー、会計・財務、インダストリアル・エンジニアの3業界を横断したQ&A形式で解説します。

 

 Q1:業界ごとに求められる「働き方」は?

働き手にとって「柔軟な働き方」が重要であることはどの業界にも共通していますが、働き手が求める働き方は、業界ごとにまったく異なります。

IT&テクノロジー業界で求められる「働き方」は?

ランスタッド「マーケット&サラリーレポート 日本のIT&テクノロジー業界」によると、働き手の90%が「完全リモートワーク」を求めています。サイバーセキュリティやテック営業においては求人案件の58%が「リモートワーク可」であり、「リモートワーク不可」はもちろん「原則出社」でさえも大きなハンデとなるでしょう。

会計・財務で求められる「働き方」は?

ランスタッド「マーケット&サラリーレポート 日本の会計・財務」によると、意外にも「完全リモート」の需要は減少しています。とはいえ、単純に働き手が出社回帰しているというわけではないようで、最も好まれる働き方は「ハイブリッド」となっています。それに対し、企業側ではオフィス勤務を義務付けるケースが増えており、ギャップが生じているという実態があります。

インダストリアル・エンジニアで求められる「働き方」は?

インダストリアル・エンジニアの職場には工場や実機があるためリモートワークの実施自体が難しく、ハイブリッドの求人も最大でセールスエンジニアの2.9%と、ほぼ皆無と言っていい状況です。そのため、候補者は原則出社であってもプライベートを充実させられるよう、「勤務地の柔軟性」をシビアに見ています。

 

 Q2.「面接プロセス」で、候補者の心が離れないようにするには?

今や、面接は「企業が候補者を選ぶ場」ではなく、「候補者が企業を評価する場」に変わっています。企業には候補者を落胆させたり、迷わせたりしない振る舞いが求められます。

スピードと熱意を持って

ランスタッドのIT専門コンサルタントリチャードソン・アレクサンダーは、手軽なオンライン面接が主流になったことで「候補者が面接を辞退しやすい状況を作っている」と指摘しています。まずは面接に期待を抱いてもらえるよう、企業は迅速な日程調整や詳細なフィードバックなどの「積極性」を見せ、候補者と良好な関係を築くことが重要です。

企業側の「求める人材の解像度」を高める

また、特に日本企業において「自分たちがどんな人材を求めているか、明確に理解していない」ケースが多いと複数のコンサルタントが指摘しています。候補者からは、自社への熱意や求める人物像の具体性が感じられない状況であり、辞退のきっかけにもなりかねません。心から「あなたに来てほしい」と言えるよう、求める人材像をしっかり把握しておきましょう。


 

 Q3.候補者は「現職」や「他社」の何に魅力を感じているのか?

 優秀な人材ほど、目先の給与より「企業文化」と「長期的なキャリア」を重視します。逆に言えば「給与以外で他社に勝てる」ポイントもそこにあるのです。

会計・財務は「戦略パートナー」への脱皮

会計・財務分野では、単なる数字の集計業務ではなく、経営の意思決定に関わるような「戦略的な仕事」ができるかどうかが、優秀な人材を惹きつける鍵になっています。
ランスタッドの専門コンサルタント、ムロド・トイチェフは次のように指摘します。
「今の候補者は、DXやAIを活用して作業を自動化・効率化し、それによって生まれた時間で『経営企画(FP&A)のような戦略的ファイナンス』に関わることを強く望んでいます 」
逆に言えば、古いシステムでの手作業が多い環境は敬遠される傾向にあります。「新しいツールを導入しているか」、「経営層と近い距離で仕事ができるか」をアピールすることが、この分野では給与競争に勝る強力な武器となります 。

インダストリアル・エンジニアは「キャリアの将来性」

若いエンジニアにとってキャリアの選択肢は、初任給の高い「レガシー技術の維持・管理」に関わるか、将来性の高い「最先端の製品(AI・自動運転など)」に携わるかに大きく分かれます。ランスタッドのエンジニアリング専門コンサルタントの石井光一郎は、「現在の日本は売り手市場。特に若い人材には多くの機会があるため、30年先を見据えるような長期的なキャリアを考えるべきだ」と述べており、企業としても人材の長期的なキャリアを視野に入れて採用活動をすることが鍵になりそうです。

業界を超えて共通する「転職の動機」も

日本では、従業員が退職を考える理由で最も多いのが「勤務地の柔軟性(リモートワークなど)」となっています。これはどの業界でも共通する傾向であり、日本では「働く場所を選択できるか」が非常に重要であることがわかります。

 

 

給与はあくまでも「守り」。採用戦略を「攻め」に使う

採用において「給与」はかなり有利にはたらくと見られがちです。しかし実のところ、他社に見劣りしない給与は優秀な人材を惹きつけるための最低条件、つまり「守り」でしかないのです。

最終的に採用を勝ち取る「攻め」の要素は、「その業界で求められる働き方」、「迅速で誠実な選考プロセス」、そして「企業文化と長期的なキャリアを築ける環境」にあります。

まずは、自社の「給与」が市場とズレていないか、最新のマーケット&サラリーレポートで確認してみましょう。そして、「採用戦略」に課題を感じたら、ぜひランスタッドの専門コンサルタントにご相談ください。


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