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職場のジェネレーションギャップ 世代ごとの特徴や、解消のための手法を解説

作成者: randstad|Nov 20, 2024 12:41:44 AM

ジェネレーションギャップの現状

幅広い世代が働く職場でなにかと話題となるジェネレーションギャップ。企業によっては4世代以上が一緒に働くこともあります。

今後は「ミレニアル世代」や「Z世代」など、若いビジネスパーソンが増加する一方で、高齢者雇用も推進されており、多くの企業でより幅広い世代の人が一緒に活躍することが想定されます。

今回は、日々のコミュニケーションや仕事の進め方、残業や休暇を含めた働き方への考え方など、人事の立場でも直面するジェネレーションギャップの問題と対策を考えていきます。

 

 

各世代の価値観や特徴を比較してみよう

まずは、世代ごとの価値観の傾向を見ていきましょう。世代の区切りには諸説あり、また、世代と世代との間にはグラデーションがあります。

なお、個人の形成に関わるのは生まれ年や時代だけではないため、世代だけで個人の資質は判断できません。しかし世代ごとの傾向を掴むことは、強みや役割分担を検討する材料になるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

※()内の年齢は2024年時点のものです。

 

【生まれた年代別の世代年表】



新人類(1955–1965年生まれ、69~59歳)

子ども時代は高度成長期、青春時代はバブル期を過ごした世代です。日本の景気が良いころに社会人になったため、会社に対する信頼が厚いのが特徴です。また、消費意欲やブランド志向も高い傾向があります。

なお、新人類以前には「団塊世代」「しらけ世代」があります。

・団塊世代(1947-1949年生まれ)…第一次ベビーブームに生まれ、政治意識が高く学生運動が盛んだった世代

・しらけ世代(1950-1964年生まれ)…一部は新人類と時期が被っている。学生運動沈静化後に生まれ、政治的なことに無関心とされる

 

バブル世代(1965–1969年生まれ、59~55歳)

新人類より少し若く、バブル景気のころに社会人になった世代です。就職時には好景気で売り手市場であった一方、高校・大学の受験戦争が激しい時代も経験しています。

終身雇用が前提の時代を過ごしたため、会社への信頼が厚く、定年まで同じ会社で働き続けることが一般的と捉える傾向があります。加えて長時間労働や時間外労働が受け入れられてきた世代でもあります。

仕事相手との食事やゴルフなどの「接待」が多い時代に働き盛りを過ごし、対面・口頭でのコミュニケーションを重視する傾向があります。また、消費行動にも積極的です。

さらに、1986年に施行された男女雇用機会均等法により、女性が4年生大学を出て就職する、結婚しても退社(寿退社)せずに働くといった、女性の新たな選択肢が注目された最初の世代ともいえます。

 

X世代(1965–1980年生まれ、59~44歳)

アナログからデジタルテクノロジーへの急激な変化とともに成長してきた世代です。子ども時代はテレビやゲーム機に親しみ、成人してからインターネットの普及を経験しました。新しいテクノロジーへの興味関心があり、適応する力も高めです。

「X世代」は独立心が強く、個人主義・能力主義、ワークライフバランスを求める傾向があります。また、社会的地位やブランドなど、ステータスに関することがらを意識する傾向があることも特徴的です。

 

就職氷河期世代(1970–1985年生まれ、54~39歳)

1995~2005年くらいに新社会人となった世代で、「失われた世代」「ロストジェネレーション」とも呼ばれます。

景気悪化により、新社会人となる1990年代後半に雇用調整(いわゆるリストラ)が行われました。また、大卒新卒者に対する求人倍率が1倍を割り込む(2000年)など、非正規労働者の増加に拍車がかかった時代を過ごしました。

危機意識が強く、上の世代に見られるような終身雇用の考え方は薄い傾向があります。

また、この世代のうち1971~1974年生まれは「団塊ジュニア世代(第二次ベビーブーム)」とも呼ばれ、団塊世代に次いで人口が多い世代でもあります。

 

ミレニアル世代(1981–1996年生まれ、43~28歳)

2000年代に新社会人となった世代であり、後述の「ゆとり世代」と大きく重なる世代です。景気低迷時に子ども時代を過ごし、その一方で携帯電話などのテクノロジーが普及したため「デジタルネイティブ世代」とも称されます。

柔軟な働き方を好み、チームワークを大切にし、フィードバックがなされることを重視します。コスパや多様性、個の生き方、社会貢献といったことへの興味関心が高い世代です。

 

ゆとり世代(1987–2004年生まれ、37~20歳)

詰め込み教育からゆとり教育への転換期に学生であった世代です。「ミレニアル世代」や後述の「さとり世代」とも重なる広い年齢層を指します。

学生時代からスマートフォンやSNSがあり、デジタルネイティブ世代でもあります。共感を大切にする反面、ストレス耐性が低い傾向が見られます。

仕事面では競争意識や「がむしゃらに稼ぐ」といった傾向があまりなく、ワークライフバランスを重視します。また、合理的と思われることに価値を置き、ブランド品、時計、車といったモノの購入にあまり関心を持ちません。

 

さとり世代(1995–2004年生まれ、29~20歳)

「ゆとり後期」とも呼ばれる世代です。不景気の中で育ち、阪神大震災や東日本大震災を経験し、悟っているような思考傾向があるといわれています。

衝突を好まず、安定志向。コスパを重視し、ブランドや地位にあまり興味を持ちません。デジタルネイティブで、無駄と思えることは避けようとする傾向があります。

 

Z世代(1997-2010年生まれ、27~14歳)

近年の新社会人、また、これから社会人となっていく世代です。デジタルネイティブな世代の中でも、特に「Z世代」はソーシャルネイティブと呼ばれ、インターネットを駆使した情報収集・情報発信・コミュニケーションを得意とします。

スピード感のある情報や、回答までの時間が短いことを好む傾向があります。また、競争を好まず、他者とのつながりや承認を重視します。自分と異なる多様性も、比較的受け入れやすいのが特徴です。

 

 

ジェネレーションギャップが引き起こす具体的な課題

ここからはジェネレーションギャップを背景とした、職場で起こりやすい課題例を見ていきましょう。

 

課題例1:コミュニケーションスタイルの違い

メールやチャット、電話など、コミュニケーションスタイルは世代の違いが出やすい部分です。

「ミレニアル世代」や「Z世代」はスピーディーな返答や短文のメッセージを好みます。一方で、上の世代は丁寧なメールや対面での会話を好む傾向があります。

また、若い世代ほど電話が苦手な傾向が見られます。子どものころから携帯電話・スマートフォンが普及していたため、「電話で名乗る」「他の人に電話を取り次ぐ」という経験がない人もいます。

さらに、若い世代は「相手の時間の邪魔をしないから」「伝えやすいから」という理由でメールや短文で連絡をすることが多く、電話は緊急時のものと捉えている傾向があります。

 

課題例2:「働くこと」に対する価値観の違い

残業の必要性や、定時帰宅、休日の取り方など、働き方の価値観にも世代による違いがあります。

「新人類」や「バブル世代」は、「残業は当たり前」「ときには自己犠牲的な働きも必要」という価値観で若手時代を過ごしてきました。そのため、現在の若い世代の効率重視・成果主義・ワークライフバランス重視の働き方は、上の世代にとっては物足りない・やる気がないと映ることもあるようです。

このように、「働くこと」に対する価値観の違いから若い世代が「やる気がない」と評価されてモチベーション低下につながったり、お互いの不満が摩擦を生んだりするケースがあります。

 

課題例3:評価に対する捉え方の違い

「新人類」や「バブル世代」、「X世代」は、「長く同じ会社に勤め、年功序列で昇進していく」という枠組みの中で働いてきました。一方で、若手は「適正な評価が得られないなら転職もアリ」「年齢や勤務年数に関係なく功績で評価されるべき」という、いわゆる成果主義の考えが主流です。

特にデジタルネイティブの世代はスピード感のある決定やフィードバックを好み、得たスキルや業績はすぐに評価に反映されるべきと考える傾向があります。たとえ上司が部下の成長・評価を慎重に検討していたとしても、それが伝わらなければ「適正に評価していないのでは?」と不満の原因の一つになり得るということです。

 

 

ジェネレーションギャップを埋めるための手法

先述の通り、これからは幅広い世代が一つの職場で働くことが多くなっていきます。ジェネレーションギャップを埋めずに放っておくと、社員同士の摩擦の原因にもなりかねません。各世代が心地よく働くためにはどのような手法が考えられるか、3つのアイデアをご紹介します。

 

手法1:コミュニケーション研修やメンタリング制度

異なる世代で「教え合う」ことを重視した研修プログラムやメンタリング制度の実施により、世代間の相互理解を深めることができます。例えば、Z世代がデジタルツールの使い方を教える代わりに、上の世代からは業界知識や歴史を学ぶなど、それぞれの強みを共有する学びの場を設けてみましょう。

また、信頼や親密さを感じる関係(ラポール)があると、情報共有や協力関係が構築しやすくなります。こちらもぜひ意識してみてください。

採用活動や人事のコミュニケーションに!ラポールの重要性と4つの形成テクニック

 

手法2:定期的なフィードバックや1on1ミーティング

「個人が職場に合わせる」のではなく、「個々の能力を発揮できる職場」づくりを推進することも重要です。それには定期的なフィードバックや1on1ミーティングが適しています。社員の能力を見極めるだけでなく、考え方や気持ちの変化を知るきっかけにもなるでしょう。

また、年齢差のある社員へのフィードバックに悩むこともあるでしょう。適切なフィードバックの話し方なども、ぜひ参考にしてみてください。

フィードバックとは 人材育成や業績アップにつなげる話し方のポイント【前編】

 

手法3:世代横断チームの編成

各世代を組み合わせたプロジェクトチームを編成し、相互理解を深めることで、世代ごとの優れた部分を見直す、協力する、共感する機会を得ることにつながります。

例えば、新規事業開発のチームであれば若手中心のメンバーを集めつつ、上の世代からアドバイザーを入れるといった編成も良いでしょう。あるいは、若手にプロジェクトマネージャーを任せ、ベテラン社員がメンターとしてサポートに入って若手の成長を支援するという方法も考えられます。

 

 

(まとめ)ジェネレーションギャップを企業成長に活かす

企業の成長には、多様な価値観の人が集まって認め合う雰囲気づくりが不可欠です。

ジェネレーションギャップは摩擦の原因として語られることもありますが、各世代が混在した状態で業務に取り組むことで、新たな発見があるかもしれません。ぜひ、社内のジェネレーションギャップを成長の機会と捉え、前向きに取り組んでみましょう。


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