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転職市場、リーマン以来のマイナス  新型コロナの影響、人材協の20年度上半期集計

作成者: randstad|Dec 21, 2020 3:00:00 PM

景気急降下で中途採用を見合わせる企業増

 日本人材紹介事業協会が12月10日発表した2020年度上半期(20年4月~9月)の会員大手の転職紹介実績によると、転職紹介人数は3万4983人(前年同期比16.5%減)となり、08年のリーマン・ショック以来のマイナスに転じました。新型コロナウイルス感染拡大が転職市場を直撃した格好。10年度上半期から10年連続で前年同期を上回る好調を続けてきた転職市場の勢いが止まりました。08年のリーマン・ショックの影響で大幅に落ち込んだ09年度下半期を底に復調し、新型コロナの影響が出始めた19年度下半期も前年同期比プラスをキープしていました。

 20年度上半期の業界別(首都圏)では、対象の6業界のうち、「コンシューマー(飲食、旅行、サービスなど)」は6296人(同25.5%減)、「建設・不動産」が2218人(同22.6%減)と大きく落ち込みました。また、「電機・機械・化学等製造」が4422人(同23.8%減)、「IT・通信」が5817人(同13.3%減)、「メディカル」が1987人(同11.7減)と減少しました。唯一、「金融」だけは2049人(同5.8%増)とプラスとなりました。
 地域別では、「北海道・東北エリア」が746人(同3.0%増)、「九州エリア」が937人(同9.2%増)と前回に続いてプラスを維持しましたが、「首都圏」が2万2815人(同18.6%減)、「関西圏」は5997人(同17.0%減)と大幅減。「中部圏」は3567人(同10.1%減)、「中国・四国エリア」が916人(同2.9%減)と減少しました。新型コロナの影響で、面接・面談などの機会が失われたことや、景気の急降下で中途採用を見合わせる企業が増えたためとみられます。
 求職者の転職時の年齢は、「25歳以下」、「26~30歳」、「31~35歳」、「36~40歳」、「41歳以上」のすべての年齢層で減少しました。人数で最も多かったのは「26~30歳」の1万1799人(同18.7%減)で、次いで「25歳以下」の7041人(同15.3%減)、「31~35歳」の6809人(同20.2%減)、「41歳以上」の5248人(同7.8%減)、「36~40歳」の4086人(同15.9%減)と続きます。

4割以上がジョブ型雇用を「検討せず」

 求人情報会社が発表した「ジョブ型雇用」に関する人事担当者調査によると、「ジョブ型雇用」の言葉を知っている人は54.2%、知らない人は45.8%とほぼ拮抗していますが、企業規模が大きくなるほど知っている比率は上がり、従業員300人未満の42.6%に対して、同5000人以上では62.8%にのぼりました。
 勤務先の「ジョブ型雇用」の導入については、「導入しておらず、検討もしていない」が42.1%で最も多く、「導入していないが検討中」が23.5%で、「導入している」は12.3%にとどまっています。これも企業規模によって開きがあり、「導入している」企業は従業員300人未満では9.2%で、同5000人以上では19.8%でした。
 今回のコロナ禍で「ジョブ型雇用」がクローズアップされていますが、コロナをきっかけに議論が進んだかどうか聞いたところ、「まったく進んでいない」が過半数の50.9%にのぼり、「話題に上がった程度で進んでいない」が21.0%、「ある程度進んだ」「かなり進んだ」を合わせて24.8%程度に過ぎませんでした。
 「ジョブ型雇用」の具体的な内容になると、最も多かったのは「詳細はわからない」の38.5%で、「仕事の内容の定義(ジョブ・ディスクリプション作成)と適材適所の推進」が31.4%、「求められる組織ミッションや職責レベルに応じてグレードを定め、人材をグレードで管理する」が29.8%で続きました(複数回答)。
 これらの結果から、企業の多様な人事戦略への深化はスタートしたばかり、とみることができます。調査は9月26~30日に実施、企業の人事担当者1224人から有効回答を得ています。

取材・文責
(株)アドバンスニュース