日本に在留する外国人が減少しています。法務省が11月までに取りまとめた今年6月末時点の在留外国人数は288万5904人で、昨年12月末から4万7233人減りました(下記、グラフ参照)。
近年は、調査のたびに過去最多を更新し、今年半ばに300万人の大台突破が確実視されていたものの、世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大がその勢いを止めました。在留外国人の資格や国籍別などの特徴と、「ウィズ・コロナ時代」の生活様式で受け入れ拡大の方針を掲げる政府の最新の施策を検証します。
男性は142万5043(構成比49.4%)、女性が146万861人(同50.6%)で、男女ともに減少しています。
在留資格別にみると、「永住者」が80万872人(昨年末比1.0%増)で最も多く、次いで「技能実習」が40万2422人(同2.1%減)、「特別永住者」が30万9282人(同1.0%減)、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が28万8995人(同6.2%増)、「留学」が28万273人(同18.9%減)の順でした。前年同期と比較すると、「留学」が減少した一方で、「技能実習」と「技人国」が伸びている様子が見て取れます。
国籍別で最も多かったのは中国の78万6830人(同3.3%減)で、構成比は全体の27.3%。次いで韓国の43万5459人(同2.4%減)で構成比15.1%。この5年で急増している3位のベトナムは42万405人(同2.1%増)で14.6%。4位のフィリピンは28万2023人(同0.3%減)の9.8%、5位のブラジルが21万1178人(同0.2%減)の7.3%で、上位5カ国で全体の74.1%を占めています。上位10カ国の中でベトナムだけが増加を続け、年内にも韓国を抜いて2位になる公算が高まっています。
超少子高齢化の日本の人口動態を踏まえ、政府は外国人が生活しやすい環境整備を引き続き推し進めます。一方で、拡大路線を歩んできた「留学」については入国条件のハードルを高めて抑制。このため、コロナ収束後の在留資格は「技能実習」と「特定技能」、「技人国」が更に伸びると見込まれます。
20年上半期の外国人入国者数は急減。法務省のまとめによると、18年以降、半年で1800万人を超えた観光などの入国者ですが、今回は8割近い減少で477万7158人に留まりました。新型コロナ感染拡大防止のため、入国拒否などの水際対策の強化が開始された2月1日以降、大幅な減少に転じ、2月は対前年比36.3%減。入国禁止対象地域の拡大を行った4月以降は対前年比99.0%以上の減少となっています。
政府は一刻も早い現状打開を模索しています。水際対策に万全を期しながら、経済活動や海外との往来を広げていく考えで、具体的には、成田空港で海外に渡航する人を対象に検査する「PCRセンター」を11月に設置。このほか、11月から、海外に短期出張した日本人や日本に居住する外国人が再入国する際、一定の条件のもとで、14日間の待機を免除しました。新型コロナ感染症が海外との往来を止めた春から半年、手探りながら経済活性化に向けた「ウィズ・コロナ」の動きが始まっています。
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