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「36協定」、過半数が「知らない」 働き方改革見直し、連合の労働者調査

作成者: randstad|Jul 22, 2024 3:06:43 AM

不払い残業(サービス残業)は28.4%が「ある」と回答

連合は7月19日、「働き方改革の定着状況に関する調査2024」を発表しました。

19年施行の働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制、年次有給休暇5日の取得義務化などが盛り込まれ、勤務間インターバルも導入が努力義務化されましたが、今年が施行5年になることから、定着状況を聞いたものです。

5月30~6月3日に実施、15歳以上の労働者1000人の有効回答を集計しました。時間外労働の上限規制については、「よく知っているが」が37.3%、「少し知っている」が31.6%で計68.9%となっています。

 しかし、「聞いたことはあるが、知らない」が19.4%、「聞いたこともなく、知らない」が11.7%で、計31.1%と3割以上ありました。有休5日取得については、「内容を知っている」と「少し知っている」の76.4

%に対して、「あまり知らない」と「全く知らない」は23.6%にとどまっています。

 また、勤務間インターバルについては努力規定であることから、「知っている」は38.4%にとどまり、「知らない」の61.6%を大きく下回りました。

一方、会社が社員に残業を命じるには「36協定」が必要になりますが、これを「知っている」人は49.2%足らずで、「知らない」の50.8%を下回る結果に。

月の平均残業時間は「10時間未満」が最多の50.4%で、平均は17.7時間でした。業種では「教育・学習支援」が30.4時間で最も長く、"24年問題"を抱える「運輸・郵便」が23.5時間、「建設」が20.1時間で続いています。不払い残業(サービス残業)については、28.4%が「ある」と回答しており、ここでも「教育・学習支援」が最多の50.0%に達しています。平均は16.9時間で、理由は男性が「自分の考えで申請しない」、女性は「申請しにくい雰囲気がある」が最多でした。

 こうした結果について、連合は「36協定の認知度の低さや不払い残業など、課題が浮かび上がった。政府が進めている見直し作業に労基法を緩和するような議論もあるが、労働時間ルールについては緩和でなく、労働者保護の視点が重要」とコメントしています。

 

 

「いじめ・嫌がらせ」が依然トップ、個別労働紛争解決

厚生労働省は7月12日、2023年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を発表しました。それによると、総合件数は121万400件(前年度比3.0%減)に減ったものの、4年連続の120万件台という"高止まり"状態が続いていることがわかりました。

 近年の総合件数は20年度に約129万件の過去最高を記録して以来、21年度は約124万件、22年度も125万件。23年度は3%減となったものの、120万件台の"高止まり"が続いています。

 そのうち、民事上の個別紛争相談は26万6160件(同2.2%減)に減った一方、労働基準法違反が疑われる件数は19万2972件(同2.4%増)に増えました。

相談件数(延べ31万4034件)のうち、最も多かったのは「いじめ・嫌がらせ」の6万113件(同14.0%減)で、前年より大きく減ったものの、12年連続のトップが続いています。

次いで「自己都合退職」の4万2472件(同0.5%減)、「解雇」の3万2943件(同3.4%増)となり、例年と同じ傾向です。