「技能実習」に代わる「育成就労」創設や永住許可の適正化を柱とする出入国管理・難民認定法と技能実習適正化法の改正案について、衆院法務委員会は5月17日、自民、公明両党などの賛成多数で可決しました。永住者が故意に納税や社会保険料の納付を怠った場合に永住許可を取り消すことができる見直しに関しては、立憲と維新が付則に配慮規定を盛り込む修正で合意し、立憲は修正のみ賛成。改正案は21日にも衆院を通過し、参院に送られる見通しです。政府は6月23日の会期末までの成立を目指します。
実態として労働力確保に利用され、国際社会から人道的な批判もあった技能実習制度を廃止し、外国人材の「確保と育成」を目的とする実態に即した制度に転換します。今国会の重要広範議案のひとつで、5月15日の衆院法務委には岸田文雄首相が出席して答弁しています。法案が成立すれば公布後3年以内の施行となり、新制度は27年の運用開始が見込まれます。
法案によると、新設する在留資格「育成就労」の対象分野(職種)は、19年に創設した「特定技能」に合わせて移行しやすい流れをつくり、中長期的な就労につなげたい考え。焦点となっている「転籍(転職)」を制限する期間は、当面の間、分野ごとに就労開始から「1~2年の範囲」とします。技能実習制度で外国人の受け入れと企業の仲介を担ってきた監理団体は、「監理支援機関」に名称変更して外部監査を強化。併せて、問題のある外国人や悪質な受け入れ先を排除するため、故意に納税や社会保険料の納付を怠った外国人の永住許可を取り消すことができるほか、違法に雇う雇用主の「不法就労助長罪」を厳罰化します。
厚生労働省が5月17日発表した「職場のハラスメントに関する実態調査」(企業、労働者調査)によると、過去3年間に相談のあったハラスメント該当事案は「パワハラ」が64.2%で最も多く、勤務先の労働者調査でも「パワハラ」が19.3%で最多です。
企業相談では、パワハラ以外には「セクハラ」が39.5%。「カスタマーハラスメント(カスハラ)」(顧客からの迷惑行為)が27.9%で続きますが、このうちハラスメントに該当すると判断した事例は「カスハラ」が86.8%で最も多く、「セクハラ」が80.9%で続いています。「カスハラ」は該当件数が年々増えており、企業にとって大きな問題になっている実態が浮かび上がっています。
労働者調査でも、パワハラに次いで「カスハラ」が10.8%、「セクハラ」が8.3%の経験者がいました。カスハラの多い業種は「生活関連サービス、娯楽業」「卸売・小売業」「宿泊、飲食サービス業」など顧客との対面業種で目立ちます。主な内容は頻繁なクレームなどの「継続的な、執拗な言動」、大声で責めるなどの「威圧的な言動」、暴言や土下座の要求などの「精神的な攻撃」がありました。
しかし、ハラスメントを受けた後の行動はパワハラ、セクハラとも「何もしなかった」人が最も多く、カスハラだけは「上司に相談した」が38.2%あり、「何もしなかった」の35.2%を少し上回っています。
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