厚生労働省が12月21日発表した2023年上半期(1~6月)雇用動向調査によると、入職率は9.7%(前年同期比0.4ポイント増)、離職率は8.7%(同率)で、差し引き1.0ポイント(同0.4ポイント増)の入職超過となり、前年より大幅に拡大しました。
上半期ベースでみると、入職率は3年連続の上昇、離職率は2年連続の上昇・横ばいで、3年連続の入職超過となっています。新型コロナの5類移行による生活様式の正常化やインバウンド需要など、経済回復に伴う人手不足が最大要因とみられています。
男女別では男性の入職率が8.5%、離職率が7.8%で0.7ポイントの入職超過。女性は各11.0%、9.7%、1.3ポイントの入職超過となり、女性の入職率が高くなっています。雇用形態別では正社員が中心の一般労働者が入職率7.5%、離職率6.8%、0.7ポイントの入職超過。パート労働者が各15.1%、13.5%、1.6ポイントの入職超過で、女性のパートが大きく増えています。
産業別では、最も流動化の激しい宿泊・飲食サービス業は入職者約98万人、離職者約79万人。次いで卸売・小売業は各約79万人、77万人、医療・福祉業は各79万人、69万人と、いずれも入職超過でした。
調査は7月、全国の1万5333事業所を対象に実施し、9198事業所から有効回答を得ています(回答率60.0%)。対象の入職者は3万8620人、離職者は4万4049人。
東京商工リサーチが12月20日発表した今年の訪問介護事業者の倒産は15日までに60件に達し、これまでの最多だった19年の58件を抜いて最多を更新しました。訪問介護は小規模・零細事業者が多く、
ヘルパー不足や物価高などの直撃を受けたためとみられます。60件のうち57件が資本金1000万円未満、50件が従業員10人未満。"コロナ明け"で産業間の競争が高まり、賃金の高い他業界に人材が流れたため、人手不足倒産も最多の10件にのぼりました。
政府は来年2月から介護職員に対して月額6000円の賃上げを実施し、24年度の介護報酬も1.59%アップを決めていますが、ヘルパー不足の解消には追い付かないとの見方が強まっています。
厚生労働省が12月20日発表した2023年「労働組合基礎調査の概況」によると、単一労働組合数は2万2789組合、組合員は約993万8000人で、前年より組合数は257組合(1.1%)減少、組合員も5万5000人(0.5%)減少。この結果、推定組織率は16.3%(前年比0.2ポイント減)となりました。
組織率は10年の18.5%から9年連続で少しずつ低下し続け、20年は反転して17.1%となったものの、21年から再び低下して23年は最低。組合員は2年連続で1000万人を割りました。一方、このうちパートタイム労働者の組合員は前年より6000人増えて141万人。推定組織率では8.4%(同0.1ポイント減)、全労組員に占める比率は14.3%(同0.2ポイント増)に上昇しています。