労働政策審議会の雇用環境・均等分科会は12月4日、「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実」について、事務局の厚生労働省がまとめ案を提示しました。出席委員から基本的に異論はなく、年内に分科会として報告書を出し、法改正を建議します。案には、子供が3歳~小学校就学前まで、親の仕事との両立支援策などを盛り込みました。企業は始業時刻の変更、テレワーク等、短時間勤務、保育施設の設置運営、新たな休暇の付与といった措置の中から二つ以上選択採用し、社員はその中から一つ選べるようにします。
また、男性の育児休業取得を促進するため、公表が義務付けられている1000人以上企業から300人超企業に基準を引き下げます。「くるみん」マークの取得にあたり、男性の育児休業取得率を「10%以上」から「30%以上」に引き上げるなどの措置を盛り込んでいます。
このほか、11月下旬の分科会で、両立支援等助成金とキャリアアップ助成金の見直しに向け、雇用保険法施行規則の一部改正省令案を了承しています。厚労省は両立支援を12月中旬、キャリアアップ支援を来年1月から施行する予定です。
両立支援等助成金は、育児と仕事を両立させる社員のいる企業に助成するもので、今回、育児休業取得時の業務代替支援を独立・拡充した「育休中等業務代替支援コース」を新設しました。代替要員(派遣を含む)を確保した企業に1人最大125万円を支給するなどして取り組みを支援します。
キャリアアップ助成金は、非正規社員の正社員希望を促進するため、正社員化を進める企業に対する助成金を中小には1人57万円から80万円、大手には同42万7500円から60万円にそれぞれアップします。対象となる非正規社員も現行の「6カ月以上~3年以内」から「6カ月以上」と拡大しました。
連合は12月1日、2024年の春闘方針を正式決定。定期昇給を含む賃上げ(ベースアップ)要求を「5%以上」とし、23年の「5%程度」から表現を強めました。ベア要求は11年連続。中小企業は格差是正を含めて「1万5000円以上」を目安とします。
昨年来の物価高が長期化して、労働者の実質賃金は1年半以上にわたってマイナスが続いており、生活水準の向上に向けて一段の賃上げを目指します。来年3月12~14日をヤマ場に設定しました。
芳野友子会長は「物価高がすべて悪いわけではなく、物価高に負けない賃上げが伴わないといけない」として、「経済成長とともに"賃金は上がり続ける"ということを根付かせ、次のステージへ転換する社会経済を作っていかなければいけない」と強調しました。
帝国データバンクが発表した全国「女性社長」分析調査によると、今年10月時点では8.3%(前年比0.1ポイント増)の過去最高となりました。1990年当時の4.5%から着実に上昇しているものの、政府目標の「女性管理職30%」にはまだ遠く及ばない状態です。調査対象は全国約119万社。