日本に在留資格を持つ外国人が、今年6月末時点で322万3858人にのぼり、過去最高を記録しました。出入国在留管理庁によると、昨年12月末から4.8%、14万8645人の増加。
コロナ禍前を上回る勢いで300万人台を突破しました。それでも日本の労働力人口は慢性的に不足しており、政府は打開策として「技能実習」と「特定技能」の再構築を進め、併せて「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」を策定するなど、受け入れの仕組みづくりに本腰を入れています。
在留資格別にみると、原則10年以上継続して生活している「永住者」が88万178人(構成比27.3%、昨年末比1.9%増)で最多。次いで「技能実習」が35万8159人(同11.1%、同10.2%増)、就労系の在留資格となる「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が34万6116人(同10.7%、同10.9%増)、「留学」が30万5916人(同9.5%、同1.8%増)の順です。
コロナ禍の影響で大きく減少していた「技能実習」と「留学」が、反転して伸びます。
こうした流れに呼応して政府は、就労目的の外国人受け入れを目指して「技能実習」と「特定技能」の連動を軸とした制度の再構築を進めています。方向性は「外国人との共生社会の実現」にあります。そのためにも、外国人に「嫌われる」就労環境では立ち行かないので、制度の弾力化と生活面などソフト面の充実を図る考えです。
現在の「技能実習」に替わるスキームの骨格は、(1)目的=人材育成を維持して人材確保を加える(2)職種=「特定技能」と分野・職種をそろえる(3)受け入れ見込み人数=エビデンスを踏まえてプロセスを透明化(4)転職(転籍)=1年以上かつ一定の日本語能力があることを条件に緩和(5)監理団体・登録支援機関=存続した上で要件を厳格化(6)日本語能力=就労開始前の日本語能力の担保と来日後の段階的向上に向けた仕組みを整備――など実態に即したカタチを整えます。来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
「特定技能」においては、「2号」(熟練した技能を要する業務に従事する外国人)について全分野で取得できるように見直します。「2号」の要件を満たせば家族の帯同が可能となります。加えて、トラックやタクシー、バスの運転手といった自動車運送業を新たな業種として追加する流れが固まっています。
在留外国人はこれから5年間で400万人を超える勢いがあり、職場や製造工場、飲食店などの“景色”はさらに変わっていく模様です。
政府は、新たな外国人材の受け入れと日本で生活する外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを策定。法務省や文部科学省、厚生労働省など関係省庁と連携して「安全・安心な社会」「多様性に富んだ活力ある社会」「個人の尊厳と人権を尊重した社会」――の3つのビジョンを掲げ、地方自治体や企業を巻き込んだ環境づくりに奔走しています。
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