厚生労働省は9月、2022年度「使用者による障害者虐待の状況」を発表しました。それによると、虐待の通報・届け出のあったのは1230事業所(前年度と同じ)、対象になった障害者は1433人(同0.1%増)。このうち、労働局などの調査の結果、虐待が認められたのは430事業所(同9.7%増)、対象障害者は656人(同30.7%増)と大きく増えました。
被害者の障害別(重複)では、前年と同様に知的障害者が245人で最も多く、精神障害者が224人、身体障害者が155人など。虐待内容(重複)も賃金不払いなどの経済的虐待が600人で突出しており、心理的虐待が47人、身体的虐待が24人など、前年と同じ傾向でした。
虐待が認められた業種は、「製造業」が最も多い109事業所で、「医療・福祉」の91事業所、「卸売・小売業」の62事業所など。事業所規模では「5~29人」の零細が205事業所と半数近くを占めています。
2011年に障害者虐待防止法が施行され、施設の運営基準に「障害者虐待防止の更なる推進」の盛り込みが努力義務化されたことなどから意識が浸透。虐待件数など通報・届け出のあった事業所は18年度の1656事業所から、21年度は1230事業所に25%減少。対象障害者も17年度の1308人から、21年度は502人と6割以上減少していましたが、コロナが沈静化して企業活動が活発化しはじめた22年度に大幅に増加してしまった格好です。