厚生労働省が8月8日発表した毎月勤労統計の6月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は46万2040円(前年同月比2.3%増)で18カ月連続のプラスとなりました。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は136.8(同1.6%減)で、15カ月連続のマイナス。マイナス幅は1月の同4.1%を最大に、その後は3%前後で推移しています。春闘の賃上げ効果の出る5月に0.9%に縮小し、6月も1%台となったものの、賃上げ効果が十分浸透していません。
基本給など所定内給与は25万3554円(同1.4%増)で、残業代などの所定外給与は1万8674円(同2.3%増)、ボーナスなどの特別給与は18万9812円(同3.5%増)となりました。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は62万5235円(同2.7%増)、パートタイム労働者は11万1389円(同1.8%増)でした。
産業別で伸びたのは「不動産・物品賃貸業」の69万2279円(同27.5%増)、「鉱業・採石等業」の73万7473円(同17.2%増)、「運輸・郵便業」の52万1968円(同12.9%増)など。「建設業」の56万1499円(同3.9%減)など、全16産業のうち4産業でマイナスとなっています。
月間総実労働時間は142.4時間(同0.1%増)で、2カ月連続の増加。月末の常用労働者数は5241.6万人(同1.8%増)で、パートタイム比率は31.88%(同0.34ポイント増)でした。
日本生産性本部が8月7日発表した第13回「働く人の意識に関する調査」によると、7月時点でテレワーク勤務している人の割合は15.5%(前回1月比1.3ポイント減)となり、新型コロナ対応で最も高かった20年5月当時の31.5%から半減し、最も低くなったことがわかりました。従業員1001人以上の大企業が22.7%(同11.3ポイント減)と大きく減ったのが原因で、同本部は「新型コロナの5類移行で出勤にシフトする大企業が増えたため」と分析しています。
テレワーカーの直近1週間(営業日ベース)の出勤日数は「1~2日」が最も多い37.1%(同12.8ポイント増)で、「3~4日」が30.0%(同0.8ポイント減)、「5日以上」が18.8%(同0.7ポイント減)、「0日」が14.1%(同11.3ポイント減)となり、完全なテレワークから1~2日の出勤にシフトしたことが読み取れます。
一方、自宅勤務での効率については「上がった」「やや上がった」を合わせると71.6%(同4.9ポイント増)の過去最高を記録、テレワークでの仕事を軌道に乗せている人が増えていることがうかがわれる結果となりました。同本部は「職種、業種、従業員規模などによっても異なるが、多様な働き方のニーズに対応する選択肢の一つとして、テレワークの継続的な活用を期待したい」とコメントしています。調査は7月10、11日に実施、20歳以上の雇用者1100人の有効回答を集計しています。