厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会が最低賃金(最賃)引き上げの目安を示すランク分けを、従来の4区分から3区分に変更することを決めました。今年10月から実施される予定ですが、これによって地域間格差が縮小し、全体の賃金アップの底上げにつながるかどうか注目されます。
ランクの変更は1978年の現行方式となって以来初めて。従来のランク分けは、地域ごとの賃金水準などを踏まえて、最も高い東京都など6都府県をA、京都府など11府県をB、北海道など14道県をC、沖縄など16県をDに4区分していました。新区分では、Aランクは従来通りですが、BランクとCランクにDランクから福島、島根、愛媛の3県を加えた28道府県をまとめて新Bランクとし、Dランクの残りの13県を新Cランクとしました=表。
改正の中心は旧Bランクと旧Cランクの再編成です。ランク分けは各都道府県の賃金水準をメーン指標に決めていますがが、近年の労働人口の減少などに伴う地方の人材不足により、地域格差が拡大傾向にあることから、区分の見直しを通じて格差拡大に歯止めをかけることを主眼としています。
検討を進めてきた同審議会の「目安制度の在り方に関する全員協議会」が6日に出した報告書では、ランク区分の見直しの根拠とした「1人当たりの県民所得」など最新19指標の試算も公表。これらを合わせた総合指数を算出した結果、東京=100とすると、神奈川=89.2、大阪=86.6と続き、下位は青森の69.0、沖縄の68.5となりました。東京都と沖縄では1.46倍の開きがあります。
新区分では所得水準だけでなく、労働者数なども重視して全体の最賃アップを図ったもので、AとBを合わせると労働者数全体の90%程度になるとみられることから、従来区分より底上げ効果が高まると期待されています。ただ、新Bランクに編入された旧Dランクの3県などの企業は、従来よりも高い水準の最賃アップを求められる可能性があることから、実施から数年程度は厳しい人件費対策を迫られることも予想されます。