厚生労働省が12月20日発表した2022年上半期(1~6月)の雇用動向調査によると、入職率は9.3%(前年同期比0.7ポイント増)、離職率は8.7%(同0.6ポイント増)となり、0.6ポイントの入職超過となりました。
上半期としては20年の0.0%を底
に、21年の0.5%、22年の0.6%と入職超過が続いています。コロナの規制緩和によって、サービス業などを中心に就労者が増えたためとみられます。上半期の入職者は4758.7千人、離職者は4458.7千人で、入職者が300.0千人上回りました。
年初の労働者数に対する入職率は9.3%、離職率は8.7%。男女別では男性が各8.1%と7.8%、女性が各10.7%と9.8%で女性の入・離職が活発でした。
就業形態別では一般労働者が各7.8%と6.8%、パートタイム労働者が各13.2%と13.7%となり、パートは0.5ポイントの離職超過となりました。産業別で入職者が最も多かったのは「宿泊・飲食サービス」の990.0千人で、「医療・福祉」が778.0千人、「卸・小売り」が734.9千人。これに対して離職者は「医療・福祉」が781.5千人で最も多く、「卸・小売り」が768.9千人、「宿泊・飲食サービス」が728.6千人と続きます。
3つの産業は従来から出入りの多い産業でしたが、"コロナ明け"の人流規制緩和によって動きが加速したとみられます。調査は6~8月、5人以上の常用労働者を雇用する全国1万5425事業所を対象に実施し、9029事業所から有効回答を得ました(回答率58.5%)。
日本生産性本部が12月19日発表した「労働生産性の国際比較2022」によると、21年の日本の労働生産性は1時間あたり(就業1時間あたりの付加価値)は49.9ドル(購買力平価換算で5006円)でOECD加盟38カ国中27位、1人あたりは年間8万1510ドル(同818万円)で同29位でした。
時間当たりでは前年から1ランクダウンで、データ取得可能な1970年以降の最低。OECD平均の60.9ドルを下回り、米国の6割弱で、エストニア、ラトビア、スロバキアなどの東欧・バルト諸国と同水準。前年より実質1.5%上昇したものの、"コロナ明け"の労働時間増加によって生産性は上がりませんでした。同様に、1人あたりでも前年から1ランクダウンの最低で、平均の10万7462ドルを下回り、ポーランド、ハンガリー、ニュージーランドなどと同水準です。
一方、製造業についてみると20年の生産性は9万2993ドル(為替レート換算1011万円)で、加盟35カ国中18位でした。前年より1ランクダウンで、フランス、韓国などと同水準。2000年代では最高水準でしたが、15年以降は16~19位に低迷しています。
厚生労働省が12月20日発表した11月の労働経済動向調査によると、労働者の過不足状況判断DI(「不足」の割合から「過剰」の割合を引いた数値)は、正社員が44ポイントで8月の前回調査から3ポイント上昇しました。コロナの行動制限緩和を背景に、人手不足がさらに強まっています。