労働政策審議会の第184回労働条件分科会(荒木尚志分科会長)は12月6日、裁量労働制度と解雇無効時の金銭救済制度について議論しました。いずれも、労使が鋭く対立しているテーマで、この日も歩み寄りはみられませんでした。裁量労働制では、使用者側が「金融機関の資金調達や合併・買収に関するコンサルタント業務」を対象業務に加えるよう、改めて主張したのに対して、労働者側は「労働時間と成果が比例しないことは対象拡大の理由として適切ではない」と反論しました。
金銭救済では、識者による「法技術的論点に関する検討会」が4月に出した報告書に基づいて議論しましたが、使用者側が「新制度によって救済される労働者がいる以上、導入すべきだ」と述べたのに対して、労働者側は「都道府県労働局によるあっせんや裁判所の労働審判手続きなどの現行制度を充実すべきであり、あえて新制度を作る理由はない」と取り合いませんでした。
多様な働き方と柔軟な労働移動を可能とするとして法制化を実現したい政府ですが、ハレーションを起こすテーマとあって次第に気概を失い、実態としては宙に浮いたまま。7年越しで有識者から3度目の報告書を受け取ったいま、厚労省は労政審でどう取り扱うか、政府・与党の意思を探りながら模索しています。
このテーマは、「必要・容認論」と「不要・否定論」が真っ向からぶつかる日本の労働政策、法制上の課題です。雇用の柔軟化・流動化を促す方策として肯定的に捉えられる一方で、「カネでクビ切り」との批判もあって賛否が割れます。
連合が12月8日発表した「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査」によると、現在の仕事でコロナ禍前よりストレスが増えた人は36.6%に上り、その要因が人間関係や仕事量の変化にあることがわかりました。
現在の仕事や職業生活についてコロナ禍以前に比べると、「変わらない」が55.1%で最も多くなっていますが、ストレスが「増えた」人は13.4%、「やや増えた」人も23.2%あり、合わせると36.6%に上りました。「増えた」の比率は年代別ではそれほど差がみられないものの、雇用形態別では正規従業員の40.2%に対して、非正規従業員は31.0%、業種別では「金融・保険」が44.1%、「卸・小売り」が43.3%、「医療・福祉」が41.7%と、エッセンシャルワーカーの多い業種で4割を超えました。
ストレスを感じている人の場合、その内容は「職場の人間関係」が30.9%で最も多く、「仕事量」が22.8%、「地位・待遇」が19.9%などで、コロナによって人間関係のギクシャクが増えていることをうかがわせます(複数回答)。
一方、テレワーク就労については9月時点で37.2%に上り、19年9月時点の24.4%から12.8ポイント上昇。中でも「勤務日の7~8割程度」のテレワークの人の満足率が62.5%とダントツに高くなっています。
取材・文責 アドバンスニュース
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